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Omega Investment株式会社

イトーキ (Company note – basic)

株価(5/8)1,871 円予想配当利回り(24/12)2.77 %
52週高値/安値2,200/756 円ROE(TTM)11.3 %
1日出来高(3か月)683 千株営業利益率(TTM)6.4 %
時価総額998 億円ベータ(5年間)1.56
企業価値817 億円発行済株式数 49.100 百万株
PER(24/12予)12.1 倍上場市場 東証プライム
PBR(23/12実)1.54 倍
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明日の「働く」をデザインするオフィスDXカンパニー

サマリー

◇イトーキ(以下、同社)は、 1890年大阪市で創業したオフィス家具の大手の一角。高いデザイン性と製販一貫体制に特色がある。ミッション・ステートメントは“明日の「働く」を、デザインする。”  オフィスのDXであるOffice3.0を提唱し、オフィス家具の製造販売にとどまらず、オフィスの生産性向上を支援する総合サービスの提供を推進している。

◇湊宏司社長のリーダーシップと業績・企業価値向上:2022年3月から代表取締役社長として指揮をとる湊宏司氏のもと、同社の収益性は著しく改善し、株価もこれを高く評価している。今後の手腕に期待が高まっている。

◇事業概要:主要事業はワークプレイス事業、および設備機器・パブリック事業である。

◇ワークプレイス事業:オフィス家具等の製造販売、オフィス営繕や組立・施工、オフィス空間デザインやオフィス移転等のプロジェクトマネジメント等のサービスを提供。オフィスの生産性向上につながる提案・コンサルティングを強化し付加価値を高めており、今後はデータを活用してオフィス運用サポートを行うOffice3.0を推進する。2023/12期売上高942億円、営業利益61億円、営業利益率6.5%。

◇設備機器・パブリック事業:倉庫や自動物流システム機器等の物流ソリューション、研究施設向け機器、公共施設の環境・空間構築等を提供。シャトル式自動倉庫等で納入実績 No.1を誇る。2023/12期売上高368億円、営業利益19億円、営業利益率5.2%。

◇改革成果の出た202312月期:2023/12期は売上高1, 329億円(前年度比8%増)、営業利益85億円(同86%増)となり、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益全てにおいて過去最高を更新した。リニューアル案件やオフィス移転などを“利益重視で”着実に積み上げたことが奏功した。

◇新中期経営計画「RISE TO GROWTH 2006」: 高収益化フェーズへの移行を目指す:同社が2024年2月に発表した新中期経営計画では2024〜2026年を持続的成長力を高める《高収益化フェーズ》と位置付けている。オフィス等の生産性向上ニーズの高まり、オフィスのDX化およびオフィス機器のIoT化を想定し、これに対して同社が連結ベースでモノ売りとコト売りを掛け合わせて事業価値最大化を目指す。具体的には「Tech x Design based on PEOPLE」というコンセプトに基づき重点戦略「7 Flags」およびESG戦略で構成されている。財務目標は、2026年12月期において売上高1,500億円、営業利益140億円、営業利益率9%、ROE15%(>想定資本コスト9〜10%)。資本コストの削減にも取り組み、株主価値の最大化・PBR向上に導くという、株式市場の今日的要請に十分に応えるものである。

◇株価動向と注目点:同社株価は湊社長就任の2022年3月末から2024年3月末までに347円から1782円に上昇、PBRも1倍割れから約1.5倍になった。コロナ禍で台頭したオフィスニーズの後退と同社の過去の低収益性を懸念する投資マインドが、湊社長体制の経営方針と実績によって大きく好転したと考えられる。今後は、オフィス生産性改善ニーズの根強さ、連結ベースにおける収益重視の徹底、従業員の創意工夫に対するモチベーションの向上、コト売り収益比率の増加、国内オフィス以外の新たな収益機会の具体化などの材料が整うにつれて、同社の業容が次のステージに移ると期待される。中期経営計画の進捗を、定量・定性両面しっかり見守りたい。

目次

サマリー1
主要財務データ2
会社概要3
 沿革4
 グループ概要/生産体制/事業系統図8
事業概要10
 ワークプレイス事業10
 設備機器・パブリック事業18
決算動向20
 2023/12期決算実績20
 2024/12期見通し23
成長戦略24
 新中期経営計画 RISE To GROWTH 202624
株式情報、等27
 株価動向27
 バリュエーションの考察28
 大株主の状況/所有者別株式保有の状況/株主還元の方針30
 コーポレートガバナンス及びトップマネージメント31
 サステナビリティ34
財務データ35

主要財務データ

 
2017/12
2018/12
2019/12
2020/12
2021/12
2022/12
2023/12
[損益計算書]
             
売上高
108,684
118,700
122,174
116,210
115,839
123,324
132,985
売上総利益
38,718
41,264
41,679
41,888
41,694
45,749
52,240
販売費及び一般管理費
35,761
39,339
40,776
40,089
39,158
41,167
43,717
営業利益
2,956
1,925
903
1,798
2,536
4,582
8,523
経常利益
3,295
2,365
945
1,881
2,437
4,177
8,555
親会社株主に帰属する当期純利益
2,402
1,722
-550
-235
1,166
5,294
5,905
[貸借対照表]
             
