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ヒューマンクリエイションホールディングス (投資レポート)

株価(7/24)1,155 円予想配当利回り(25/9)2.3 %
52週高値/安値834/1,420 円ROE(24/9実)33.9 %
1日出来高(3か月)10.1 千株営業利益率(24/9実)8.8 %
時価総額41.2 億円ベータ(5年間)0.46
企業価値30.5 億円発行済株式数 3.573 百万株
PER(25/9予)11.4 倍上場市場 東証グロース
PBR(24/9実)2.7 倍
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“高ROE×戦略領域成長”で挑む中期1,000円EPS*
非連続成長と資本効率が導くバリュエーション再評価

*株式分割後のEPS:500円

投資判断

高ROE×再投資ドリブン”モデルに成長期待。収益足踏みも、押し目での魅力は維持 

 ヒューマンクリエイションホールディングス(以下、HCH)は、ROE33.9%、ROIC20.0%という極めて高い資本効率を実現しており、収益性・成長性の両面において際立つ高パフォーマンス企業である。2025年9月期の予想PERは12.22倍(投資有価証券評価損の影響を控除した修正値では8.9倍)、PBRは2.67倍、配当性向は20%、よって市場は20%以上のEPS成長を織り込んでいるが、第2四半期末で5.0億円のネットキャッシュに基づけば、実質的なPERは10.7倍に低下する。投資有価証券評価損の影響を控除したEPSを考慮すれば、実質的に割安感は非常に大きい。他方、益回りは9.7%に達する。このように、成長性が評価された水準での株価である一方で、バリュエーションには依然として割安感が強い。

軽資産型のIT人材ビジネスを基盤としつつ、戦略領域(ITコンサル・受託開発・保守)へのシフトによる利益率向上、エンジニア教育による単価・稼働率改善、そしてM&Aによる垂直統合によって強力なキャッシュフロー創出力をもつ。営業キャッシュフローは安定して高水準を維持しており、運転資本効率の良さと設備投資負担の軽さから、フリーキャッシュフローも潤沢である。これらの構造により、同社は成長投資と株主還元を両立しながら高ROICを実現する健全なキャッシュ創出モデルを築いている。

財務面では、2024年9月期には営業キャッシュフローが4.8億円に達しており、資本支出を抑制したことも相まって、フリーキャッシュフローの創出力は非常に高い。時価総額40億円規模の企業として、5億円のネットキャッシュを有する点も特筆に値する。また、上場来の連続増配を堅持しつつ、自己株式取得を含む総還元性向30%以上を中計に組み込んでおり、機動的な株主還元へのコミットメントが明示されている。これに加えて、自己資本比率を40%以下に維持し、資本効率の最大化を追求する姿勢も評価できる。

2025年9月期の営業利益は6.35億円と前年の6.31億円からわずか0.7%の増益にとどまる見込みである。中長期的な収益拡大に向けた先行的な費用投下を進め、前期並みの利益水準を確保しつつも、売上高の成長加速を図るためと同社は説明している。1月に実施された定期昇給や、売上高に連動する成果報酬制度の導入が、SES(技術者派遣)領域の利益率を圧迫する構図となっているものの、注力している戦略領域、すなわちITコンサルティングや受託開発・保守運用等の分野は、2025年9月期第2四半期時点で前年同期比+35.5%と高い成長を維持しており、案件の積み上がりや人員拡充も進行している。また、M&Aを活用した領域戦略の変革も掲げており、実際に25年4月に同社最大規模のM&Aを実行している。事業ポートフォリオの構造転換は着実に進んでおり、これが中長期の収益性改善につながる余地は大きい。

中期経営計画では、2027年9月期に売上高120億円(うち戦略領域50億円、SES70億円)の達成を掲げた2ndステージを経て、2030年9月期にはEPS1,000円およびROE30%以上の達成を目標とする3rdステージへと移行する計画を採用している。これに向けた成長実現の具体策として、HCHは2つの補足シナリオ*を提示している。

*同社の一定条件設定に基づくシミュレーションであり、中長期経営方針としてコミットしている目標値ではない。

EPS1,000円*達成のための1つ目のシナリオ(中期経営計画の補足資料では「シナリオC」)では、毎期5%の売上成長および0.1ポイントの利益率改善によるシナジー創出を前提とし、EPSは1,016円に達する見通しである。親会社株主に帰属する利益は6.9億円、総還元額は5.6億円を想定しており、M&Aを通じた非連続成長の具体像として現実味のあるシナリオとなっている。もう1つのシナリオ(同「シナリオD」)では、これまで織り込まれていない自然成長分を加味し、10%程度の上乗せを行うことでEPSは1,850円に達するとされている。この場合、親会社株主利益は11.7億円、総還元額は7.5億円となる。両シナリオに共通するのは、既存の事業構造に依存するのではなく、M&Aによるシナジー創出や戦略領域への経営資源集中を通じてEPSの飛躍的成長を目指す点にある。

*EPSは、実績・計画・中長期経営方針共に、2024年11月14日に発表した株式分割影響を調整する前の値である。株式分割考慮後の目標値は500円となる。

このように、HCHは一時的な利益の伸び悩みを抱えつつも、中期的には極めて明確な成長ストーリーを持ち、キャッシュフロー創出力、資本効率、戦略的M&A展開、株主還元のいずれにおいても高い投資魅力を備える企業であると評価できる。短期的な業績調整局面は継続する可能性があるが、益回りの高さと再投資戦略を前提に考えれば、株価の押し目は中長期投資家にとって有望なエントリーポイントとなり得る。今後は、戦略領域の収益貢献拡大とともに、提示された成長シナリオに対する実行度を逐次検証していくことが、企業価値評価の重要な指標となろう。

1. 会社概要

人材×ITソリューションの融合による成長企業。システム開発全工程を担う独立系ITサービスホールディングス

 HCHは、エンジニア派遣を中心とした技術者支援を基盤に、ITシステムに関するコンサルティング、受託開発、運用保守などを手掛けるシステムソリューション企業である。2016年に持株会社体制へと移行し、グループの戦略的経営と現場執行を明確に分離することで、迅速な意思決定と事業会社の機動性を高めている。2021年3月に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)に上場し、現在は連結子会社7社を傘下に持つ純粋持株会社である。

グループ創業の原点は、1974年に設立された株式会社バンキング・システムズであり、当初は金融機関向けのハード販売と保守業務を主事業としていた。その後、システムエンジニアリングサービス(SES)領域へと軸足を移し、常駐型の技術者派遣を中心に成長を遂げた。近年では、M&Aを通じてコンサルティングや受託開発領域に進出するなど、事業領域の上流工程への拡張を加速させている。

現在のHCHグループは、技術者派遣に強みを持つ株式会社ブレーンナレッジシステムズ(BKS)を中核に、システムコンサルティングを手がけるアセットコンサルティングフォース(ACF)、ERP導入支援のヒューマンベース、システム運用支援に特化するコスモピア、保守運用領域のセイリング、AIソリューションを担うTARAなどで構成されている。2024年10月には、シー・エル・エスをBKSに吸収合併するなど、グループの再編と機能統合も戦略的に進めている。

