再び二桁増益軌道へ
営業組織再編の効果が顕在化
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サマリー
イノベーションホールディングス: 安定的、かつ持続力ある二桁高成長を実現
財務指標
株価 (7/29) | 1,000 | | 26.3 P/E (会予) | 16.3x |
年初来高値 (25/3/6) | 1,038 | | 26.3 EV/EBITDA (会予) | 7.6x |
年初来安値 (25/4/7) | 854 | | 25.3 ROE (実績) | 28.1% |
10年来高値 (23/3/10) | 1,340 | | 25.3 ROIC (実績) | 24.7% |
10年来安値 (20/4/6) | 477 | | 25.9 P/B (実績) | 4.18x |
発行済株式数 (mn shrs) | 17.674 | | 26.3 DY (会予) | 3.00% |
時価総額 (¥ bn) | 17.674 | | | |
EV (¥ bn) | 12.597 | | | |
Equity ratio (3/31) | 25.6% | | |
オメガ・インベストメントが考えるイノベーションホールディングスの魅力
2017年10月の上場から2025年3月期までの過去8事業年度において、売上高は年平均成長率(CAGR)+15.2%、営業利益は+20.5%、総株主資本は+18.4%、総配当額は+32.6%で成長しており、2024年3月期にはDOEが10%を超え、配当性向は50%を超えている。 P1下のグラフから分かるように、転貸借契約の稼働店舗数の2桁成長は、外食市場の動向とは無相関で、極めて安定しており持続性がある。
Part ①:はじめに
イノベーションホールディングスの転貸借取引は外食産業店舗市場と相関しない
新型コロナウイルス感染症の最盛期である2020年においても、転貸借店舗の稼働店舗数はわずかに減少しただけで、会計年度の前年比はわずかな減少にとどまった。ビジネスモデルの強みをまとめると、主に東京都心部において、 ①通りに面した1階(駅近に関わらず)、②月額賃料が絶対額で手頃(平均30万円台前半)、③居抜き物件(初期投資コストを抑えられる)、である店舗物件を厳選していることが、常に高い需要をもたらしている理由である。平均的な入れ替わり率は長期的に安定しており、毎年約10%、5年ごとに50%に相当する。 2019年3月のパンデミック前の水準と比較すると、2024年3月には同社の転貸借物件の稼働店舗数は1,459店舗から2,445店舗へと67.6%増加し、5年間の年平均成長率(CAGR)は10.9%となっている。
※注:平均的な入れ替わり率は解約件数と一致しない。下段のグラフでは後継契約(新規テナント)と契約終了(退去)を個別に表示している。上段のグラフは月末時点の稼働転貸借契約数の推移を示している。
唯一無二の東京首都圏飲食店向け転貸借のスペシャリスト
持株会社体制への移行について
同社グループは、経営資源の最適配分、次世代の経営人材の育成、事業環境の変化に柔軟に対応できる意思決定と体制の構築を目的として、持株会社体制へ移行することを決定した。これにより、グループ各事業への集中を通じて事業拡大を図ることができる。持株会社体制への移行により、持株会社がグループ全体の経営を統括し、各子会社はそれぞれの事業推進に注力することで、グループ全体の企業価値の最大化を目指す。
吸収分割の効力発生日は2024年10月1日。同社は引き続き東証プライム市場に持株会社として上場している。新体制、新商号・ロゴ等の詳細については下記の図表に示す。
Part ②:事業内容
事業内容、ビジネスモデルの強み・魅力
当社のウェブサイトにアクセスし、トップページを開くと、東京都心の空撮映像が表示される。そして、右下をクリックすると、1分24秒の派手なYouTube動画がキャッチーなサウンドトラックとともに流れ、東京のレストラン市場の魅力がわかりやすくハイライトされている。
東京× TENPO INNOVATION
