株価(6/12) | 1,510 円 | 予想配当利回り(23/12予) | 0.0 % |
52週高値/安値 | 1,690/458.50 円 | ROE(22/12) | 71.8 % |
1日出来高(3か月) | 38 千株 | 営業利益率(22/12) | 22.1 % |
時価総額 | 54 億円 | ベータ(5年間) | N/A |
企業価値 | 47 億円 | 発行済株式数 | 3.6 百万株 |
PER(23/12予) | 12.4 倍 | 上場市場 | 東証グロース |
PBR(22/12実) | 7.0 倍 |
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サマリー
会社概要
◇株式会社スポーツフィールド(以下、同社)はスポーツ人財に就職関連サービスを全国規模で提供している。東証グロース市場に上場。同社の2022年12月期実績は売上高28.7億円、経常利益6.3億円だった。現在の中期経計画によれば、同社は2024年12月期に売上高36.0億円、経常利益7.7億円を目指す。
◇スポーツ人財に特化、特色ある営業スタイルで市場をリード:同社の現在の主要事業は新卒のスポーツ人財、特に体育会学生に関わる就職関連サービスである。市場規模は学年あたり全国で5万人程度と推計されるが、同社はスポーツ経験者を中心とした営業社員にアナログなサポートを行う体制を構築、就職希望登録者が年々2万人程度の規模になってきた。スポーツ人財の求人を希望する企業の開拓も定着しており、特定した市場でリーディングポジションを確保しつつあるとみられる。
◇現在の主要事業:売上高の構成(2022年12月期)は体育会新卒者向けイベント39%(出展企業から出展料を受領)、体育会およびスポーツ経験者に関する新卒人財紹介事業30%(学生に就職カウンセリングを行い、就職先企業を紹介、内定承諾後に採用企業から採用コンサルティング料を受領)、既卒者向け人財紹介事業(既卒スポーツ人財に対する就職カウンセリングを行い、就職先企業を紹介、成果報酬として企業より人財紹介料を受領)からなる。
2023年12月期第1四半期アップデート
◇第1四半期決算は高成長を確認する内容:2023年12月期第1四半期は前年度から続く業績拡大基調が継続することを確認する内容だった。売上高は9.2億円(前年同期比+19%)、営業利益は3.2億円(同+36%)、経常利益3.1億円(同+36%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2.1億円(同+38%)となり、力強いトップラインの成長と売上高利益率の改善を実現している。会社通期予想と比較しても順調な進捗である。
◇成長性を再評価続ける株価:同社の株価は2022年5月以降業績の回復期待から反転を始め、その後現在まで業績の進捗に呼応して上昇基調にある。2023年12月期会社予想EPSに対して足もと株価は12.3倍、PBRは7.0倍であり、業績がさらに拡大すれば株価が素直に上昇する局面にあるとみられる。
◇今後の注目点:
第一に、会社通期予想に対する上振れ余地ないし上方修正の有無。採用市場の環境は同社に追い風にあると見られる。第2四半期以降予定される人員増強などの費用増加を加味しても、引き続き業績進捗が好調を続けるのか。
第二に、来年度の業績の基礎となる2025年3月卒の体育会学生のスポナビ登録者数の積み上がり方。
第三に、スポーツ経験学生の就職支援であるスポチャレ、既卒者向け人財紹介事業、スポーツ関連企業に特化した求人サイトであるスポジョバなどの収益化が前進し、新たな中期的な業績牽引役を担い始めるか。
目次
サマリー | 1 |
主要財務データ | 2 |
2023年12月期第1四半期決算 | 3 |
株価動向 | 7 |
今後の注目点 | 8 |
業績推移 | 9 |
参考情報 | 11 |
主要財務データ
決算年月 | 2017年12月 | 2018年12月 | 2019年12月 | 2020年12月 | 2021年12月 | 2022年12月 | ||
売上高 | 千円 | 1,106,727 | 1,516,370 | 1,917,813 | 1,883,269 | 2,130,256 | 2,866,214 | |
経常利益 | 千円 | 60,171 | 113,916 | 192,045 | 32,016 | △35,298 | 634,239 | |