2025年4月には、M&A仲介業のHCフィナンシャル・アドバイザーを買収。これにより、顧客企業の経営課題に対するコンサルティングとIT実装をワンストップで提供できる体制を構築し、ホールディングスの経営コンサルティング事業戦略室が各子会社と連携することで、経営コンサルティング事業を本格化させている。

HCHの事業モデルの特長は、SESに代表される稼働ベースの売上モデルに加え、戦略領域(高付加価値領域)としての経営・ITコンサルティングや受託開発・運用に注力している点にある。これにより、単なる労働集約型の派遣業から脱却し、コンサル型・プロジェクト型収益への転換を図っている。グループエンジニアは854名(2024年9月末時点)であり、PM/PLクラス157名、SEクラス284名、PGクラス271名、その他76名と、多様な工程への対応が可能な体制を備えている。また、エンジニアの教育・育成力に注力し、独自のスキルアッププログラムやOJT体制を整備することで、派遣単価の上昇および継続率の向上を実現している。

顧客層は金融、製造、通信、エネルギー、公共・医療と広範であり、直接契約の比率も徐々に高まっている。契約形態は派遣契約が中心ではあるものの、請負・受託案件が年々増加しており、プロジェクトの一括請負に対応する能力も高まりつつある。とりわけ直近では、M&Aで取得したAI関連やM&A仲介子会社との連携により、システム開発における提案力・ソリューション力を一段と強化している。

中長期的には、グループ全体での技術領域の拡張と、IT人材の教育・供給体制の強化により、DX支援市場における競争力を高めていく方針を明確にしている。HCHは「人材(Human)」と「創造(Creation)」を軸に、派遣から開発・保守、さらにAI・コンサルティングまでを一気通貫で担える“次世代ソリューションインテグレーター”として、企業IT支援の高度化に資する独自のポジションを築きつつある。今後は、これまでのSES基盤を活かしながら、より収益性の高い戦略領域の拡大を推進し、資本効率とキャッシュ創出力を両立する経営モデルの完成が期待される。

2.事業の特色、内容

SESから戦略領域へ。派遣主軸モデルの限界を乗り越える高付加価値化の実践

 HCHの事業構造は、「人材×IT」を軸にしたエンジニアリング・サービスにより構成されており、大きく分けて「SES(システムエンジニアリングサービス)領域」と「戦略領域(経営・ITコンサルティング、受託開発、運用保守、M&A仲介)」の二本柱で成り立っている。このうちSESは、技術者が顧客先に常駐し、システム開発・保守・運用業務に従事する労働集約型モデルである。一方で、近年注力している戦略領域は、経営コンサルティング、およびITコンサルティング、上流の企画・要件定義工程や、成果物責任を伴う受託開発・プロジェクト型案件へのシフトを特徴とする。この構造転換が、単価上昇・利益率改善という観点で、同社の中長期的な収益性を押し上げる原動力となっている。

2024年9月期におけるHCHの売上高構成比は、SESが依然として約70%を占めるものの、戦略領域の比率は30%以上まで上昇しており、今後はこの領域の比率をあげ、事業構造の転換を図るとしている。

事業の特色として第一に挙げられるのが、広範な開発領域への対応力である。金融・通信・製造・公共など幅広い業種のクライアントに対し、業務系・基幹系・Web系システムに至るまで対応しており、開発・保守運用のみならず、上流工程である要件定義・基本設計の領域にも積極的に進出している。また、エンジニアのスキル構成は、24年9月末時点でPM・PLクラスが全体の20%、SEクラスが約36%と、上位工程対応比率が高い。

第二に、M&Aによる機能拡張と事業補完が挙げられる。直近では、2025年にM&A仲介事業を手がけるHCフィナンシャル・アドバイザーを子会社化し、顧客企業の経営課題に対するコンサルティングとIT実装をワンストップで提供できる体制を構築した。これにより、従来の受託開発案件に加えて、M&A後の業務統合(PMI)支援や、データ連携基盤の開発ニーズなど、複合的な案件の獲得が可能となっている。さらにAIソリューション事業を担うTARAでは、オリジナル開発された人物探知AIカメラを商材として、ITシステムのコンサルティング及び受託開発のリソース・知見に活用を目指している。

第三に、教育・育成を通じたエンジニア生産性の最適化が重要な柱となっている。HCHグループでは、上流工程から下流工程までの一気通貫体制におけるエンジニアの教育体制整備やオリジナルeラーニングを含む独自教育プログラムを拡充している。結果として上流工程対応可能なエンジニアが増加しエンジニア単価向上と収益性の高い案件参画を可能にする。特にエンジニアの継続的採用と、再教育による上流シフトへの戦略は、SES領域の労働集約構造から脱却し、人的資本を起点とした高収益モデルを構築する上で不可欠な施策といえる。

さらに、営業戦略の観点では直販比率の向上も目立つ動きがあり、2023年2月に日鉄ソリューションズとの資本業務提携を発表している。これまで多重下請け構造に依存していたSES業界において、エンドユーザー企業や一次請けSIerとの直接取引を拡大することで、粗利率の改善と案件選定の自由度向上が図られている。

このようにHCHは、従来のSES依存モデルから脱却し、戦略的M&A、エンジニア育成、業務領域の上流シフト、直販強化を通じて、持続的な利益成長を可能とする高付加価値型ITサービスモデルへと進化を遂げている。利益率・単価・稼働効率の三拍子を高める同社の取り組みは、今後のROE維持・EPS成長の基盤となる重要な事業特性であり、株主にとっても中長期的な競争優位性の裏付けとなる。

3.主要株主と投資動向

創業陣と従業員による安定株主構造。事業成長に呼応した資本政策の柔軟性が鍵

 HCHの株主構成は、安定株主による保有構造が維持されている。最新の公開情報(2025年7月時点)によると、代表取締役社長の富永邦昭氏が3.25%(約5.2万株)保有している。

加えて、ヒューマンクリエイション社員持株会が6.52%(約23.3万株)を保有しており、役職員を含めた社内株主比率は13%以上に及ぶ。これにより、経営陣と従業員によるインセンティブの整合性が担保されており、短期的な株価変動よりも中長期的な企業価値向上に軸足を置いた意思決定が可能な体制となっている。

外部株主のうち、最も存在感が大きいのは、営業支援や投資育成で知られる光通信(HikariTsushin, Inc.)である。同社は5.09%(約18.2万株)を保有している。光通信は、成長性とキャッシュフローの両面を重視する投資スタンスで知られ、配当利回りと資本効率の改善余地が大きいHCHの事業モデルとは親和性が高い。持分法適用には至っていないが、一定の安定株主として中長期的に保有される可能性が高い。

また、日鉄ソリューションズ(4.39%)、アドバンスト・メディア(3.11%)といった戦略的提携先による株式保有も注目される。日鉄ソリューションズはシステムインテグレーターとしてHCHの協業先でもあり、株式保有が単なる財務投資ではなく事業的な連携を視野に入れたものである可能性がある。

機関投資家による動向については、現時点でアクティビズム的な動きは確認されていないものの、総還元性向やROEの高さやPERの割安感を背景に、中小型グロース銘柄としての再評価が進む過程で、今後の保有比率の拡大も十分に想定される。