東京を掴め。
世界一の乗降客数 新宿駅:359万人
世界一の飲食店数 東京都:79,601店
世界一の美食都市 ミシュラン掲載店数:226店
最高のポテンシャルを秘めたこの都市で、私たちは勝負する。
世界一の横断者数 渋谷
世界一のサブカル街 秋葉原
やれることはもっとある。
未開拓市場99%
立ち止まらず、突き進む。
それが大きなうねりとなり、この都市を包み込んでいく。
だからやれる、をだからやる。
飲食店店舗物件の転貸借スペシャリスト「テンポイノベーション」
当社は不動産会社であるが、一般の不動産会社のように仲介業務や管理業務は行っていない。また、当社は、店舗に特化した不動産会社であり、一般的な不動産会社は、住宅、事務所、倉庫、駐車場等を取り扱っているが、当社はこれらを一切扱わず、店舗物件にのみ特化している。契約の約90%が飲食店向けであることからも、当社は飲食店向けの店舗転貸借事業のスペシャリストと言える。
当社は、主に店舗の居抜き物件を不動産所有者から賃借し、飲食店経営者に転貸する事業を行っている。当社によれば、オーナーとの賃貸借契約の標準的な契約形態は、3ヶ月前の解約予告を必要とし、当社が解約しない限り、原則として継続的に賃貸借契約を更新できる賃借権が自動的に付与されるものであるとのことであり、この賃借権は、P.4に示すように、当社の転貸借事業を長期的に安定させる重要な要素である。飲食店との標準的な転貸借契約では、解約は7カ月前に通知することが規定されており、また店舗経営者は、賃料の10カ月分の保証金を預け、賃貸借契約の連帯保証人を立て、家賃履行保証契約を結ぶ必要がある。
店舗転貸借事業の収入は、「イニシャル収入」と「ランニング収入」に分けられている。初期収益は、1)日本市場特有の慣習であり、新規テナントが家主に支払う必要があり解約しても返還されない「礼金」、と、2)什器付き物件に新規テナントが入る際の備品売却代金、から構成されている。営業収入は、店舗のテナントから毎月支払われる家賃から構成されている。当社によれば、その内訳は、初期収益が10%、ランニング収益が90%程度とのこと。外食産業は比較的失敗が多いと言われており、平均契約期間は事実上重要ではないが、当社によれば、平均回転率は毎年約10%、5年で約50%と長期的に安定している。
株式会社セーフティーイノベーションの店舗家賃保証事業
2020年4月より改正民法が施行され、店舗賃貸物件の家賃保証は、物件の貸主と借主の双方にメリットがある制度として社会的に広がりを見せている。従来では、テナントが申込時に家賃保証契約を締結し、外部の家賃保証事業者に業務を委託していたが、当社は17年以上にわたる2,000件以上の飲食店店舗物件の転貸借経験と独自の審査ノウハウにより、転貸借物件のリスク評価を十分に行うことが可能。この収益源を自社に取り込むことを目的に、2022年4月に店舗セーフティー株式会社(現株式会社セーフティーイノベーション)を設立した。
同社によると、成約数に応じて家賃保証契約を締結する必要があり、家賃保証料は家賃の約1カ月分に相当するという。このうち大多数を新設した株式会社セーフティーイノベーションが担当している。従って、成約数は四半期当たり100件を超え、その大多数が四半期毎にグループの利益に直接貢献している。このビジネスは事実上100%の営業利益率を誇り、成長は成約数に直結している。収益性の高い後継契約の増加とともに、店舗家賃保証事業が今後の利益率の構造的な原動力となるだろう。
*注)2024年2月、店舗セーフティー株式会社から株式会社セーフティーイノベーションに商号変更。
同社は不動産売買事業も手掛けており、これは販売用不動産の売却等によって計上される収益である。転貸借物件については、魅力的な店舗物件の調達が重要なポイントであり、不動産業者は当社の希望に合致する有力な候補物件情報を提供してくれる有力な情報源である。しかし、不動産業者から見れば、テナント探しの手数料は賃料の1カ月分、おおよそ30~35万円が相場であり、大きな金額ではない。一方、物件の売買手数料は数百万円から1千万円にもなる。
