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Omega Investment株式会社

BlueMeme (Company note – 3Q update)

株価(5/18)1,180 円予想配当利回り(24/3予)ー %
52週高値/安値2,350/1,029 円ROE(23/3実)9.3 %
1日出来高(3か月)15.7 千株営業利益率(23/3実)13.8 %
時価総額42 億円ベータ(5年間)NA
企業価値25 億円発行済株式数 3.562 百万株
PER(24/3予)20.06 倍上場市場 東証グロース
PBR(23/3実)1.61 倍
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ローコード、アジャイル開発で日本のDXを切り拓く

BlueMeme(以下、同社)は、ローコード、アジャイル開発の日本の草分け。2006年の創業後、ローコード開発に特化してシステム開発サービスの提供を進めてきた。デジタルレイバー、ビジネスアーキテクトといった自動化の独自のコンセプトを推し進めるため積極的に投資をしている。同社の提唱するローコードプラットフォームは、日本のIT人材の不足と偏在という課題を克服し、大企業のみならず中小企業のDXに対する取り組みを加速させる可能性を持つ。このため、目先は投資が先行するものの、開発コンセプトが効果を発揮しシステム開発の自動化が進む際には収益面での飛躍が期待される。

◇成長戦略:中期経営計画(2023年11月14日公表)によれば、デジタルレイバーの開発が進む2026/3期に売上高41億円、営業利益9.2億円、デジタルレイバーの本格適用とパートナー事業拡大が進む2028/3期にかけて売上高100億円の達成を目標としている。このための重点施策は以下の通り:

1)デジタルレイバーの研究開発体制強化と実用化の促進

2)課金形態を人月工数からアプリケーション生成量へ転換

3)高単価なサービスを提供できるビジネスアーキテクトの拡大

4)パートナー企業と連携した間接販売の拡大

20243月期3Q決算サマリー:増収ながら成長に向けた先行費用を計画通りに計上し減益 2024年2月14日に発表された2023年10-12月期の業績は売上高6.1億円(前年同期比+9.7%増)、売上総利益3.0億円(同+12.1%増)、営業利益49百万円(同19.7%減)となった。現在の主力事業であるプロフェッショナルサービスの売上高が順調に拡大し、原価率も同1%ポイント改善した。一方、成長に向けた先行費用を計画通りに計上したため営業減益になっている。会社によれば売上高は季節性を勘案すると概ね想定通りとのことであり、同社のKPIである受注残、プロフォーマEBITDAの進捗も順調である。

 2024年3月期通期業績予想は据え置かれている。第4四半期に収益が偏重する傾向があることに一定の留意が必要だが、ここまでは概ね順調な進捗と言えそうだ。

◇「アジャイルオンデマンド for OutSystems」サービスの提供を開始:2024年3月15日、同社はデジタルレイバーを活用した「アジャイルオンデマンド for OutSystems」サービスを提供開始し、同社筆頭株主である三井情報が本サービスの販売を開始すると発表した。これはローコードを活用したアジャイル開発プロジェクト向けの新しい受託開発サービスで、顧客にとっては必要な時に必要な分だけローコードのエキスパートを利用することができるため過剰に技術者を抱え込む必要がなくなり、人月工数ではなくアプリケーションの生成量に基づく課金になるため効率的なコスト管理を行うことができると期待される。同社にとっても、技術者の生産性向上とローコード開発を志す顧客拡大を狙えることになり、注目度が高い。

◇株価動向: 株価は2024年2月15日の決算発表直後に一旦下げたもののすぐに反発し、その後騰落はあるものの総じてじり高基調にある。3月15日の上記の開示に対しても株価はポジティブに受け止めているようだ。株式市場は、増収であること、受注残とプロフォーマEBITDAというKPIが堅調であることを評価し、先行投資による利益圧迫に対して好意的に受け止めていると解釈できる。次の注目点は、2024年3月期の着地、2025年3月期業績予想であるが、この株価形成を踏まえると、上記新サービスの寄与、およびデジタルレイバーの開発パイプラインの進捗が重要だと思われる。

目次

サマリー1
主要財務データ2
決算動向3
 2024/3期3Q決算実績3
 2024/3期業績予想4
事業展開のアップデート5
株価動向と今後の注目点6
財務データ7

主要財務データ

決算期 2019/3 2020/3 2021/3 2022/3 2023/3 2024/3()
売上高 1,496 1,800 2,101 1,929 2,244 2,650
売上原価 1,036 1,275 1,410 885 1,132
売上総利益 461 524 691 1,044 1,111
販売費及び一般管理費 374 492 515 680 801
営業利益 87 31 175 363 309 310
経常利益 86 30 174 348 310 310
親会社株主に帰属する当期純利益 61 10 130 253 230 230
             