HCHの株主構成は、経営陣・社員・戦略投資家・提携先・機関投資家がバランスよく分散しており、短期的な需給リスクは限定的である。一方で、浮動株比率が高くはないため、今後の資本政策には柔軟性と透明性が求められる。中期経営計画において掲げられている「自己資本比率40%以下の維持」「機動的な自己株式取得による資本構成の最適化」といった資本戦略は、株主との対話を前提とした持続的な企業価値向上の基盤として注視されるべきである。特に、EPSの飛躍的成長を伴う場合においては、将来的な株式分割や東証プライム市場へのステップアップも視野に入る構造が整いつつある。

4.中期経営計画

“戦略領域5割化”と“EPS4〜7倍成長”の両立。段階的ステージ制で非連続成長を描く実行計画

 2024年に「3段階ステージ制」による中期経営計画を策定し、売上・利益規模の拡大だけでなく、事業ポートフォリオの質的転換と資本政策の高度化を軸に、非連続的な企業価値向上を明確に打ち出している。中計の中核には、「2ndステージ(2027年9月期)」と「3rdステージ(2030年9月期)」の2つのフェーズが位置付けられており、事業構造・収益構造・株主還元戦略のすべてにおいて、定量的なマイルストーンが設定されている点が特徴である。

2ndステージでは、2027年9月期に連結売上高120億円の達成を目標としており、このうち戦略領域(ITコンサルティング・受託開発・保守運用)で50億円、SES(システムエンジニアリングサービス)領域で70億円を見込む構成となっている。これは現状比で約1.4倍の売上規模であり、特に戦略領域の売上比率を現状の約2割から4割超へと引き上げることを意味する。営業利益率の改善を伴うこのシフトは、エンジニアの稼働単価向上および案件あたり利益率の上昇に直結し、資本効率とキャッシュ創出力の両面で中長期的な改善効果をもたらすと考えられる。

3rdステージでは、2030年9月期にEPS1,000円およびROE30%以上という目標を掲げており、これを現実的なシナリオとして達成するために、「シナリオC」と「シナリオD」という2つの収益成長シナリオが示されている。シナリオCは、M&Aを通じて毎期5%の売上成長および0.1ptの利益率改善というシナジー効果を積み上げていく戦略であり、その結果としてEPSは1,016円まで上昇、親会社株主利益は6.9億円、総還元額は5.6億円に達する見通しである。これに対し、シナリオDはこれまで業績予想に織り込まれていなかった自然成長(約10%)を追加することでEPS1,850円、親会社株主利益11.7億円、総還元額7.5億円の達成を想定している。いずれのシナリオも、現在のEPS(約248円)を大幅に上回るものであり、4〜7倍の非連続的な成長を前提とした構造である点に注目すべきである。

本中計においては、事業構造の変革と同時に、資本構成の最適化を強く意識した経営方針が打ち出されている。具体的には、「自己資本比率は40%以下を維持する」ことを原則とし、資本効率の最大化を目的として、機動的な自己株式取得や配当政策を活用する方針が明示されている。また、総還元性向については30%以上を目標としており、これは今後の利益成長との組み合わせにより、自社株買いを含む積極的な株主還元余地を大きく広げることになる。

さらに、M&A戦略の位置づけが明確である点も注目に値する。2025年に実施したM&A仲介企業HCフィナンシャル・アドバイザーの子会社化は、従来のIT開発スキームに経営・事業再編コンサルティングという視点を加え、クロスセル型のシナジー創出を生み出す構造を強化するものである。今後もM&Aによる事業領域拡張は継続される見通しであり、中計の実現可否はこうした外部成長施策の実行力に大きく依存する。

このように、HCHの中期経営計画は、単なるトップラインの成長にとどまらず、営業利益率の改善、EPSの複利成長、ROE30%以上の持続、そして機動的な資本政策による株主還元の拡充を軸とした、総合的な企業価値向上を志向している点で評価に値する。定量目標の水準は高いものの、シナリオベースで成長要因と実現手段を丁寧に分解・提示している点は、株主・投資家に対するコミュニケーション戦略としても有効であり、今後の実行度合いと進捗報告に対する市場の期待も高まりつつある。

5.国際事業に関して

海外展開は極めて限定的。現状は国内完結型体制

 HCHの国際事業は、現時点で全体の事業ポートフォリオにおける割合は極めて限定的であり、売上・利益への直接的な寄与は確認できない。現在の公式資料においては、海外拠点の運営や海外顧客への事業展開に関する具体的な記載は確認できず、国内市場でのサービス提供を中心とした事業構造となっている。

従って、HCHの国際事業は、直接的な海外展開やグローバル売上の獲得よりも、国内を起点とした案件の高度化における「国際補完機能の内製化」という戦略を選択している。これは、人的資本に依存するIT業界において、品質・納期・リスク管理を国内で完結するメリットを維持しながら、必要に応じて外部パートナーと連携するという、現実的かつコスト効率の高い戦略と評価できる。今後の本格的な海外進出に関しては、クライアント起点の案件誘発や、クロスボーダーM&A案件の比率増加が誘因となる可能性があるが、当面は国内事業の深化と戦略的補完の強化が国際戦略の主軸であると捉えるべきであろう。

6.長期の業績

営業利益率8.8%、ROE30%超で高い利益体質と資本効率が持続する成長実績

 HCHの業績は、上場直後の2020年9月期以降、コロナ禍による一時的な需要低下を経て、堅調な拡大基調を続けている。特にエンジニア派遣を基盤としながら、受託開発、ITコンサルティングといった高付加価値領域への展開により、利益率と資本効率の双方で高水準を維持している点が際立つ。

2020年9月期から2024年9月期にかけて、売上高は45.6億円から71.6億円、営業利益は3億円から6.3億円と推移しており、売上は緩やかながら安定成長を示している。この間、営業利益率は8~10%台を維持しており、2024年9月期の営業利益率は8.8%に達している。

利益指標においても、2024年9月期のROEは33.9%、ROICは20.0%と、いずれも極めて高い水準を記録している。ROEは自己資本の効率的な活用を示す指標であり、30%超という水準は上場企業全体でも上位に位置する。特に利益の大半を成長投資に回す資本政策を採っている同社において、これほどのROEが維持されていることは、内部留保の効率的活用が実現されていることを示唆する。

キャッシュフロー面でも健全な運営が継続されている。2023年9月期および2024年9月期の営業キャッシュフローは、それぞれ7.2億円、4.8億円とプラスを維持しており、フリーキャッシュフローについても投資支出を吸収する範囲内で安定した黒字を確保している。

また、エンジニア単価および稼働率の推移は、同社の利益率を支える基礎的な指標となっている。2020年9月期から2024年9月期までの5年間で平均契約単価は55.7万円から64.5万円と年平均成長率(CAGR)3.7%で上昇しており、安定した単価引き上げのトレンドがうかがえる。稼働率もコロナ禍を経て改善し、2024年には98.4%と高水準を維持している。

このように、同社は定常的に営業利益率8%以上、ROE30%以上を実現する高収益体質を構築しており、単価・稼働率といった現場KPIの改善が着実に利益成長へとつながっている。今後も受託比率の上昇や、M&Aによる案件拡大が想定される中、これらの定量的な成果が継続可能かどうかは、投資家にとっての重要なモニタリングポイントとなるだろう。

