株価(7/18) | 1,230 円 | 予想配当利回り(25/3予) | ー % |
52週高値/安値 | 2,350/1,029 円 | ROE(24/3実) | 6.6 % |
1日出来高(3か月) | 4.4 千株 | 営業利益率(24/3実) | 10.1 % |
時価総額 | 44 億円 | ベータ(5年間) | NA |
企業価値 | 19 億円 | 発行済株式数 | 3.420 百万株 |
PER(25/3予) | 22.0 倍 | 上場市場 | 東証グロース |
PBR(24/3実) | 1.61 倍 |
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◇BlueMeme(以下、同社)は「ローコード型アジャイル手法」開発の日本の草分け。2006年の創業後、OutSystems社のローコード技術を本邦ではじめて導入し、これを軸にシステム開発サービスの提供を進めてきた。同社は「デジタルレイバー」という独自の自動化コンセプトを推し進めるため、積極的な投資を行っている。この取り組みは、日本のIT人材の不足と偏在という課題を克服し大企業のみならず中小企業のDXに対する取り組みを加速させると同時に、同社自身の生産性も改善させることが期待されている。このため、デジタルレイバー技術の開発が回収フェーズに移行する際には、その収益が飛躍的に拡大するものと期待される。
◇成長戦略:中期経営計画(2023年11月14日公表)によれば、デジタルレイバーの開発が進む2026/3期に売上高41億円、営業利益9.2億円、プロフォーマEBITDA11.9億円を、 2028/3期にかけてデジタルレイバーの本格適用とパートナー事業拡大によって売上高100億円の達成を目標としている。今回の決算発表においてもこの目標は堅持されている。
◇過年度の決算訂正:従来長期契約を含むライセンス取引において単年度ごとに収益認識していたものを、契約時に一括収益認識することが適切な会計処理だとの判断に至るなどの理由で、2022年3月期以降に関する訂正値が公表された。ただし損益面での影響は限定的である。
◇2024年3月期通期決算:2024年3月期通期実績は売上高25.0億円(前年度比9.5%増)、営業利益2.5億円(同29.4%減)となり、会社予想を下回る増収減益となった。ただし、プロフォーマEBITDA(注)は計画を上回り、受注残も増加しており、実態は決して悪くない。また手元現金残高に大きな増減はない。
なお、既報であるが、2024年3月15日、同社はデジタルレイバーを活用した「アジャイルオンデマンド for OutSystems」サービスを提供開始し、同社筆頭株主である三井情報が本サービスの販売を開始すると発表している。
◇ 2025年3月期会社予想:2025年3月期通期会社予想は、売上高31.0億円(同23.7%増)、営業利益2.5億円(同1.2%減)、経常利益2.5億円(同1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2.0億円(同14.4%増)である。これは前述の中期経営計画の数値を継承したものである。
受注拡大で増収となる一方、デジタルレイバー関連の投資負担が続き、営業利益・経常利益がほぼ横ばいになるとの見立てである。
◇株価動向と注目点: 株価は2024年2月15日のQ3決算発表直後に一旦1,135円まで下げたもののすぐに反発し1,499円まで上昇した。その後株価は緩やかに下落し1,100円まで調整したが、その後じり高となった。5月29日の通期決算の発表後、株価は再び下げたが一時的下落にとどまり、すぐに持ち直して1,200円台まで回復している。
2025年3月期はデジタルレイバーの開発などが佳境に入りその費用が収益を圧迫する。しかし、この開発が順調に進めば、その後の収益はJカーブ型の成長軌道に入る見通しである。よって、株価が本格的な上昇軌道に入るためには、今後四半期毎に「受注・売上高・プロフォーマEBITDA」が加速度的に増加し、同時にこの開発負担が峠を越える姿を確認する必要がある。
(注)プロフォーマEBITDAとは、税引前利益に、特別損益、支払利息、及び減価償却費を加算し、さらに、デジタルレイバーを始めとする研究開発費、及び、エンジニアの採用・教育コストを加算した同社のITサービスデリバリー事業の実力値となる利益水準を示した指標。
目次
サマリー | 1 |
主要財務データ | 2 |
過年度の決算訂正 | 3 |
2024/3期通期決算実績 | 4 |
2025/3期業績予想 | 5 |
株価動向と今後の注目点 | 6 |
財務データ | 8 |
主要財務データ
決算期 | 2020/3期 | 2021/3期 | 2022/3期 | 2023/3期 | 2024/3期 | 2025/3期 (会社予想) |
売上高 | 1,800 | 2,101 | 1,929 | 2,244 | 2, 506 | 3,100 |
売上原価 | 1,275 | 1,410 | 885 | 1,129 | 1,241 | – |
売上総利益 | 524 | 691 | 1,044 | 1,160 | 1,265 | – |
販売費及び一般管理費 | 492 | 515 | 680 | 802 | 1,012 | – |
営業利益 | 31 | 175 | 363 | 358 | 253 | 250 |
経常利益 | 30 | 174 | 348 | 354 | 254 | 250 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 10 | 130 | 253 | 259 | 174 | 200 |
流動資産 | 1,073 | 1,179 | 2,754 | 3,324 | 3,389 | – |
現金及び預金 | 584 | 645 | 2,356 | 2,224 | 2,228 | – |
固定資産 | 199 | 206 | 201 | 206 | 344 | – |
資産合計 | 1,272 | 1,386 | 2,956 | 3,531 | 3,733 | – |