流動資産 814 1,073 1,179 2,754 2,794
 現金及び預金 363 584 645 2,356 2,224
固定資産 202 199 206 201 222
資産合計 1,016 1,272 1,386 2,956 3,016
負債合計 668 914 862 601 429
純資産合計 348 358 523 2,354 2,587
自己資本比率(%) 34.3 28.1 37.8 79.6 85.8
             
営業活動によるキャッシュ・フロー -65 174 182 338 94
投資活動によるキャッシュ・フロー -148 -13 -21 -9 -46
財務活動によるキャッシュ・フロー 279 59 -100 1,381 -179
現金および現金同等物の期末残高 363 584 645 2,356 2,224

注)2022/3期より、収益認識会計基準(新基準)を適用。従って、2021/3期までと2022/3以降では連続性がない
出所:同社資料より Omega Investment 作成

決算動向

20243月期3Q決算:増収ながら成長に向けた先行費用を計画通りに計上し減益

 2024年2月14日に発表された2023年10-12月期の業績は、売上高6.1億円(前年同期比+9.7%増)、売上総利益3.0億円(同+12.1%増)、営業利益49百万円(同19.7%減)となった。

 現在の主力事業であるプロフェッショナルサービス(OutSystemsを中心としたローコードプラットフォームを活用したコンサルティング及び受託開発サービス、技術者向けトレーニング)の売上高が順調に拡大し、原価率も同1%ポイント改善した。

 なお、ソフトウェアライセンス販売は当四半期に売上高が同7.4%減少しているが、第1四半期に既存顧客のアップグレード等が増加したことが一因の模様である。累計ベースでは同+17.5%増となっていてこちらも好調と言えるだろう。

出所:同社資料より Omega Investment 作成

出所:同社資料より Omega Investment 作成

 一方、成長に向けた先行費用を計画通りに計上したため営業減益になっている。会社によれば売上高は季節性を勘案すると概ね想定通りとのことである。

出所:同社資料より Omega Investment 作成

出所:同社資料より Omega Investment 作成

2024年3月期通期業績予想:従来予想が据え置かれた。第4四半期に収益が偏重する傾向があることに一定の留意が必要だが、ここまでは概ね順調な進捗と言えそうだ。

  売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比 当期利益 前期比 EPS DPS
決算期 (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) () ()
2020/3 1,800 20.3 31 99.1 30 99.0 10 -82.7 5.15 0.00
2021/3 2,101 16.8 175 448.8 174 465.3 130 1133.6 62.49 0.00
2022/3 1,929 363 348 253 78.48 0.00
2023/3 2,244 16.3 309 -14.9 310 -11.0 230 -9.0 65.64 0.00
2024/3(会予) 2,650 18.1 310 0.0 310 -0.1 230 -0.1 65.40 0.00
2023/3 3Q  1,638 16.3 207 -27.6 208 -23.4 138 -25.9 39.53 0.00
2024/3 3Q 1,804 10.2 149 -27.9 151 -27.4 79 -42.2 22.99 0.00

注)  2022/3期より、収益認識会計基準(新基準)を適用。従って、2021/3期までと2022/3以降では連続性がない

事業展開のアップデート

「アジャイルオンデマンド for OutSystems」サービスの提供を開始

 2024年3月15日、同社はデジタルレイバーを活用した「アジャイルオンデマンド for OutSystems」サービスを提供開始し、同社筆頭株主である三井情報が本サービスの販売を開始すると発表した。これはローコードを活用したアジャイル開発プロジェクト向けの新しい受託開発サービスで、顧客にとっては必要な時に必要な分だけローコードのエキスパートを利用することができるため過剰に技術者を抱え込む必要がなくなり、人月工数ではなくアプリケーションの生成量に基づく課金になるため効率的なコスト管理を行うことができると期待される。同社にとっても、技術者の生産性向上とローコード開発を志す顧客拡大を狙えることになり、注目度が高い。

出所:同社資料より Omega Investment 作成

出所:同社資料より Omega Investment 作成

株式動向と今後の注目点

株価動向

 株価は2024年2月15日の決算発表直後に一旦下げたもののすぐに反発し、その後騰落はあるものの総じてじり高基調にある。さらに、3月15日の前述の開示に対しても株価はポジティブに受け止めているようだ。株式市場は、増収であること、受注残とプロフォーマEBITDAというKPIが堅調であることを評価し、先行投資による利益圧迫に対して好意的に受け止めていると解釈できる。