7.直近の決算における業績

10.5%の増収も減益決算に人件費上昇と報酬制度の影響で利益は一時的な調整局面へ

 2024年9月期通期決算は、売上高71.65億円(前年比+10.5%)と2桁の増収を確保した一方で、営業利益は6.31億円(同▲9.6%)、経常利益6.29億円(同▲10.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は4.04億円(同▲7.8%)となり、減益決算となった。営業利益率は8.8%と引き続き高水準を維持しているものの、前年の10.8%からは低下しており、利益面では踊り場にある状況といえる。

収益構造上の主因として、2024年1月に実施された定期昇給に加え、売上連動型の成果報酬制度の導入によって人件費と販管費が増加。特に、エンジニア単価の上昇や受託比率の増加により売上総利益は増加したものの、インセンティブ制度が粗利改善を吸収し、営業利益率を押し下げた。これは中長期的な人材定着・報酬制度改革を見据えた構造的投資であるが、短期的には利益の伸び悩みを招いている。

一方で、「ITコンサルティング」「受託開発」「運用保守」などの戦略領域は引き続き拡大し、売上高は21.9億円、全体に占める構成比は30.5%に達した(前年は21.0億円、構成比32.2%)。SES主体だった収益構造からの高度化が進んでおり、今後の利益率改善に向けた基盤が形成されつつある。

財務面では引き続き強固なバランスシートを維持しており、営業キャッシュフローは4.81億円、フリーキャッシュフローは4.78億円と安定している。現預金残高は10.0億円、有利子負債は3.75億円(短期借入金1.22億円+長期借入金2.53億円)にとどまり、ネットキャッシュは6.3億円(第2四半期末では5億円)と、財務安全性は極めて高い水準にある。

株主還元も継続的に強化されており、年間配当は1株あたり52円(前年51円)と4期連続の増配を達成。配当性向は21.1%、配当総額は84百万円となった。さらに、自己株式の取得も48百万円実施しており、総還元性向は32.8%に達している。中期経営計画で掲げる「総還元性向30%以上」の方針に沿った運用がなされており、成長投資と資本還元のバランスを意識した資本政策が機能している。

2024年9月期の決算は戦略領域の成長と増収が継続した一方、報酬制度改定と人件費の上昇が収益に影響し、減益となった。一時的な利益調整局面にあるものの、受託案件・コンサル領域の拡大が将来的な営業利益率の回復を支える見通しであり、今後の反転タイミングと収益体質の強化が投資判断の焦点となる。

8.通期業績予想

売上高は業績予想を上方修正し89億円へ。戦略領域の拡大と単価上昇が牽引

 2025年9月期通期の連結業績として、 2024年11月14日公表の2024年9月期決算短信 では売上高86.06億円、営業利益6.35億円、経常利益6.35億円、当期純利益4.04億円を見込んでいた。しかしその後、2025年5月12日に公表された「2025年9月期第2四半期決算短信」において、売上高予想を89.06億円へ、営業利益予想も6.35億円に据え置いた上で、売上面を中心に上方修正した。

この売上予想の引き上げ(+3.00億円、増加率+3.5%)は、M&Aによって連結化された子会社HCフィナンシャル・アドバイザーの新規連結効果を織り込んだものである。

営業利益の見通しは6.35億円で据え置かれているが、これは報酬制度や採用強化による人件費増加を織り込んだ水準であり、営業利益率は前期(8.8%)比で低下する見込みながらも、戦略的コスト投資とのバランスを取った着地である。営業利益率は約7.1%を想定しており、中長期の収益性回復を見越した布石として評価できる。

一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は3.27億円(前年比▲19.0%)と減益予想に下方修正された。これは、保有する上場株式に関する評価損など、営業外要因による一過性損失が反映された結果である。なお、営業利益やキャッシュフローに関しては影響がなく、事業の稼ぐ力に毀損はない。

進捗率ベースでも、第2四半期終了時点で売上高は40.71億円、営業利益3.78億円と、通期予想に対する進捗率はそれぞれ45.7%、59.6%と、計画達成に対する信頼度は高い。下期はコンサル・受託型案件の売上計上タイミングが集中することから、業績の季節性を踏まえても上振れ余地が存在する構造となっている。

以上を踏まえると、2025年9月期は増収率+24.3%という過去最大規模のトップライン成長が期待される一方で、利益面は戦略的な人材投資を織り込んだ抑制的な計画が提示されている。営業利益は安定を維持し、評価損を除いた実質ベースでは収益力が維持されていると評価でき、株主にとっては成長戦略の進捗と同時に、財務安全性を保った慎重な利益運営体制に注目が集まる。

9.成長戦略とリスク

非連続成長に向けた戦略的布陣からM&A・戦略領域強化と人材依存リスクの管理が焦点

 HCHは、2025年以降の持続的成長に向けて「戦略領域の拡大」「M&Aによるシナジー創出」「人的資本投資の最適化」という三本柱の成長戦略を軸に据えている。特に、ITコンサルティングや受託開発、運用保守といった高付加価値領域の売上構成比を継続的に高める方針を明確にしており、2025年9月期第2四半期には戦略領域売上が7.5億円、全体に占める比率36.6%にまで上昇した(前四半期比+3.5pt)。 このシフトが利益率改善と顧客ロイヤルティの向上を促進し、既存のSES型モデルに依存しない成長構造の確立につながっている。

さらに、M&A戦略においては、HCフィナンシャル・アドバイザーの完全子会社化を契機に、従来のIT開発スキームに経営・事業再編コンサルティングという視点を加え、クロスセル型のシナジー創出を生み出す顧客企業への総合ソリューション提供体制を構築。この垂直統合的モデルにより、受託案件の上流工程(業務改革、システム要件定義など)から下流工程(開発、保守運用)まで一貫して対応できる体制が強化されている。今後も、業種特化型のソリューションやAI/データ領域に特化した技術系子会社(例:TARA社)を活用し、さらなる競争優位の確立を図る構えである。

中期経営計画では、2027年9月期に売上高120億円、2030年9月期にEPS1,000円という野心的な目標を掲げており、シミュレーションとして公開されているいずれのシナリオもM&Aを含めた成長加速が前提となっている。とりわけ、シナリオCでは毎期売上+5%、利益率+0.1ptのシナジー創出が想定されており、M&A実行と統合プロセスの品質が成否を分ける重要な鍵となる。

*中長期経営方針としてコミットしたものではなく、シミュレーションとしての数値目標となっている。

一方、成長加速と並行して、同社のリスク構造も変化している。最大の構造的リスクは、労働集約型ビジネスに起因する人材確保・人件費上昇リスクである。2024年9月期は、成果報酬制度の導入や定期昇給の実施により販管費が増加し、利益成長が抑制された。今後も市場全体のエンジニア争奪戦が激化する中、優秀人材の獲得と離職防止に関する取り組みの成否が利益水準に直結する。また、技術者一人当たりの生産性や稼働率がPLに大きな影響を与える構造であり、人材の定着とスキル平準化が持続的利益率確保の鍵を握る。

