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Omega Investment株式会社

スポーツフィールド (Company note – 2Q update)

株価(9/15)1,430 円予想配当利回り(23/12予)0.0 %
52週高値/安値1,894/821.50 円ROE(22/12)71.8 %
1日出来高(3か月)29 千株営業利益率(22/12)22.2 %
時価総額52 億円ベータ(5年間)N/A
企業価値41 億円発行済株式数 3.6 百万株
PER(23/12予)11.7 倍上場市場 東証グロース
PBR(23/6実)4.4 倍
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2023年12月期第2四半期(2023年4-6月期)は好調継続

サマリー

会社概要

◇株式会社スポーツフィールド(以下、同社)はスポーツ人財に就職関連サービスを全国規模で提供している。東証グロース市場に上場。同社の2022年12月期実績は売上高28.7億円、経常利益6.3億円だった。現在の中期経計画によれば、同社は2024年12月期に売上高36.0億円、経常利益7.7億円を目指す。

◇スポーツ人財に特化、特色ある営業スタイルで市場をリード:同社の現在の主要事業は新卒のスポーツ人財、特に体育会学生に関わる就職関連サービスである。市場規模は学年あたり全国で5万人程度と推計されるが、同社はスポーツ経験者を中心とした営業社員にアナログなサポートを行う体制を構築、就職希望登録者が年々2万人程度の規模になってきた。スポーツ人財の求人を希望する企業の開拓も定着しており、特定した市場でリーディングポジションを確保しつつあるとみられる。

◇現在の主要事業:売上高の構成(2022年12月期)は体育会新卒者向けイベント39%(出展企業から出展料を受領)、体育会およびスポーツ経験者に関する新卒人財紹介事業30%(学生に就職カウンセリングを行い、就職先企業を紹介、内定承諾後に採用企業から採用コンサルティング料を受領)、既卒者向け人財紹介事業(既卒スポーツ人財に対する就職カウンセリングを行い、就職先企業を紹介、成果報酬として企業より人財紹介料を受領)からなる。

202312月期第2四半期アップデート

◇第2四半期決算も好調維持:2023年12月期第2四半期(4-6月期)は前年度から続く業績拡大基調の継続を改めて確認する内容だった。売上高は9.7億円(前年同期比+13%)、営業利益は3.1億円(同+4%)、経常利益3.1億円(同+4%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2.0億円(同+3%)となり、第1四半期に比べて成長率が減速したものの、営業基盤の強化と採用市場の改善によって堅調に成長が続いている。会社通期予想と比較しても高い進捗率である。

◇一旦足踏みの株価:同社の株価は第1四半期決算発表後一旦調整したものの、6月から7月中旬まで順調に上昇し、7月19日には年初来高値1894円をつけ、その後1750円の水準で推移した。しかし、第2四半期決算の発表後1430円水準まで調整している。この調整は第2四半期の増収率および利益率の低下を反映したとみられるが、2022年5月以降の株価上昇トレンドはおおむね継続している。2023年12月期会社予想PER11.7倍で株価に過熱感は乏しく、来期の成長確度が高まれば株価もこれを織り込んでいくと見る。

◇今後の注目点:

 第一に、会社通期予想の上方修正の有無。

 第二に、来年度の成長継続の確度。特に、2025年3月卒予定の体育会学生向けスポナビ登録者数、およびスポーツ経験学生向けスポチャレ登録者の積み上がりと、同社営業スタッフによる登録者カバー率。

 第三に、既卒者向け人財紹介事業、スポーツ関連企業に特化した求人サイトであるスポジョバなど新卒以外の新たな収益基盤の確立。

目次

サマリー1
主要財務データ2
2023年12月期第1四半期決算3
株価動向7
今後の注目点8
業績推移9
参考情報11

主要財務データ

出所:同社資料よりOmega Investment 作成

2023年12月期第2四半期決算動向

株式会社スポーツフィールド(以下、同社)は、2023年8月10日引け後、2023年12月期第2四半期(4-6月期)の決算を発表した。好調な第1四半期を引き継ぎ、総じて順調な成長を続けている。通期計画に対する進捗も前年同期比良好で、来期業績のKPIの滑り出しも良好といえる。

再度過去最高を更新した好調な決算

 第2四半期累計(1-6月期)の実績は、売上高18.9億円(前年同期比+16%増)、営業利益6.3億円(同+18%増)、経常利益6.3億円(同+18%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4.1億円(同+18%増)となりいずれも過去最高を更新した。営業利益率・経常利益率も過去最高だった。売上高の内訳を見ると、新卒者向け人材紹介を中心に満遍なく成長している。アフターコロナにおける求人需要の回復が、同社の築いた営業基盤に追い風となっている。