今後の注目点

 このような株式市場における株価形成の考え方を踏まえると、次の注目点は次の諸点である。 -2024年3月期実績の着地。季節性から収益の比重が大きい第4四半期にしっかりと売上高とプロフォーマEBITDAを上積みしたか。受注は順調か、先行投資は想定通りか。 -2025年3月期業績予想。増収率、受注残予想、利益率の動向。 「アジャイルオンデマンド for OutSystems」サービスの寄与度。 -人員計画。 -デジタルレイバーの開発パイプラインの進捗。

 「ローコード開発市場の成長を同社が牽引し、限界利益率の高い事業モデルを展開できる」という展望が見えれば株価の評価が大幅に変わる可能性を秘めている。四半期ごとの進捗に注目が高まるだろう。

4069:BlueMeme株価推移(週足)

財務データ(四半期ベース)

 
2021/3*
     
2022/3
     
2023/3
     
2023/3
   
 
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
[損益計算書]
                             
売上高
485
541
482
594
426
463
519
521
502
578
556
606
617
576
610
前年同期比
17.8%
25.0%
7.3%
16.3%
22.8%
-0.3%
9.7%
プロフェッショナルサービス
378
392
437
457
431
495
483
556
496
497
543
前年同期比
14.0%
26.1%
10.6%
21.5%
15.2%
0.4%
12.2%
売上高構成比
88.7%
84.8%
84.3%
87.8%
85.8%
85.6%
86.9%
91.8%
80.4%
86.2%
89.0%
ソフトウエアライセンス販売
48
70
84
63
71
83
72
49
120
79
67
前年同期比
48.0%
18.7%
-10.6%
-21.5%
69.1%
-4.8%
-7.4%
売上高構成比
11.3%
15.2%
15.7%
12.2%
14.2%
14.4%
13.1%
8.2%
19.6%
13.8%
11.0%
                               
売上原価
361
369
311
370
199
206
231
249
254
285
287
306
298
302
308
売上原価率
74.4%
68.2%
64.5%
62.3%
46.7%
44.4%
44.5%
47.8%
50.5%
49.5%
51.5%
50.5%
48.1%
52.5%
50.5%
売上総利益
125
171
171
224
227
258
288
271
248
293
269
300
319
274
302
販売管理費
124
124
127
141
153
160
173
194
203
194
207
198
239
256
253
販管費率
25.6%
22.9%
26.3%
23.7%
35.9%
34.5%
33.3%
37.2%
40.4%
33.6%
37.2%
32.7%
38.7%
44.4%
41.5%
営業利益
0
49
43
83
74
96
114
78
45
99
62
103
80
18
49
前年同期比
-38.4%
2.7%
-46.1%
32.1%
76.1%
-81.0%
-19.7%
営業利益率
0.0%
9.1%
8.9%
14.0%
17.6%
20.7%
22.2%
15.0%
9.1%
17.1%
11.1%
17.0%
13.1%
3.3%
8.0%
営業外収益
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
1
営業外費用
1
0
1
1
13
2
0
1
1
0
0
0
0
0
2
経常利益
0
47
43
84
62
95
115
77
46
99
63
102
82
20
49
前年同期比
-26.6%
4.2%
-45.2%
32.5%
78.3%
-79.8%
-23.0%
経常利益率
0.0%
8.7%
8.9%
14.1%
14.6%
20.5%
22.2%
14.8%
9.1%
17.1%
11.3%
16.8%
13.3%
3.5%
8.0%
税金等調整前四半期純利益
0
47
43
84
62
95
115
77
46
99
63
91
82
17
50
法人税等
1
10
17
16
19
31
36
9
15
33
22
-2
34
17
18
親会社に帰属する四半期純利益
-1
37
26
68
43
64
79
67
30
67
41
92
48
0
32
前年同期比
-28.7%
4.7%
-48.1%
37.3%
60.0%
-99.5%
-22.2%
同利益率
-0.2%
6.8%
5.4%
11.4%
10.1%
13.8%
15.2%
12.9%
6.0%
11.6%
7.4%
15.2%
7.8%
0.0%
5.2%
                               
[貸借対照表]
                             