不動産業者は転貸借物件に関する貴重な情報を持っているため、不動産業者との
リレーションシップを強化することや取引先における不動産売買のニーズに応えることを意図している。不動産の平均購入価格は9,000万円前後と小さく、すぐに転売に回されるため、平均保有期間は約7.7ヵ月(1年以上の場合もある)で、空室で仕入れた物件をグループ内でリーシングすることにより、価値を上げて売却する場合もあることから平均粗利率は35%程度である。
次に、主力の外食店舗の転貸借事業について、主な3つの領域における典型的な業務の流れを見てみよう。
オーナーからの店舗物件リース(仕入れ)
主要駅エリアごとに配置された営業担当者による不動産業者への営業活動、取引先や既存店舗運営者からの紹介、店舗買取に特化した自社サイト「店舗買取り.com」を通じて、撤退を検討している店舗の情報を収集し、当社で取り扱う物件の調査を進めている。当社は、長年にわたる店舗物件の取扱いとその後の検証・分析により、物件評価に関するノウハウが蓄積されている。
居抜き店舗物件専門サイト「居抜き店舗.com」
本レポート執筆時点で、会員(出店希望登録者)数は111,113名、累計掲載物件数は91,829件、現在は東京23区を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を含む3,328件の物件を掲載中。
各物件の調査は、当社の仕入担当者の経験と専門知識により培われたノウハウに基づいて行われ、物件の取り扱いを支えている。物件調査後、候補物件の貸主または不動産業者と交渉し、賃貸借契約の詳細を取り決め、保証金等の契約金を支払い、物件所有者と当社との間で賃貸借契約を締結する。
店舗物件の転貸借について
賃貸借契約を締結している店舗物件については、不動産業者を介するほか、出店希望者が物件を探しやすい仕組みである居抜き店舗物件を中心とした情報提供サイト「居抜き店舗.com」の会員に紹介することで、入居希望者を募っている。日々入手する物件情報をスピーディーに掲載・更新することで情報価値を高めており、出店希望者と店舗をマッチングさせる当社の強みとなっている。出店希望者から物件申込を受けたスタッフは、信用審査、転貸借物件の内容交渉、礼金等の契約金の受領、テナントとの転貸借契約の締結を行う。
店舗の物件管理
物件管理業務では、不動産オーナーや物件管理会社が抱える家賃回収やトラブル対応などの課題に対し、テンポイノベーションが蓄積したノウハウを活用し、業務を代行し自ら行っている。また、トラブルの未然防止や早期発見・対処のため、物件のチェックや情報収集、店舗運営者等との関係構築を行っている。
物件管理
転貸借物件の現地調査結果をもとに物件管理を行う。トラブルの未然防止に注力しており、物件仕入れの段階から、雨漏りや設備の不具合など、物件ごとに詳細な点検記録を作成している。
問題の内容や段階に応じたスクリーニング管理を実施し、最短時間で対応する組織体制を構築し、重大なトラブルの未然防止に万全を期している。不動産管理スタッフ1人あたりの担当物件数は約140件で、年間1,000回以上出動している。
会社沿革
当社は、2007年12月の株式会社テンポリノベーションの分社化に備え、2007年11月に株式会社テンポリノベーションを設立し、テンポリノベーションから飲食店舗出退店支援事業(出店希望者への物件紹介・支援、撤退希望者への店舗施設購入・支援)の一部を譲り受けた。旧株式会社テンポリノベーションは、2001年10月に株式会社レインズインターナショナルの子会社として、飲食店の経営を目的として設立(設立時の商号はレイフィールズ株式会社で、日本最大の焼肉チェーン「牛角」をはじめ、居酒屋、しゃぶしゃぶ店等のブランドを有していた)。
2005年4月には、新たに飲食店舗出退店支援事業を開始(現会社の事業活動の実質的な開始)。2007年12月の会社分割に際し、飲食店舗出退店支援事業をレインズインターナショナル物件に係る事業とレインズインターナショナル物件以外の物件に係る事業に分割し、レインズインターナショナル物件以外の物件に係る事業を当社に承継させた。同年テレウェイヴ(現アイフラッグ)の連結子会社となり、2009年にクロップス株式会社(9428)の連結子会社となり、2013年に社名を「テンポイノベーション」に変更。