負債合計 | 914 | 862 | 601 | 819 | 1,071 | – |
純資産合計 | 358 | 523 | 2,354 | 2,659 | 2,609 | – |
自己資本比率(%) | 28.1 | 37.8 | 79.6 | 75.3 | 69.9 | – |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 174 | 182 | 338 | 94 | 252 | – |
投資活動によるキャッシュ・フロー | -13 | -21 | -9 | -46 | -106 | – |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 59 | -100 | 1,381 | -179 | -141 | – |
現金および現金同等物の期末残高 | 584 | 645 | 2,356 | 2,224 | 2,228 | – |
EPS | 5.15 | 62.49 | 78.48 | 74.00 | 50.49 | 58.34 |
DPS | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
BPS | -168.57 | 190.38 | 688.72 | 750.50 | 762.93 |
注)2022/3期より、収益認識会計基準(新基準)を適用。従って、2021/3期までと2022/3以降では連続性がない
出所:同社資料より Omega Investment 作成
過年度の決算訂正
過年度の決算訂正:
同社は2024年5月14日に決算短信の発表を延期し、5月29日に決算短信および過年度決算の訂正を発表している。さらに2024年6月21日には上記の二つの開示の一部訂正を発表している。
この延期の原因は、ソフトウェアライセンス販売の収益認識について、2022 年3月期の期首から適用している「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号 2020 年3月 31 日)等に照らし、同社が採用すべき会計方針の再検討が必要であることが判明したためである。
具体的には
1 従来長期契約を含むライセンス取引において単年度ごとに収益認識していたものを、契約時に一括収益認識することが適切な会計処理だとの判断に至った
2 本来ソフトウェアライセンス販売に分類される取引の一部がプロフェッショナルサービスの収益として集計・表示されていたことが判明した
ことから、過年度の有価証券報告書等を訂正することとなった。
この結果、損益の修正と純資産・総資産の修正が行われた。端的に言えば、過去の年度において従来よりも前倒しで売上高と利益が認識されることになっている。総資産の修正は大きめ(2024年3月期3Qにおいては2,876百万円から3,293百万円へ14%増)であるが、損益面の影響は限定的であり、同社の評価に大きな変更は不要と考えられる。
出所:同社資料より Omega Investment 作成
2024年3月期通期決算
2024年3月期通期決算:増収減益で会社予想を下回るが、KPIはしっかり。
2024年3月期通期実績は売上高25.0億円(前年度比9.5%増)、営業利益2.5億円(同29.4%減)となり、会社予想を下回る増収減益となった。
同社によれば、顧客数は想定通りに増加したものの、新規顧客は小型案件から手掛ける傾向が見られ、受注単価が伸び悩んだとのことである。この結果、売上高が増収ながらも会社計画に届かなかった。
一方、営業経費に関しては効率運用を進めたものの、期初想定通り人材関連費用および研究開発費などを消化したため、営業利益が前年度比および会社計画比で減少している。
出所:同社資料より Omega Investment 作成
ただし、プロフォーマEBITDA(注)は計画を上回り、受注残も増加しており、実態は決して悪くない。また手元現金残高に大きな増減はない。
(注)プロフォーマEBITDAとは、税引前利益に、特別損益、支払利息、及び減価償却費を加算し、さらに、デジタルレイバーを始めとする研究開発費、及び、エンジニアの採用・教育コストを加算した同社のITサービスデリバリー事業の実力値となる利益水準を示した指標。
2025年3月期通期会社予想
2025年3月期会社予想:2025年3月期通期会社予想は、売上高31.0億円(同23.7%増)、営業利益2.5億円(同1.2%減)、経常利益2.5億円(同1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2.0億円(同14.4%増)である。これは前述の中期経営計画の数値を継承したものである。
受注拡大で増収となる一方、デジタルレイバー関連の投資負担が続き、営業利益・経常利益がほぼ横ばいになるとの見立てである。
総じて言えば、サプライズの少ない会社予想であったと思われる。
なおQ2累計の会社予想に関する開示はない。
出所:同社資料より Omega Investment 作成
株式動向と今後の注目点
株価動向
株価は2024年2月15日のQ3決算発表直後に一旦1,135円まで下げたもののすぐに反発し1,499円まで上昇した。その後株価は緩やかに下落し1,100円まで調整したが、その後じり高となった。5月29日の通期決算の発表後、株価は再び下げたが一時的下落にとどまり、すぐに持ち直して1,200円台まで回復している。
このように株価は直近値固めをしているが、これは増収が継続しプロフォーマEBITDAが伸びていることを評価している一方、デジタルレイバーに対する投資成果に関して視認性が十分に高まっていないことを示唆しているととらえるべきだ。
4069:BlueMeme株価推移(週足)
株式動向と今後の注目点
今後の注目点
2025年3月期はデジタルレイバーの開発などが佳境に入りその費用が収益を圧迫する。しかし、この開発が順調に進めば、その後の収益はJカーブ型の成長軌道に入る見通しである。よって、株価が本格的な上昇軌道に入るためには、今後四半期毎に「受注・売上高・プロフォーマEBITDA」が加速度的に増加し、同時にこの開発負担が峠を越える姿を確認する必要がある。