加えて、M&A実行に伴う統合リスク(PMI)や、成果報酬制度導入によるインセンティブ設計の複雑化など、内部管理体制の高度化も課題として残る。これらの非財務領域の強化が伴わなければ、高成長フェーズにおいて逆にコスト管理や統制の形骸化が起こる可能性も否定できない。

HCHの成長戦略は、量的拡大と質的高度化を並行して進める非連続成長モデルに立脚しており、その推進力は戦略領域の拡大・M&A実行力・人材確保力という三位一体の運営能力にかかっている。これらのバランスと内部統制をいかに高精度に運用できるかが、中期的なROE・ROICの維持、そして企業価値最大化の鍵となろう。

10.株価の動向と株式バリュエーション

バリュエーションはEPS成長を織り込む水準。高ROE銘柄の宿命と短期収益調整リスク

 HCHの株価は、2024年後半から2025年春にかけて業績の上方修正やM&Aの進展、受託型案件の積み上がりなどを背景に強含みで推移した。直近株価水準(2025年7月時点)は調整後PER8.9倍*、PBR2.67倍であり、これは同業グロース市場上場のIT人材企業と比較してもやや高めの水準にある。だが、ROE33.9%という極めて高水準の資本効率を実現していること、利益の多くを成長投資に回す方針を採っていることから、バリュエーションは一定の合理性を持つと評価できる。

実際、現在のPBR2.67倍という水準は、直近3年間の平均PBR(約2.3倍)を上回っており、投資家が将来の成長シナリオ(特に戦略領域の拡大とM&AによるEPS押し上げ)をある程度織り込んでいることが伺える。EPS成長率は過去3年間で年率20%を超えており、今期予想においても売上+24.3%増、営業利益+0.7%というトップライン中心の成長が見込まれている。こうしたEPS成長期待に支えられた株価水準である点は、他のグロース企業と比べても強みとなる。

また、益回り(Earnings Yield)ベースでは9.7%と、10%近いリターンを示しており、これに加えてネットキャッシュが5億円である点を踏まえると、実質的なPERは10.7倍に調整される。財務の健全性を担保しつつ、戦略投資を継続する体制が整っていることは、バリュエーションの支えとなる要因である。

一方で、短期的にはいくつかの収益性に対する下方圧力が意識される。最大の懸念材料は、人件費の継続的な上昇と報酬制度の利益圧迫効果である。2024年9月期に導入された売上連動型の成果報酬制度は、エンジニアの離職抑制やモチベーション維持には寄与する一方で、営業利益率の圧縮要因となった。2025年9月期も報酬制度と採用強化費用を織り込んだ利益計画となっており、営業利益はわずかに前期比+0.7%とほぼ横ばいにとどまる見通しである。このように、売上高は大きく成長しているにもかかわらず、利益成長が鈍化していることは、バリュエーション再評価の際に短期的な警戒材料となり得る。

また、M&Aによる非連続成長を志向する同社にとって、今後の案件選定やPMI(統合プロセス)の精度もバリュエーションを左右する要素である。実績のない高額買収や統合不全が顕在化した場合、想定EPS成長の前提が崩れ、評価修正が一気に進行するリスクも無視できない。

加えて、同社のビジネスモデルは本質的に労働集約型であり、稼働率・稼働単価・離職率といったオペレーションKPIがバリュエーションのサポート要因になる一方、これらの変動が短期業績にダイレクトに影響する。エンジニア不足や単価下落といった外部環境変化が起こった場合、利益の弾力性は限定的となり、PER・PBRの再評価が必要となる局面が訪れる可能性もある。

*当社のPERは2025年5月12日に開示した通期業績の修正値、かつ投資有価証券評価損77百万円に係る一過性費用増の影響を除外した調整後EPSをベースに算出した値である点に留意。

HCHの現在の株価水準は高ROE・高成長・良好な財務体質に裏付けられた評価であり、中長期的なバリュエーションの持続には、戦略領域の収益性向上と人材マネジメント戦略の進化が鍵を握る。短期的な株価変動リスクとしては、人件費上昇に伴う利益成長の鈍化、および一時費用に起因する純利益の減少によるセンチメント悪化が想定されるが、調整局面では中長期のEPS成長力を信じた押し目買いの好機ともなり得る構造が維持されている。

11.業績と株価考察から得られる株式投資の結論

短期の利益調整を織り込んだ中長期視点が有効。連続成長の軌道上にある“収益力の進化”に注目

 HCHは、短期的には報酬制度や人件費上昇による利益圧迫を抱える一方で、戦略領域の拡大、M&Aによる非連続成長、強固な財務基盤に支えられた高ROE経営を実現しており、中長期の企業価値創出ポテンシャルは極めて高いと評価できる。

まず、2025年9月期の通期業績予想において、売上高は前年比+24.3%の増収が見込まれており、これは主にITコンサルティングや受託開発といった戦略領域の案件増加が牽引している。また、HCフィナンシャル・アドバイザーの子会社化により、上流から下流まで一気通貫で対応できる垂直統合型のモデルを構築しており、受託単価の向上と案件の大型化が進んでいる。加えて、AI・データ活用に強みを持つTARA社との連携により、先進技術領域への展開も視野に入る。

一方、営業利益は前年比+0.7%の微増、純利益は▲19.0%の減益見通しと、利益面では一時的に踊り場を迎えている。ただし、この要因の多くは投資有価証券評価損や報酬制度導入による一過性コストに起因しており、本業の収益力には毀損がない。2024年9月期12ヶ月のフリーキャッシュフローは4.78億円、2025年3月中間期末の現預金は12.00億円、有利子負債は7.02億円と、ネットキャッシュ5億円を確保しており、成長投資と株主還元を両立できる健全な財務体制が整っている。

株主還元の観点からも、2024年9月期には配当を1株あたり52円とし、4期連続の増配を実施。配当性向は21.1%、自己株式取得も実施し、総還元性向は32.8%に達している。中期経営計画で掲げる「総還元性向30%以上」という方針と整合的であり、今後のEPS成長に連動する形で配当水準の引き上げも十分に期待できる。

現在の株価水準に目を向けると、PER12.22倍、PBR2.67倍という水準は、ROE33.9%という高い資本効率、利益の大部分を再投資に振り向ける成長志向の資本政策を反映した評価といえる。益回りは9.7%、ネットキャッシュを加味すれば実質PERは11倍弱の水準であり、バリュエーションの割高感は限定的である。

短期的には、営業利益の横ばい推移や純利益の減少が株価の上値を抑制する要因となりうるが、これは主に構造的な人件費増加と報酬制度改革に伴うものであり、中長期的には人材の定着と収益性改善に寄与する可能性が高い。戦略領域の構成比拡大によって、利益率の回復とEPSの複利成長が実現されれば、現在のバリュエーションはむしろ割安水準と捉えることもできる。

総じて、HCHは、利益調整局面にある今こそ中長期視点で評価すべき「高成長型・高収益性企業」であり、押し目での投資妙味が大きい銘柄である。今後は戦略領域の成長持続性、M&Aの執行精度、人的資本の効率的活用が重要な評価軸となる。株価の短期変動に左右されることなく、非連続成長の軌道に乗りつつあるビジネスモデルの進化を捉える視点が求められる。