2024年10月に株式会社イノベーションホールディングスを持株会社とする新グループ持株会社体制に移行。(詳細は、P6に記載)
次に、取締役2名が現在の利益を生み出すビジネスモデルをどのように開発したのか、その起源について説明する。
テンポイノベーションの魅力的なビジネスモデルの誕生秘話
2007年の設立当初は、不動産業ではなく、飲食店の撤退・出店を支援するコンサルティング業であった。都内で飲食店の出店に関わる事業を行うことだけは決まっていたが、どのような形で収益化を図るのかは明確には定まっていなかった。当時最も力を入れていたのは、飲食店の店舗物件を扱うだけでなく、フランチャイズという形で繁盛店のビジネスモデルを紹介すること、店舗物件の工事を請け負うこと、不採算店の売上向上のためのコンサルティング業務などであったが、需要が少なく不採算となったため、これらの業務はすべて中止し、経営陣は都内の好立地の居抜き店舗物件の紹介が最も需要が高いと判断し、その分野に注力した。
当社は、転貸借によるストック収入を定期的に得るため、コンサルティング事業を不動産事業に転換した。これは重要な転機となった。不動産に精通した専門家が、この分野で成功するのは難しかっただろう。店舗物件の市場は、不動産業界の中でもかなり狭く、専門性が高い。経営陣の経歴は焼肉店「牛角」を経営する会社であり、不動産の分野では素人であった。しかし、飲食業のプロとしてのノウハウや、蓄積された店舗物件のノウハウがあった。
経営者の狙いは、総合的に不動産業に参入する計画というより、店舗物件に専門特化した独自の事業に取り組むことだった。適切なビジネスモデルに辿りつくのに時間はかかったが、これによって当社は持続的な成長軌道に乗った。
転貸借物件の選定基準、テナント選定の基本方針
転貸借の目的で物件を選定する際の基準は主に3つある: 1)通りに面した1階の店舗であること、2)絶対賃料が手頃であること、3)居抜き店舗であること、である。従来の常識では、人通りが多く、駅に近く、大通りに面しているのが「良い店舗物件」とされてきた。ファーストフード店や大手外食チェーン店であれば、それが必須条件となるだろう。しかし、個人・零細企業の飲食店経営者にとっては、ランニングコストに加え、初期立ち上げコストを考慮すると、そのような店舗物件に高い賃料を設定することは、経済的に無理がある。テンポイノベーションが蓄積してきた経験では、駅から多少離れていても、賃料の安い居抜き店舗物件の需要は常に高い。賃料の安さと同様、居抜き物件も初期投資コストの低さがポイントだ。
同社によれば、テナント選定の条件は実はそれほど多くないという。転貸物件の選定はかなり厳しいが、入居希望者の場合、所定の信用審査を経て、保証金10カ月、連帯保証人、家賃保証契約を締結することが義務付けられている。実際、飲食業は開店と閉店の比率が高く、失敗する店も多い、新規テナントが飲食店経営を成功させるかどうかの判断は非常に難しい。テンポイノベーションのビジネスモデルは、仮にテナントが出店して失敗しても、店舗物件が前述の条件を満たしていれば、常に需要の高い店舗物件であるため、次のテナントを募集すればよいという仕組みになっている。
出店に有利なテナントの属性としては、既存店があり実績があること、ローンを組まずに出店資金を調達できることなどが挙げられる。業態については、テンポイノベーションのポートフォリオは市場全体の一般的な傾向を反映している。例えば、居酒屋やラーメン店のテナントが多い。
テンポイノベーションのビジネスモデルが成長と安定を両立できる理由