出所:同社資料より Omega Investment 作成
出所:同社資料より Omega Investment 作成
財務データ(通期ベース)
2019/3期 |
2020/3期 |
2021/3期 |
2022/3期 |
2023/3期 |
2024/3期 |
|
[損益計算書] |
||||||
売上高 |
1,496 |
1,800 |
2,101 |
1,942 |
2,289 |
2,506 |
前期比(%) |
95.7 |
20.2 |
16.8 |
– |
17.9 |
9.5 |
売上原価 |
1,036 |
1,275 |
1,410 |
885 |
1,129 |
1,241 |
売上総利益 |
461 |
524 |
691 |
1,044 |
1,160 |
1,265 |
売上総利益率(%) |
30.8 |
29.2 |
32.9 |
54.1 |
50.7 |
50.4 |
販売費及び一般管理費 |
374 |
492 |
515 |
680 |
802 |
1,012 |
営業利益 |
87 |
31 |
175 |
375 |
358 |
253 |
前期比(%) |
– |
-63.2 |
446.9 |
– |
-4.5 |
-29.4 |
営業利益率(%) |
5.8 |
1.8 |
8.3 |
19.3 |
15.6 |
10.1 |
営業外収益 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
4 |
営業外費用 |
1 |
1 |
3 |
15 |
3 |
2 |
経常利益 |
86 |
30 |
174 |
355 |
354 |
254 |
経常利益率(%) |
5.7 |
1.7 |
8.3 |
18.2 |
-0.2 |
10.1 |
特別利益 |
|
0 |
0 |
– |
– |
– |
特別損失 |
19 |
|
|
– |
11 |
2 |
税金等調整前当期純利益 |
67 |
30 |
174 |
348 |
342 |
252 |
法人税等合計 |
6 |
20 |
44 |
95 |
83 |
77 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
61 |
10 |
130 |
259 |
259 |
174 |
前期比(%) |
|
-82.0 |
1,081.8 |
– |
0.3 |
-32.7 |
同利益率(%) |
4.1 |
0.6 |
6.2 |
13.3 |
11.3 |
6.9 |
[貸借対照表] |
||||||
流動資産 |
814 |
1,073 |
1,179 |
2,754 |
3,324 |
3,389 |
現金及び預金 |
363 |
584 |
645 |
2,356 |
2,224 |
2,228 |
売掛金及び契約資産 |
264 |
294 |
227 |
366 |
978 |
1,071 |
固定資産 |
202 |
199 |
206 |
201 |
206 |
344 |
有形固定資産 |
116 |
105 |
92 |
91 |
80 |
153 |
無形固定資産 |
0 |
7 |
24 |
18 |
0 |
0 |
投資その他の資産 |
85 |
85 |
89 |
91 |
125 |
187 |
資産合計 |
1,016 |
1,272 |
1,386 |
2,956 |
3,531 |
3,733 |
流動負債 |
584 |
666 |
733 |
564 |
819 |
1,071 |
短期借入債務 |
235 |
135 |
116 |
96 |
– |
– |
固定負債 |
84 |
247 |
129 |
37 |
52 |
53 |
長期借入債務 |
53 |
212 |
96 |
4 |
– |
– |
負債合計 |
668 |
914 |
862 |
601 |
871 |
1,124 |
純資産合計 |
348 |
358 |
523 |
2,397 |
2,659 |
2,609 |
株主資本 |
348 |
358 |
523 |
2,354 |
2,659 |
2,606 |
資本金 |
189 |
188 |
206 |
962 |
970 |
971 |
資本剰余金 |
180 |
179 |
197 |
953 |
961 |
962 |
利益剰余金 |
-21 |
-10 |
120 |
439 |
742 |
917 |
自己株式 |
|
|
|
-0 |
-14 |
-245 |
負債純資産合計 |
1,016 |
1,272 |
1,386 |
3,350 |
3,531 |
3,733 |
[キャッシュ・フロー計算書] |
||||||
営業活動によるキャッシュ・フロー |
-65 |
174 |
182 |
338 |
94 |
252 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
-148 |
-13 |
-21 |
–9 |
-46 |
-106 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
279 |
59 |
-100 |
1,381 |
-179 |
-141 |
フリーキャッシュフロー |
-213 |
162 |
162 |
328 |
48 |
146 |
現金及び現金同等物の増減額 |
66 |
221 |
61 |
1,710 |
-131 |
3 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
297 |
363 |
584 |
645 |
2,356 |
2,224 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
363 |
584 |
645 |
2,356 |
2,224 |
2,228 |