12.資本利益率(ROE)の推移と現在の評価

安定的に高水準を維持するROE。資本効率重視の経営の成果

 HCHは、資本効率の高い経営を一貫して志向しており、その成果は自己資本利益率(ROE)の推移に明確に表れている。2022年9月期におけるROEは34.8%と極めて高水準であった。 これは、当期純利益の増加と比較的軽量な自己資本構造によってもたらされたものであり、M&Aによる非連続成長や案件拡大による収益押し上げ効果が寄与した。その後、2023年9月期には44.7%、2024年9月期は33.9%と高水準を確保している。 これは、売上の拡大に加えて収益の質が安定してきたこと、ならびに自己株式取得などによる資本効率の改善が奏功した結果と評価できる。

このようにROEの推移は全体として高水準を維持しており、上場企業平均(東証上場全体で約9%)を大幅に上回る水準が続いている点に注目したい。HCHの中期経営方針では、「自己資本比率40%以下の維持」を基本方針として掲げており、これは過剰な自己資本を持たず、資本コストとリターンのバランスを意識した資本構成を追求する姿勢の表れである。実際、「4四半期連続で基準を超過しない」という方針にのっとり、25年1月に同社最大規模となる自己株式取得を実行している。

加えて、中期経営計画における2030年9月期EPS目標(1,000円超)では、ROEを引き続き30%以上に維持することが前提とされており、現時点での33.9%という実績はその達成可能性を裏付ける材料ともなる。利益成長を重視しつつも、資本効率の最適化という観点を明確に打ち出している点は、成長企業にとって稀有なバランス志向である。

従って、HCHのROEは単なる成長過程の副産物ではなく、資本政策と利益成長戦略が整合的に設計された結果として高水準を実現している。財務の安定性と戦略的再投資の姿勢が両立されており、企業価値創出力の強さを象徴する指標として、今後も投資家の注目を集めることになるだろう。ROEの水準とその質的内容は、HCHに対する株式投資の根幹に据えるべき評価軸である。

13. ROICとWACCに基づく経済価値創出の分析

ROICはWACCを大幅に上回り、資本コスト超過リターンによる価値創出が定常化

 HCHは、収益性と資本効率の両面において優れたパフォーマンスを示しており、ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の比較からも、継続的な経済価値の創出が明確に裏付けられる。2024年9月期におけるROICは20.0%と高水準であり、同社のビジネスモデルが本質的に高い投資収益性を内包していることを示している。一方で、WACCは資本構成や市場金利環境、信用リスク水準等を考慮して推定されるが、おおむね6〜8%台にとどまるとみられ、HCHのROICはこれを大きく上回っている。

このような構造は、経済的付加価値(EVA)の観点からもプラスの状態が定常化していることを意味する。すなわち、同社は投下資本に対して、資本コストを大きく超えるリターンを安定的に獲得しており、ROIC−WACCのスプレッドは10%以上と推定される水準である。これは、単なる成長ではなく、価値創造型の成長を志向する企業にとって極めて重要な財務的成果である。

この高ROICの背景には、①人的資本を中心とした軽資産モデルであること、②売上高成長を実現しつつ販管費の増加を一定範囲に抑制していること、③非資産化される人的投資が主であり固定資産投資負担が軽微であることが挙げられる。さらに、M&Aにより取得した子会社群も、直近では戦略的補完性の高い企業が中心であり、買収後の収益貢献が投下資本の回収サイクルを短期化させる構造をとっている。

一方で、今後のROIC維持には、追加の成長投資(とりわけM&A)における資本コストの上昇リスクと、PMI(統合プロセス)の成功可否が大きな影響を与える。特に競争の激しいIT人材市場では、人材獲得に伴う一時的な採用費・研修費・報酬上昇が投下資本を増大させる可能性があるため、投資回収効率のモニタリングは継続的に必要となる。

さらに、今後の金利環境や株式市場のボラティリティ次第では、WACCが緩やかに上昇する可能性も否定できない。HCHにとっては、WACCの変動を上回る形でROICを維持・向上させるため、非連続的なEPS成長と高付加価値案件への移行を両立させることが、企業価値最大化の条件となる。

現在のHCHは、資本市場において「資本コストを上回る収益創出を安定的に実現できている数少ない成長企業」と位置付けることができる。ROICは単なる収益性指標にとどまらず、株主にとっての投資効率を測るうえで極めて本質的な意味を持っており、今後のM&Aや戦略投資がこのROIC構造をいかに維持・強化するかが、投資家にとっての注視ポイントとなる。

14.フリーキャッシュフローと資本配分の視点から見る企業価値創出力

潤沢なキャッシュ創出を原資に、成長投資と還元を両立。ネットキャッシュ体質が支える柔軟な資本戦略

 フリーキャッシュフロー(FCF)の創出力においても極めて高い水準を維持しており、その財務戦略の柔軟性と企業価値創出力の源泉となっている。2024年9月期のフリーキャッシュフローは4.78億円(営業キャッシュフロー4.81億円−投資キャッシュフロー▲0.03億円)と、安定的かつ正味の資金流入を記録した。これは売上の拡大とともに利益水準を一定程度維持しつつ、成長投資が限定的であったことを背景としており、同社のキャッシュ創出モデルの健全性を端的に表している。

同社のキャッシュフロー構造は、労働集約型ビジネスながらも運転資本の効率的な管理と、非資産型の事業モデルにより、キャッシュの蓄積を妨げる要素が少ない点に特徴がある。IT人材サービス業では、受注から入金までのサイクルが比較的安定しており、営業活動からのキャッシュ創出は計画的に行いやすい。また、有形固定資産への大型投資が不要な点も、FCFの高位安定を支える要因である。

さらに、2024年9月期末における現預金残高は10.03億円、有利子負債は3.75億円と、ネットキャッシュは6.3億円であった。加えて、財務レバレッジを極端に利用することなく、自己資本比率は44.8%と健全な水準を維持しており、資本コストの抑制と資金調達耐性の両立が図られている。このようなネットキャッシュ体質のもと、同社は経営上の柔軟性を確保しつつ、成長と還元の両立を現実のものとしている。

実際、資本配分においては、M&Aによる事業ポートフォリオの強化とともに、株主還元策にも積極的な姿勢を見せている。2024年9月期には、4期連続となる増配(1株あたり52円)を実施しただけでなく、自己株式取得(上限2.2億円)にも踏み切り、総還元性向は32.8%に達した。これは中期経営計画で掲げる「総還元性向30%以上」の方針に合致しており、配当と自社株買いをバランスよく活用する資本戦略が明確に機能していることを示している。

今後もM&A戦略を継続する意向を示しているが、その実行余力はネットキャッシュの潤沢さによって担保されており、成長投資と株主リターンの両立が可能な企業財務構造となっている点は大きな強みである。さらに、キャッシュ創出を基礎とした企業価値の向上を意識した資本政策は、中長期投資家にとっても信頼に値する施策といえる。

HCHはフリーキャッシュフロー創出力に裏打ちされた強固な財務基盤のもとで、企業価値最大化に向けた資本配分を合理的に実行している。財務的柔軟性と再投資の質を両立させる同社の戦略は、今後のEPS成長と市場評価の持続性に大きく寄与することが期待される。投資家としては、同社のFCF水準が今後どのように推移し、それが新規事業・M&A・株主還元にどのように活かされるかを注視することが重要である。