安定性については、同社がオーナーから店舗物件を賃借する際に自動的に付与される賃借権がポイントとなる。原則として、同社が解約しない限り、賃貸借契約を更新し続けることができる。2020年2月にCOVID-19が世界的に大流行し、東京都知事による非常事態宣言、自宅待機命令、飲食店の営業時間短縮・停止などが発令された際、同社は慎重を期して4月に一定数の賃貸借契約について3カ月前告知を実施したため、同年7月から10月にかけて解約が相次いだ。しかし、同社が厳選した店舗物件に対する底堅い需要が、急速な回復を支えた。
成長性については、転貸借物件を着実に増やすことによる成長がある。しかし、店舗転貸借事業の利益率の上昇による構造的な成長要素はあまり理解されていない。具体的には、礼金や契約関連費用など、新規貸借契約締結に伴う初期取得コストがある。転貸借契約の年間解約率は長期的に安定しており、毎年平均10%、5年ごとに50%となっている。同社の既存テナントが事業から撤退し、新たなテナントを募集する場合、前述の転貸借物件の取得コストは最初の契約時に埋没しており、2回目以降の契約では、礼金やその他の初期収入は実質的に純粋な利益となり、取得コストは発生しない。現在の転貸借契約の約35%が後継契約に置き換わっているが、この比率は時間の経過とともに着実に上昇しており、その結果、今後の利益率は構造的に着実に上昇していくことになる。
Part ③:決算レビュー
2025年3月期の連結売上高は+16.8%、営業利益は+41.8%
下表の通り、期末時点の転貸借物件数は前期比+261件の2,706件(+10.7%)となり、P.4下段のグラフの通り、1~3月の第4四半期には新規・後継契約を合わせた成約数が過去最高を記録。連結売上高は前年同期比+16.8%増、売上総利益は+25.8%増、粗利率は18.0%→19.4%へ+1.4ポイント上昇。これは転貸借物件の増加、大型不動産の売却、初期収入の拡大、高粗利の家賃保証収益の増加などが寄与した。営業利益は、賃料収入の増加、不動産売上の計上、成長に向けた先行投資の一巡、販管費の抑制により+41.8%増となった。不動産売買事業では8物件を売却、8物件を取得(1~3月の第4四半期では2物件売却、取得はなし)。期末時点での保有物件数は4件。
2026年3月期の期初会社予想と中期経営計画の概要は次ページ下段に記載。2026年3月期の主要見通しは、売上高+13.3%増、営業利益+16.1%増、営業利益率は8.3%→8.5%へ+0.2ポイント改善となっている。成約数は前期比+88件の576件(+18.0%)、期末の転貸借物件数は+318件の3,024件(+11.8%)となる見込みである。3子会社それぞれの重点施策については、次の2ページにわたって記載している。配当金は5期連続の増配で、28.0円から30.0円へ、配当性向は48.8%となる見通し。
株式会社テンポイノベーション - 店舗転貸借事業
①仕入拡大
➡新たなチャネルからの仕入れを開始し、上層階や非飲食用途物件の本格取り扱いを開始
②採用
➡2025年3月期の実績(営業職21名・物件管理職9名採用)を踏まえ、新卒・中途問わず採用を継続
③自社サイト
➡自社サイト「居抜き店舗.com」(居抜き物件へのテナント誘致)および「店舗買取り.com」(什器買取)による集客強化
テンポイノベーション 営業戦略
株式会社セーフティーイノベーション - 家賃保証事業
①営業力強化
➡拠点展開と採用の加速により営業力を強化し、代理店開拓と保証利用促進を推進
②人材育成
➡勉強会、事例共有、Q&A用LINEグループ等を活用し、金融・不動産に強い人材を育成
株式会社アセットイノベーション - 不動産売買事業
①顧客開拓
➡採用および東京都心6区での集中営業に加え、一般法人や不動産仲介会社へのアプローチにより顧客基盤を積極的に拡大
② DX(デジタル・トランスフォーメーション)と連携強化
➡業務システムの導入により業務効率化を図り、グループ各社との連携を深めるための勉強会を実施
2025年3月期上期の連結売上高は前年同期比16.8%増、営業利益は同30.1%増