 第2四半期(4-6月期)に限れば、売上高9.7億円(前年同期比+13%)、営業利益3.1億円(同+4%)、経常利益3.1億円(同+4%)、親会社株主に帰属する四半期純利益2.0億円(同+3%)だった。第1四半期に比べて売上高成長率は二桁増を維持したものの、利益成長は減速している。これは営業費用の増加によるものだが、人件費・広告宣伝費を増やし今後の事業成長につなげるための意図的増加とされ、現時点でネガティブに捉える必要は乏しいとみられる。

 会社通期予想は据え置かれた。第2四半期累計の進捗率は売上高で59%、営業利益で92%など昨年度よりも良い。しかし今期は採用・就職活動の早期化の影響が考えられるうえ、業績が下半期に伸びにくい季節性もある。さらに、先に述べた通り人件費・広告宣伝費の戦略的投下も進んでいることを勘案すれば据え置きは理解できる。事業環境が逆風に変わった兆候は今の所ない模様でもあり、会社通期予想が据え置かれたことも特段ネガティブに考える必要はないだろう。

出所:同社IR資料より

新卒者向けイベント事業

 第2四半期累計売上高は8.5億円(前年同期比+9%)だった。イベント開催数は前年同期比微減だったが、オンラインイベントから来場型・大規模イベントへのシフトが進み、これが販売枠数・売上高を牽引した。

 受注はさらに好調である。2025年3月卒向けイベントに対する企業の出展ニーズは強く、受注額の累計は2024年3月卒向けを大きく上回る約2倍強(前年同期比+107%)で推移している模様だ。イベント受注が順調であれば、同社の営業力を人財紹介に前倒しで充当できることから、来期の成長確度が高まる。例年季節的に受注の山場となる第3四半期の仕上がりに大いに注目したい。

出所:同社IR資料より

新卒者向け人財紹介事業

 第2四半期累計売上高は5.2億円(前年同期比+40%)と大きく成長した。体育会学生の登録者数を示すスポナビ登録者数は、2024年3月卒生が2023年3月卒生を下回ったものの、就職活動の早期化に対応し、同社社員による学生カバー率を引き上げることができたうえ、ユニーク紹介企業数も大幅に増加したため、高い成約率に至り、売上高を牽引した。

出所:同社IR資料より

出所:同社IR資料より

 スポナビの成長に加えて、業績貢献が顕在化しはじめたのがスポーツ経験者に対する就職支援サービスであるスポチャレだ。第2四半期累計売上高は0.9億円(前年同期比+62%)となった。登録者数、ユニーク紹介学生数が大幅に伸びており、新卒者向け人財紹介事業の新たな牽引役の座を担いつつある。

出所:同社IR資料より

既卒者向け人財紹介事業

 第2四半期累計売上高は4.6億円(前年同期比+6%)と着実に成長し過去最高となった。企業の好調な採用需要を背景に、スポナビキャリア・スポチャレ転職の登録者が前年同期を上回り、ユニーク紹介人財数、ユニーク紹介企業数も総じてしっかり推移している。

 なお、新規事業のひとつであるスポジョバ(スポーツ関連企業に特化した求人サイトでオンラインで完結するマッチングが主)の累計登録会員数は増加を続け、サイトPV数は月間1百万PVを以上で安定推移している。

健全なバランスシート

 顕著な変化は2022年12月末からみられない。現預金の残高は高水準を維持している。有利子負債は減少しており、ネット・キャッシュ・ポジションを維持している。負債が減少する一方、純資産は内部留保による増加しており、自己資本比率は53.7%まで高まっている。財務安全性の点ではポジティブだが、資本効率の点ではネガティブ要因にもなりうる。従って、今後は内部成長、外部成長、株主還元でどのように資本効率(ROEなど)の維持を進めるのか、従来以上に問われていくだろう。

株価動向

 同社の株価は第1四半期決算発表後一旦調整したものの、6月から7月中旬まで順調に上昇し、7月19日には年初来高値1894円をつけ、その後1750円の水準で推移した。

 しかし、第2四半期決算の発表後1500円に低下し、足元では1430円台まで調整している。この調整は第2四半期の増収率および利益率の双方が低下したこと、第3、第4四半期は季節性と就職の前倒しの影響から利益面での上積みに多くを期待できないことを反映したものと考えられる。

 ただし、2022年5月以降の株価上昇トレンドは概ね継続していると見なせる。株価バリュエーションを見ると、2023年12月期会社予想PER11.7倍で株価に過熱感は乏しい。

 ゆえに、2024年12月期の成長確度が高まるにつれて株価はこれを織り込んで上昇する可能性が高いと考えられる。  そこで次に、当面の株価の牽引役について注目点を整理したい。