当期純利益 | 千円 | 41,031 | 72,809 | 132,965 | 17,055 | △79,133 | 412,318 | |
資本金 | 千円 | 10,300 | 10,300 | 92,680 | 92,712 | 92,869 | 93,079 | |
発行済株式総数 | 普通株式A種株式 | 株 | 20,000400 | 20,400- | 881,600- | 882,560- | 897,400- | 1,808,080- |
純資産額 | 千円 | 59,396 | 132,205 | 429,932 | 446,826 | 368,007 | 780,524 | |
総資産額 | 千円 | 418,961 | 735,377 | 1,106,275 | 1,488,182 | 1,540,544 | 2,127,327 | |
1株当たり純資産額*1 | 円 | 18.20 | 40.50 | 121.92 | 126.58 | 102.53 | 215.87 | |
1株当たり当期純利益*1 | 円 | 12.57 | 22.31 | 40.68 | 4.83 | △22.21 | 114.44 | |
自己資本比率 | % | 14.2 | 18.0 | 38.9 | 30.0 | 23.9 | 36.7 | |
自己資本利益率 | % | 100.6 | 76.0 | 47.3 | 3.9 | △19.4 | 71.8 | |
営業キャッシュフロー | 千円 | 108,208 | 82,994 | 198,181 | △88,974 | 53,789 | 609,537 | |
投資キャッシュフロー | 千円 | △32,962 | △75,085 | △24,984 | △32,077 | △67,943 | △7,100 | |
財務キャッシュフロー | 千円 | △82,366 | 191,526 | 149,891 | 396,399 | 18,139 | △120,077 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 千円 | 163,792 | 363,227 | 686,315 | 961,663 | 965,648 | 1,448,007 | |
従業員数 | 名 | 118 | 164 | 201 | 233 | 266 | 242 |
*1:2019年10月4日付で普通株式1株につき40株、 2022年7月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割、 2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っておりますが、2017年12月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算出しております。
出所:同社資料よりOmega Investment 作成
2023年12月期第1四半期決算動向
株式会社スポーツフィールド(以下、同社)は、2023年5月12日引け後、2023年12月期第1四半期(1-3月期)の決算を発表した。順調な滑り出しとなり、通期計画に対する進捗も前年同期より良好で、今後の業績の一層の伸長を期待させる内容だった。
過去最高を更新した好調な決算
売上高は9.2億円(前年同期比+19%増)、営業利益は3.2億円(同+36%増)、経常利益は3.1億円(同+36%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2.1億円(同+38%増)となった。売上高・営業利益・経常利益は第1四半期の過去最高を更新し、親会社株主に帰属する四半期純利益の過去最高である。約2割の増収を実現し、さらに営業利益率等が拡大しており、極めて良好な決算である。
この好調の要因を端的に言えば、アフターコロナに入り求人需要が回復し、それに対して同社が経費の増加を抑制しながら着実に売上高に結実させたことにある。
出所:同社IR資料より
部門別に見ると、新卒者向けイベント、新卒者向け人財紹介、既卒者向け人財紹介からなる主力三事業が満遍なく増収した。
新卒者向けイベント事業