15.株主還元策の今後の可能性とこれまでの実績の評価

連続増配と自己株式取得を通じた機動的な還元。収益成長と整合的な“攻守両面”の資本政策

 HCHは、成長志向の企業でありながら、株主還元についても明確な方針を持ち、実績としても高い水準を維持している。2024年9月期には、1株あたり年間配当金52円を実施し、前期比で1円の増配となった。これにより、同社は4期連続の増配を達成しており、安定的かつ累進的な配当方針を具現化している。配当性向は21.1%と過度な水準ではないものの、事業成長とのバランスを重視した姿勢が反映されており、持続可能な水準である点が評価できる。

これまでの還元実績を振り返ると、利益の成長と還元水準が一定の整合性を持って推移してきた点が特徴的である。利益が増加した年には積極的な増配や自己株取得が行われ、収益が伸び悩んだ年度には還元水準を抑制するのではなく、持続的な株主リターンを意識した姿勢が継続された。これは、単なる配当性向管理にとどまらず、資本構成やEPSの希薄化防止を含む包括的な株主還元戦略が導入されていることを意味する。

今後についても、成長性とキャッシュ創出力が維持される限り、増配余地と自己株取得の継続実施が可能と見込まれる。特に、2025年9月期以降の業績予想において、営業利益・純利益の回復が見込まれていることを踏まえると、配当のさらなる増額、あるいは機動的な自社株買いの再実施は十分に現実的な選択肢と考えられる。また、成長加速に向けたM&Aといった投資と、株主還元を両立させる財務余力があることは、長期保有を志向する機関投資家にとっても安心材料となる。

従って、HCHの株主還元策は、安定性と柔軟性を兼ね備えた戦略的対応であり、成長企業としては異例の高水準の総還元実績を維持している点で非常に評価が高い。企業価値創出と株主価値還元の両面から、投資家にとって信頼性の高い資本政策を継続している企業と位置付けられる。

16.企業価値評価(DCFPERPBR分析)

強気成長シナリオを織り込むバリュエーション。リスクプレミアムとネットキャッシュを加味した実質的割安感に着目

 現時点における市場評価は、グロース市場の中でも比較的強気の成長期待を織り込んだ水準にある。具体的には、2024年9月期実績ベースでの予想PERは12.22倍、PBRは2.67倍であり、ROE(28.3%)とのバランスを考慮すれば、一定の合理性を備えた評価水準と読み取れる。一方で、同社は潤沢なネットキャッシュ(5.0億円、時価総額40億円のうち約13%)を有しており、これを加味した実質的PERは11倍弱に低下する計算となる。益回りベースで見れば約9.7%に相当し、成長性と資本効率を踏まえると、相対的に割安とも評価できる。

PBRの水準に対しては、ROEが資本コストを大きく上回る水準で維持されている点から、PBR≒ROE÷資本コストという簡易理論式で評価した場合、妥当性は高い。たとえば、資本コスト(Cost of Equity)を8%と仮定した場合、28.3%÷8%=約3.54倍が理論的なPBR上限となり、現状の2.67倍という実測値はやや控えめな水準である。このことからも、現在の株価水準には成長の上振れ余地や事業ポートフォリオの拡張シナリオがフルには織り込まれていないとの見方も可能である。

DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)分析の視点では、現時点で開示されている中期経営計画(2030年9月期まで)に基づくシナリオC(EPS:1,016円)およびシナリオD(EPS:1,850円)を基準に、将来のキャッシュフローを推計することが可能である。仮にシナリオCが実現し、EPSが現在の約4.1倍となった場合、PERが12倍で維持されると仮定すれば、理論株価は現在の株価の約4倍に相当する可能性もある。より楽観的なシナリオDを用いれば、EPSは約7.5倍、同様のPER前提で理論株価は7倍超というシナリオも描ける。もちろん、これらは事業の持続成長、人的資本の拡充、M&Aの実効性など複数の前提に依存するものの、DCF的なアプローチからも現株価には将来成長の全容は織り込まれていないと考えられる。

他方で、短期的なバリュエーション上昇に関しては、人件費上昇や一時的な利益横ばいに伴うPERの上振れが制約となる可能性がある。特に労働集約型の事業構造においては、採用拡大や成果報酬制度の拡充が短期的な利益率を圧迫し、EPS成長のペースを一時的に鈍化させる可能性がある点には注意が必要である。

上記よりHCHの企業価値は、中長期的なEPS成長ポテンシャルと高ROEの持続性を前提としたときに、現在の株価水準はやや控えめ〜適正と評価される。DCF的には上値余地が広く、PER・PBRともにファンダメンタルズからの裏付けがあることから、株価が調整する局面では押し目買いの好機となる可能性もある。企業投資家としては、短期的な収益変動よりも、中期的な資本収益性とフリーキャッシュフローの成長曲線に注目すべき局面にある。

17.同業他社とのマルチプル比較分析

創薬導出型ベンチャーとの比較で相対的割安感が顕著。契約実績とパイプライン数が評価ギャップを生む

 HCHの属する「ITエンジニア派遣・受託開発・ITコンサルティング」領域は、人的資本を基軸としながらも、高付加価値領域での差別化が企業ごとの評価に直結する産業構造となっている。HCHは、単なるSES(システムエンジニアリングサービス)にとどまらず、ITコンサルティングやPMO支援、さらにはAIソリューションを担うTARA社などを通じて、付加価値サービスへの事業展開を進めており、その企業構造は一般的な派遣企業とは一線を画す。

主要な同業他社としては、TechnoProホールディングス(6028)、オープンアップグループ(2154)、SHIFT(3697)などが挙げられる。これらの企業は、いずれも一定の成長実績と市場からの評価を得ており、2025年7月時点でのPERはTechnoProが24.06倍、SHIFTが56.70倍、オープンアップグループが14.33倍である。これに対し、HCHは12.22倍にとどまっており、ROEが28.3%と圧倒的な資本効率を実現しているにもかかわらず、市場評価は依然として控えめである点が注目される。

PBR水準においても、TechnoProの5.51倍、SHIFTの12.45倍、オープンアップグループの1.99倍に対して、HCHは2.67倍で推移している。ROEとPBRの関係から見ると、HCHは収益性に対して市場からの評価が出遅れていることがうかがえる。すなわち、今後の成長実現とともに、バリュエーションのリレーティング(評価修正)が起こる可能性があると考えられる。

また、HCHは財務的にも健全で、ネットキャッシュを維持しつつ、積極的な自己株式取得と連続増配を両立している点も他社にはない特長である。SHIFTのような高成長IT企業は高い評価を受けているが、HCHにおいても戦略領域が売上高の30%以上を占め、今後のEPS成長や中期経営計画で掲げるEPS1,000円の達成に向けた進捗が見られれば、類似の評価レンジに移行する可能性は十分にある。

同業比較においてHCHは、最も高いROEを誇りながらも、PER・PBRはいまだ保守的な水準にとどまっており、将来的な評価修正が期待される。特に、成長性・資本効率・財務健全性の三拍子が揃った企業は市場において限られるため、現在の株価は投資機会としての妙味を内包していると判断できる。バリュエーションが是正される過程において、機関投資家の再評価が進む展開も視野に入る。