今後の注目点

 当面の注目点を3点挙げたい。

 第一に、会社通期予想に対する上振れ余地ないし上方修正の有無。

 第2四半期累計業績の進捗が会社通期予想に対して高く、採用市場の環境は追い風にあると見られるため、通期業績が会社通期予想を上振れる可能性が考えられる。

 ただし、同社の業績が下半期に伸びにくい季節性、中期的な持続的成長に向けて人件費・広告宣伝費などの先行投資の可能性、今期は新卒の就職が前倒しになっている可能性など、下半期の利益面での上乗せを阻む要因も多いことも指摘しておきたい。

 第二に、来年度の成長継続の確度。特に、2025年3月卒向けイベント受注の仕上がり、2025年3月卒業予定の体育会学生向けスポナビ登録者数、スポーツ経験学生向けスポチャレ登録者の積み上がりと、同社営業スタッフによる登録者カバー率。

 これらのKPIが来る第3四半期、第4四半期に積み上がると、2024年12月期の業績成長の確度が高まる。現在の株価のバリュエーションに過熱感がないため、株価はその場合、2024年12月期業績を織り込みに動き出すと考える。現時点ではこれが最も重要な株価ドライバーとみられる。

 いうまでもなく、仮に採用市場が冷え込み始めると逆の展開になりうることは指摘しなければならない。

出所:同社IR資料より

 第三に、既卒者向け人財紹介事業、スポーツ関連企業に特化した求人サイトであるスポジョバなど新卒以外の新たな業績牽引役が立ち上がるか。同社の中期的な事業ポテンシャルを引き上げる可能性が高く、その際には株価を牽引すると予想される。

業績推移

通期業績推移

決算期 2019/12 2020/12 2021/12 2022/12 2023/12 2024/12
連結・日本基準 (上場)       会社予想 中期経営計画
(修正後)
【損益計算書】            
売上高 1,918 1,883 2,130 2,866 3,186 3,600
営業利益 194 16 -32 637 680 768
経常利益 192 32 -35 634 677 767
税金等調整前当期純利益 192 32 -81 634    
親会社株主に帰属する純利益 133 17 -79 412 440  
【貸借対照表】            
資産合計 1,106 1,488 1,541 2,127    
負債合計 676 1,041 1,173 1,347    
純資産合計 430 447 368 781    
借入金合計 334 731 749 630    
【キャッシュ・フロー計算書】            
営業活動によるキャッシュ・フロー 198 -89 54 610    
投資活動によるキャッシュ・フロー -25 -32 -68 -7    
財務活動によるキャッシュ・フロー 150 396 18 -120    
フリーキャッシュフロー 173 -121 -14 602    
現金及び現金同等物の期末残高 686 962 966 1,448    
【経営効率】            
売上高経常利益率 10.0% 1.7% -1.7% 22.1% 21.2% 21.3%
ROA 14.4% 1.3% -5.2% 22.5%    
ROE 47.3% 3.9% -19.4% 71.8%    
【一株指標】単位:円            
EPS(株式分割等調整後) 41 5 -22 114 122  
BPS(株式分割等調整後) 122 127 103 216    
DPS(株式分割等調整後) 0 0 0 0 0  
【従業員数】            
連結従業員数 201 233 266 242    

単位:百万円
出所:同社IR資料よりOmega Investment作成
   一株あたり指標であるEPS、BPSは2023年4月に実施された1:2の株式分割の効果を遡及して計算。

四半期業績推移

 
2022Q1
2022Q2
2022Q3
2022Q4
2023Q1
2023Q2
売上高
774
862
609
619
919
971
 新卒者向けイベント売上高
507
267
61
292
578
267
 新卒者向け人財紹介売上高
79
290
354
119
92
426
 既卒者向け人財紹介売上高
158
277
164
176
213
247
 その他
28
26
29
31
34
30
営業利益
232
301
69
32
315
312
経常利益
231
301
68
31
314
312
親会社株主に帰属する純利益
148
196
45
23
205
202

単位:百万円
出所:同社IR資料よりOmega Investment作成

参考情報

主要株主の状況

氏名又は名称 所有株式数 発行済株式(自己株式を
除く)の総数に対する所
有株式数の割合(%)
篠﨑 克志 409,000 22.62
伊地知 和義 209,600 11.59
加地 正 209,600 11.59
森本 翔太 209,600 11.59
楽天証券株式会社 27,400 1.51
スポーツフィールド従業員持株会 25,200 1.39
野村證券株式会社 19,700 1.08
重森 豊太郎 16,800 0.92
NOMURA PB NOMIN EES (常任代理人:野村證券株式会社) 16,200 0.89
医療法人ヒポクラテス竹村内科腎 クリニック 16,000 0.88
竹村 克己 16,000 0.88
1,175,100 64.99

株主構成