イベント開催数自体は前年同期並みにとどまったものの、オンラインイベントから来場型・大規模イベントへのシフトが進み、これが受注・売上高を牽引した。2024年3月卒向けイベントに対する企業の出展ニーズは強く、受注進捗は2023年3月卒向けを上回って推移しているとのことで、おもに本年度の第2から第3四半期の売上高として計上されることになる。
出所:同社IR資料より
新卒者向け人財紹介事業
体育会学生の登録者数を示すスポナビ登録者数は、2024年3月卒生に関して2023年3月末時点で17,631人となり、2023年3月卒生の2022年3月末時点の登録者数から減少した。これは2022年12月期に従業員がやや減少したことが響いたものと推察される。
しかし、就職活動の早期化に対応して登録者に対するサポートを進めカバー率を引き上げることができたこと、企業からの新卒採用ニーズの取り込みが順調なことから、ユニーク紹介学生数、ユニーク紹介企業数ともに大幅に伸びており、当四半期の売上高もしっかりした数値になっている。
出所:同社IR資料より
さらに、スポーツ経験者に対する就職支援サービスであるスポチャレにおいて、登録者数、ユニーク紹介学生数が大幅に伸び、その売上高は前年同期比+89%増加し27百万円となった。新卒者向け人財紹介事業の新たな牽引役の座を担いつつある。
出所:同社IR資料より
既卒者向け人財紹介事業
企業の好調な採用需要を背景に、スポナビキャリア・スポチャレ転職の登録者が前年同期を上回り、ユニーク紹介人財数、ユニーク紹介企業数も伸び、この結果高い増収率を達成している。
なお、新規事業のひとつであるスポジョバ(スポーツ関連企業に特化した求人サイトでオンラインで完結するマッチングが主)の累計登録会員数とサイトPV数も上昇し、既卒者向け人財紹介事業の売上高への寄与度が当四半期は約15%になっている。
出所:同社IR資料より
通期予想に対する進捗率
第1四半期の業績は通期予想に対して高い進捗率になった。
売上高は28.9%(前年同期27.0%)、営業利益は46.4%(同36.6%)、経常利益は46.5%(同36.5%)となっている。会社計画に対するここまでの進捗が上振れているのか明示はないが下振れしている可能性は低いと見られる。
出所:同社IR資料より
健全なバランスシート
2022年12月期末から現預金が減少したものの引き続きその残高は高水準を維持している。有利子負債は現預金減少に概ね見合って減少しており、ネット・キャッシュ・ポジションを維持している。
株価動向
同社の株価は2022年5月以降業績の回復期待から反転を始め、その後現在まで業績の進捗に呼応して上昇基調にある。
ただし、当第1四半期発表後の株価は総じて言えば横ばいで推移している。これは過去1年間にわたり、業績の底入れ、急回復、中期計画の上方修正を受けて株価が急騰したため、直近の四半期決算が好調でも反応が鈍かったと解釈することが自然だと思われる。また、前述の通り、2024年3月卒生スポナビ登録者数の伸び悩みも嫌気された可能性もある。
バリュエーション面を見ると、2023年12月期会社予想EPSに対して足もと株価は12.3倍、PBRは7.0倍である。高ROEであることを加味すると過熱感は乏しいと考えられ、株価は業績の拡大が続くにつれて評価を高める余地が大きいと思われる。
今後の注目点
当面の注目点を3点挙げたい。
第一に、会社通期予想に対する上振れ余地ないし上方修正の有無。
現在、採用市場の環境は同社に追い風にあると見られる。第2四半期以降は人員増強が予定されているうえ、新規事業の育成のために積極的な経費投下も想定されうるものの、業績の拡大が順調に進み通期予想に対する進捗が高水準を保つ可能性も高いと見られる。会社予想に対する上振れ余地、ないし上昇修正の可能性に株式市場の関心が高まりそうだ。
言うまでもなく、採用市場が逆風になる可能性にも常に留意すべきである。
第二に、来年度の業績の基礎となる2025年3月卒の体育会学生のスポナビ登録者数の積み上がり方。
同社の現在の主たる収益源である新卒者向けイベント事業、新卒者向け人財紹介事業の基盤はスポナビ登録者数であるが、既に指摘した通り、2024年3月卒学生の登録者数は2023年3月期卒学生の比較すべき登録者数よりもやや減少した。
2025年3月期卒学生の登録者数の積み上がりは、来年度の業績を占うカギとなるKPIであり、株価にも影響が大きいと考えられる。会社資料によれば、現在この数値は2024年3月卒の比較すべき数値を上回って推移しているとのことであるが、このような改善傾向を定着させるかが注目される。