外食業界では、円安によるインバウンド需要の回復が寄与し、都市部や観光地を中心に売上・客数が増加している。飲酒店では、深夜時間帯の客数や大型宴会需要が徐々に回復しているが、原材料費や光熱費の高騰、人手不足などにより、店舗運営は依然として厳しい状況にある。営業体制の再編が進行中であるため、成約数(新規+後継)は前年同期比で7.3%減少したものの、四半期ごとの傾向は1Qの103件から2Qの114件へと改善している。転貸借物件の店舗数は210件増加し、合計2,545件(+9.0%)となった結果、転貸借セグメントの売上は前年同期比で10.9%増加した。セグメントの営業利益は、調達コストの削減(前期の積極的な調達に伴う空室賃料)や契約更新による売上総利益率の大幅な上昇、販売費および一般管理費の適切な管理が寄与し、34.1%増加した。
不動産販売事業は、第2四半期に大型物件1件を売却したことで四半期ベースで大きく貢献し、上期のセグメント売上高は8.0%増、セグメント営業利益は13.7%増となった。 3件の物件を売却、6件の物件を取得し(第2四半期は2件を売却し、5件を取得)、9月末時点で総在庫数は7件となった。 下表の通り、上期営業利益は当初予想比17.3%減と想定されていたが、粗利率が17.8%から18.6%へ大幅に改善したこと、並びに販管費の調整により人件費増を吸収したことで、(P21の営業利益増減要因分析グラフ参照)前年同期比30.1%増となり、当初予想を57%上回る結果となった。これに伴い、P21下段の通期会社予想も上方修正されている。
2025年3月期 ホールディングス体制下での事業拡大への取り組み
2025年3月期は新中期経営計画の初年度として、売上高は増収が見込まれていた一方で、各事業の積極拡大に伴う人員増加による販管費増の影響により、営業利益は前年同期比▲6.9%の減益予想でスタートした。しかし、粗利率が17.8%→18.6%へ大幅に改善し、販管費の適切な管理によって人件費増を吸収した結果、上期連結営業利益は前年同期比+30.1%増となり、期初予想を57%上回った。これを受けて通期業績予想は上方修正され、初年度から過去最高益を見込んでいる。営業組織再編の効果は今後徐々に顕在化していくだろう。
株式会社テンポイノベーション – 店舗転貸借事業
ビジョン:転貸借の商習慣を変え、店舗物件のスタンダードを創造する
① 営業面
② 教育
③ 採用活動
④自社サイト
株式会社セーフティーイノベーション – 家賃保証事業
ビジョン:事業用不動産家賃保証契約数で保証業界No.1を目指す
① 立ち上げ準備
② 業務フロー
事業用不動産に特化した家賃保証により、グループ外案件を積極的に獲得する。店舗物件ノウハウの活用とエージェントへの付加価値提供によるシナジー効果で事業拡大を図る。
株式会社アセットイノベーション – 不動産売買事業
ビジョン:事業用不動産流通のリーディングカンパニーになる
① 顧客の開拓
② 教育・連携
Part ④:株価動向
主な要点
❶ 現在のPERとPBRは、過去の平均からそれぞれ33%と20%のディスカウントで取引されている。EV/EBITDAは43%のディスカウントで取引されている。重要な点は、配当利回りが過去の平均を88%上回って取引されていることである。
❷ 自己資本比率は25.6%と一見低いように見えるが、これはB/Sが多額の預り金で構成されていることを反映している(P26のB/S参照)。当社は実質的に無借金経営と言え、B/Sは極めて健全である。
❸ 2024年3月期から配当方針を変更し、目標配当性向を従来の30%台から40%台に引き上げたことを受け、 2024年3月期のDOEが10%を超え、配当性向が50%を超えた。
2024年3月期における株価の大幅なアンダーパフォーマンスは、ホールディングス体制下で今後の大きな成長機会を捉えるための先行投資に伴う短期的な利益率低下を織り込んだことが明確な要因である。
当初は2期連続の営業減益が見込まれていたが、粗利率の大幅な改善や販管費の管理によって人件費増を吸収したことで、過去最高益が見込まれるようになったにもかかわらず、現在の株価にはこの修正見通しが十分に織り込まれていない。オメガ・インベストメントは、利益成長と、相対的な株価低迷との乖離が、このまま続くことはないとみている。