企業名証券コード 時価総額(億円 PER(倍 PBR(倍) ROE(%) コメント
ヒューマンクリエイションHD (7361) 40 12.22 2.67 28.3 高ROE・ネットキャッシュ構造が特徴
オープンアップグループ (2154) 1,576 14.33 1.99 17.0 建設・製造・ITにまたがる大手技術者派遣
TechnoProホールディングス(6028) 4,451 24.06 5.51 18.8 技術者派遣最大手。堅実な利益成長
SHIFT (3697) 4,535 56.70 12.45 16.4 高成長型。ITコンサル・PMO支援に注力

 

主要株価関連データ

 

主要財務データ

単位: 百万円 2021 2022 2023 2024 2025
CE
売上高 5,035 5,803 6,487 7,166 8,906
EBIT(営業利益) 478 545 698 631 635
税引前収益 464 546 701 630  
親会社株主帰属利益 276 343 438 404 327
現金・預金 846 673 1,020 1,003  
総資産 2,192 2,536 2,963 2,978  
債務合計 266 546 641 376  
純有利子負債 -580 -127 -379 -627  
負債総額 1,128 1,620 1,901 1,625  
株主資本 1,064 916 1,062 1,353  
営業活動によるキャッシュフロー 268 373 723 481  
設備投資額 11 3 17 7  
投資活動によるキャッシュフロー -52 -335 -169 -3  
財務活動によるキャッシュフロー 44 -212 -206 -496  
フリーキャッシュフロー 257 370 717 475  
ROA (%) 13.63 14.51 15.95 13.60  
ROE (%) 32.43 34.65 44.34 33.47  
EPS (円) 71.6 94.6 132.4 123.1 103.48*
BPS (円) 276.2 265.6 324.1 415.9  
一株当り配当(円) 24.49 25.00 25.50 26.00 27.00
発行済み株式数 (百万株) 3.85 3.85 3.85 3.57  

*投資有価証券評価損の影響を控除した調整後EPSは127.84円
出所:Omega Investment 作成、小数点以下四捨五入

 

財務データ I(四半期ベース)

単位: 百万円 2023/9 2024/9 2025/9
  2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q
[損益計算書]                  
売上高 1,620 1,671 1,632 1,649 1,770 1,845 1,902 2,013 2,058
前年同期比 16.7% 11.0% 5.6% 5.4% 9.3% 10.4% 16.6% 22.1% 16.3%
売上原価 1,132 1,158 1,127 1,184 1,262 1,295 1,346 1,421 1,473
売上総利益 488 513 505 465 508 550 557 592 585
粗利率 30.1% 30.7% 30.9% 28.2% 28.7% 29.8% 29.3% 29.4% 28.4%
販管費 300 324 329 325 373 369 381 380 419
EBIT(営業利益) 187 189 176 140 135 180 176 212 166
前年同期比 28.9% 39.5% -1.7% -3.7% -27.9% -4.5% -0.4% 51.7% 22.7%
EBITマージン 11.6% 11.3% 10.8% 8.5% 7.6% 9.8% 9.2% 10.6% 8.1%
EBITDA 216 218 205 169 166 212 207 243 199
税引前収益 190 190 175 139 135 182 174 212 87
当期利益 120 126 92 89 92 110 113 132 42
少数株主損益 0 0 0 0 0 0 0 0 0
親会社株主帰属利益 120 126 92 89 92 110 113 132 42
前年同期比 38.2% 47.9% -29.4% -10.9% -23.4% -12.9% 22.4% 48.3% -54.4%
利益率 7.4% 7.6% 5.7% 5.4% 5.2% 6.0% 6.0% 6.6% 2.0%
                   
[貸借対照表]                  
現金・預金 495 782 1,020 952 995 1,122 1,003 938 1,200
総資産 2,794 2,999 2,963 2,791 2,997 3,035 2,978 3,004 3,365
債務合計 878 845 641 587 574 425 376 326 702
純有利子負債 383 63 -379 -365 -420 -697 -627 -612 -499
負債総額 1,932 1,999 1,901 1,695 1,788 1,764 1,625 1,602 2,013
株主資本 862 999 1,062 1,096 1,209 1,271 1,353 1,402 1,352
                   
[収益率 %]                  
ROA 17.51 17.34 15.95 15.54 13.80 12.70 13.60 15.43 12.48
ROE 50.20 51.25 44.34 47.24 38.60 33.76 33.47 35.80 31.01
[一株当り指標: 円]                  
EPS 36.6 38.5 28.2 27.2 27.9 33.4 34.7 40.6 13.2
BPS 263.0 305.0 324.1 334.4 366.4 387.1 415.9 431.0 429.8
一株当り配当 0.00 0.00 25.50 0.00 0.00 0.00 26.00 0.00 0.00
発行済み株式数 (百万株) 3.85 3.85 3.85 3.85 3.85 3.85 3.85 3.57 3.57

出所:Omega Investment 作成

 

財務データ II(通期ベース)

単位: 百万円 2021 2022 2023 2024
[損益計算書]        
売上高 5,035 5,803 6,487 7,166
前年同期比 10.3% 15.3% 11.8% 10.5%
売上原価 3,607 4,030 4,522 5,087
売上総利益 1,428 1,773 1,965 2,079
粗利率 28.4% 30.6% 30.3% 29.0%
販管費 950 1,228 1,267 1,448
EBIT(営業利益) 478 545 698 631
前年同期比 57.5% 14.0% 28.0% -9.6%
EBITマージン 9.5% 9.4% 10.8% 8.8%
EBITDA 558 659 813 754
税引前収益 464 546 701 630
当期利益 276 343 438 404
少数株主損益 0 0 0 0
親会社株主帰属利益 276 343 438 404
前年同期比 31.2% 24.3% 27.8% -7.8%
利益率 5.5% 5.9% 6.8% 5.6%
         
[貸借対照表]        
現金・預金 846 673 1,020 1,003
総資産 2,192 2,536 2,963 2,978
債務合計 266 546 641 376
純有利子負債 -580 -127 -379 -627
負債総額 1,128 1,620 1,901 1,625
株主資本 1,064 916 1,062 1,353
         
[キャッシュフロー計算書]        
営業活動によるキャッシュフロー 268 373 723 481
設備投資額 11 3 17 7
投資活動によるキャッシュフロー -52 -335 -169 -3
財務活動によるキャッシュフロー 44 -212 -206 -496
フリーキャッシュフロー 257 370 717 475
         
[収益率 %]        
ROA 13.63 14.51 15.95 13.60
ROE 32.43 34.65 44.34 33.47
当期利益率 5.48 5.91 6.76 5.64
資産回転率 2.49 2.45 2.36 2.41
財務レバレッジ 2.38 2.39 2.78 2.46
[一株当り指標: 円]        
EPS 71.6 94.6 132.4 123.1
BPS 276.2 265.6 324.1 415.9
一株当り配当 24.49 25.00 25.50 26.00
発行済み株式数 (百万株) 3.85 3.85 3.85 3.57

出所:Omega Investment 作成