第三に、スポーツ経験学生の就職支援であるスポチャレ、既卒者向け人財紹介事業、スポーツ関連企業に特化した求人サイトであるスポジョバなどの収益化が前進し、新たな中期的な業績牽引役を担い始めるか。
業績推移
通期業績推移
決算期 | 2019/12期 | 2020/12期 | 2021/12期 | 2022/12期 | 2023/12期 | 2024/12期 |
連結・日本基準 | (上場) | 会社予想 | 中期経営計画 (修正後) |
|||
【損益計算書】 | ||||||
売上高 | 1,918 | 1,883 | 2,130 | 2,866 | 3,186 | 3,600 |
営業利益 | 194 | 16 | -32 | 637 | 680 | 768 |
経常利益 | 192 | 32 | -35 | 634 | 677 | 767 |
税金等調整前当期純利益 | 192 | 32 | -81 | 634 | ||
親会社株主に帰属する純利益 | 133 | 17 | -79 | 412 | 440 | |
【貸借対照表】 | ||||||
資産合計 | 1,106 | 1,488 | 1,541 | 2,127 | ||
負債合計 | 676 | 1,041 | 1,173 | 1,347 | ||
純資産合計 | 430 | 447 | 368 | 781 | ||
借入金合計 | 334 | 731 | 749 | 630 | ||
【キャッシュ・フロー計算書】 | ||||||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 198 | -89 | 54 | 610 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー | -25 | -32 | -68 | -7 | ||
財務活動によるキャッシュ・フロー | 150 | 396 | 18 | -120 | ||
フリーキャッシュフロー | 173 | -121 | -14 | 602 | ||
現金及び現金同等物の期末残高 | 686 | 962 | 966 | 1,448 | ||
【経営効率】 | ||||||
売上高経常利益率 | 10.0% | 1.7% | -1.7% | 22.1% | 21.2% | 21.3% |
ROA | 14.4% | 1.3% | -5.2% | 22.5% | ||
ROE | 47.3% | 3.9% | -19.4% | 71.8% | ||
【一株指標】単位:円 | ||||||
EPS(株式分割等調整後) | 41 | 5 | -22 | 114 | 122 | |
BPS(株式分割等調整後) | 122 | 127 | 103 | 216 | ||
DPS(株式分割等調整後) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
【従業員数】 | ||||||
連結従業員数 | 201 | 233 | 266 | 242 |
単位:百万円
出所:同社IR資料よりOmega Investment作成
一株あたり指標であるEPS、BPSは2023年4月に実施された1:2の株式分割の効果を遡及して計算。
四半期業績推移
単位:百万円
出所:同社IR資料よりOmega Investment作成
一株あたり指標であるEPS、BPSは2023年3月に実施された1:2の株式分割の効果を遡及して計算。
参考情報
主要株主の状況
氏名又は名称 | 所有株式数 | 発行済株式(自己株式を 除く)の総数に対する所 有株式数の割合(%) |
篠﨑 克志 | 409,000 | 22.62 |
伊地知 和義 | 209,600 | 11.59 |
加地 正 | 209,600 | 11.59 |
森本 翔太 | 209,600 | 11.59 |
楽天証券株式会社 | 27,400 | 1.51 |
スポーツフィールド従業員持株会 | 25,200 | 1.39 |
野村證券株式会社 | 19,700 | 1.08 |
重森 豊太郎 | 16,800 | 0.92 |
NOMURA PB NOMIN EES (常任代理人:野村證券株式会社) | 16,200 | 0.89 |
医療法人ヒポクラテス竹村内科腎 クリニック | 16,000 | 0.88 |
竹村 克己 | 16,000 | 0.88 |
計 | 1,175,100 | 64.99 |
株主構成