流動資産
1,051
1,008
1,001
1,180
2,105
2,507
2,664
2,754
2,662
2,723
2,688
2,794
2,703
2,600
2,562
現金及び預金
590
520
555
645
1,826
2,202
2,271
2,356
2,267
2,392
2,377
2,224
2,193
2,190
2,070
売掛金及び契約資産
170
167
161
228
252
266
357
366
348
270
252
439
356
254
323
固定資産
205
208
207
206
197
199
197
201
191
188
181
222
239
284
314
有形固定資産
102
99
95
93
90
90
87
91
89
86
83
80
83
96
133
無形固定資産
17
23
26
24
23
21
20
18
17
15
14
0
0
0
0
投資その他の資産
86
86
86
89
85
88
90
91
85
86
84
141
155
187
181
資産合計
1,256
1,216
1,208
1,386
2,302
2,707
2,861
2,956
2,853
2,911
2,869
3,016
2,943
2,885
2,876
流動負債
683
639
632
733
398
425
521
564
420
410
325
393
383
375
335
固定負債
215
183
155
129
104
79
53
37
37
37
37
36
36
51
53
負債合計
897
822
787
862
502
503
575
601
458
447
362
429
420
427
388
純資産合計
358
395
421
524
1,800
2,204
2,286
2,354
2,395
2,464
2,506
2,587
2,523
2,457
2,488
株主資本
358
394
421
524
1,800
2,203
2,286
2,354
2,395
2,463
2,506
2,587
2,522
2,455
2,488
資本金
189
189
189
206
790
959
962
962
967
968
969
970
970
971
971
資本剰余金
180
180
180
197
781
950
953
953
958
959
960
961
961
962
962
利益剰余金
-11
26
52
120
229
293
372
439
470
537
578
669
717
717
750
自己株式
         
0
0
0
0
0
0
-14
-127
-195
-196
負債純資産合計
1,256
1,216
1,208
1,386
2,302
2,707
2,861
2,957
2,853
2,911
2,869
3,016
2,943
2,885
2,876

*:2022/3期より、収益認識会計基準(新基準)を適用、2021/3期は旧基準ベース
注:四捨五入、有効桁数等の関係で、数字に細かい齟齬が生じることがある
出所:同社資料より Omega Investment 作成

財務データ(通期ベース)

  2019/3 2020/3 2021/3 2022/3 2023/3
損益計算書          
売上高 1,496 1,800 2,101 1,929 ,244
 前期比(%) 95.7 20.2 16.8 16.3
売上原価 1,036 1,275 1,410 885 1,132
売上総利益 461 524 691 1,044 1,111
 売上総利益率(%) 30.8 29.2 32.9 54.1 49.5
販売費及び一般管理費 374 492 515 680 801
営業利益 87 31 175 363 309
 前期比(%)  – -63.2 446.9 -14.9
 営業利益率(%) 5.8 1.8 8.3 18.9 13.8
営業外収益 0 0 2 0 1
営業外費用 1 1 3 15 0
経常利益 86 30 174 348 310
 経常利益率(%) 5.7 1.7 8.3 -11.0
特別利益   0 0  –
特別損失 19      – 11
税金等調整前当期純利益 67 30 174 348 298
法人税等合計 6 20 44 95 68
親会社株主に帰属する当期純利益 61 10 130 253 230
 前期比(%)   -82.0 1,081.8 -9.0
 同利益率(%) 4.1 0.6 6.2 13.1 10.3
           
貸借対照表          
流動資産 814 1,073 1,179 2,754 2,794
 現金及び預金 363 584 645 2,356 2,224
 売掛金及び契約資産 264 294 227 366 439
固定資産 202 199 206 201 222
 有形固定資産 116 105 92 91 80
 無形固定資産 0 7 24 18 0
 投資その他の資産 85 85 89 91 141
資産合計 1,016 1,272 1,386 2,956 3,016
流動負債 584 666 733 564 393
 短期借入債務 235 135 116 96 1
固定負債 84 247 129 37 36
 長期借入債務 53 212 96 4 3
負債合計 668 914 862 601 429
純資産合計 348 358 523 2,354 2,587
株主資本 348 358 523 2,354 2,587
 資本金 189 188 206 962 970
 資本剰余金 180 179 197 953 961
 利益剰余金 -21 -10 120 439 669
 自己株式       -0 -14
負債純資産合計 1,016 1,272 1,386 2,956 3,016
           
[キャッシュ・フロー計算書]          
営業活動によるキャッシュ・フロー -65 174 182 338 94
投資活動によるキャッシュ・フロー -148 -13 -21 9 -46
財務活動によるキャッシュ・フロー 279 59 -100 1,381 -179
フリーキャッシュフロー -213 162 162 328 48
現金及び現金同等物の増減額 66 221 61 1,710 -131
現金及び現金同等物の期首残高 297 363 584 645 2,356
現金及び現金同等物の期末残高 363 584 645 2,356 2,224

出所:同社資料より Omega Investment 作成