流動資産
58,147
62,143
58,109
57,183
57,753
71,027
73,304
現金及び預金
19,977
16,229
17,030
18,246
17,351
26,876
24,795
固定資産
44,073
46,559
49,955
47,912
46,144
44,260
44,132
資産合計
102,221
108,703
108,778
105,096
103,898
115,288
117,437
負債合計
54,894
61,210
62,944
60,906
58,822
65,377
62,437
純資産合計
47,326
47,492
45,834
44,189
45,076
49,910
54,999
自己資本比率(%)
46
44
42
42
43
43
47
[キャッシュ・フロー計算書]
             
営業活動によるキャッシュ・フロー
3,565
1,384
3,586
4,561
2,774
5,804
6,321
投資活動によるキャッシュ・フロー
-2,971
-3,094
-3,221
-1,152
-1,170
4,923
-4,012
財務活動によるキャッシュ・フロー
-706
-2,463
0
-2,267
-2,658
-1,426
-4,148
現金及び現金同等物の期末残高
18,571
14,540
15,494
16,697
15,797
25,420
23,664

出所:同社資料より Omega Investment 作成

 

会社概要

 イトーキ(以下、同社)は、国内オフィス家具のメーカーで大手4社の一角を占める。1890年の創業以来、130年以上の歴史を有する老舗企業でもある。2005年の製販統合により、製販一貫体制をとっている。

 “明日の「働く」を、デザインする。” をミッション・ステートメントに、単にオフィス家具を製造・販売するのに留まらず、働き方のコンサルティングや空間デザインも手掛けており、顧客の働く「空間」「環境」「場」づくりという価値を提供している。古くからデザインに力を入れており、同社の商品はデザイン面でも優れていることに定評がある。

 主要事業セグメントは、以下の二つ。

ワークプレイス事業:主にオフィス家具関連の製造・販売であるが、ミッションステートメントにあるように、顧客の働き方に合わせた「働く環境」づくりを提案することを標榜している。直近では、オフィスで“集合して働く”のみならず、在宅ワーク等の“分散して働く”等、様々な働き方が広がる中、それらのニーズにも積極対応。加えて、コンサルティングサービス等をトータルで提供している。

 主な商品・サービス;オフィス家具(デスク・ワークステーション、テーブル、事務・会議チェア、システム収納家具、 ロッカー)/オフィス空間を構築する建材商品の製造販売/内装工事/オフィス空間デザイン/オフィス移転等のプロジェクトマネジメント/オフィス営繕・保守サービス、テレワーク用家具、学習家具

設備機器・パブリック事業:近年急成長している物流関連施設、及び製薬企業や大学・研究機関での研究施設機器、公共施設向け設備などを提供。

 主な商品・サービス;物流設備(シャトル台車式自動倉庫システム(SAS))、収納棚/特殊扉/オフィスセキュリティシステム/研究施設機器/粉体機械設備/公共施設の環境・空間構築など

 地域別の売上高の構成は、日本 120,790百万円(91%)、アジア 11,397百万円(9%)、その他 658百万円等となっており、国内市場の占める割合が 9割を超えている。

売上高セグメント別内訳

出所:同社資料より Omega Investment 作成

沿革(詳細な時系列は、次頁の沿革表を参照)

1890〜1949年:発明特許品の普及から事務機器の販売・製造へ

 同社は189012月、創業者の伊藤喜十郎が大阪高麗橋に、発明特許品の普及並びに輸入品の取扱いを行う「伊藤喜商店」を創業したのを出発点とする。1903、ゼムクリップ、ホチキスの輸入販売を開始。どちらも、今のオフィスでも普通に使われているが、元を辿ると100年以上前に同社が取扱いを始めたのに由来する。その後、1908には伊藤喜商店工作部を開設。手提げ金庫及び簡単な文具などの事務機器の生産を開始した。明治の開国後、海外製品の輸入販売・修理から事業を興し、その後、国産化にチャレンジし事業を拡大させたという意味では、セイコーホールディングス(服部時計店)、ブラザー工業(安井ミシン商店)等といった、今では世界をリードする日本のモノづくり企業に合い通ずるものがある。

 1910、英文タイプライター、魔法瓶などの輸入販売を開始。1913には、独自開発のゼニアイキ(金銭記録出納機)を発売。1925、ロッカー等、自社製鋼製家具の製造を開始した。1937には東京に進出、中央区呉服橋に東京支店を開設した。

1950〜1969年:スチール家具が近代的なオフィスを創造。デザイン面でも高評価

 戦後、日本経済の高度成長が始まるとオフィス家具への需要も急増。1955年、スチールデスクの製造・販売を開始。同社のスチール家具が、その後各種デスクへの道を開くこととなった。1960には、ファイリング・伝票会計・オフィスレイアウトの3大システムを確立。高度経済成長下、オフィスの合理化が求められる中、ファイリング、伝票会計システム、そしてデスクを中心とした家具・事務機器・備品などの機能的な配置を提案した「オフィスレイアウト」を提唱し、オフィスのシステム化において、イトーキのブランドを確立した。

 さらに、1962には、ホームデスク、スチューデントデスクの分野にも進出。1967年、「グッドデザイン・グッドシステム」のキャッチフレーズを採用し、デザイン・カンパニーとしてのイメージを確立してゆく。

 一方で、業容の拡大に伴い、同社は196110大阪証券取引所2に、19629には東京証券取引所2に株式を上場した。

1970〜1989年:オフィスプランニング、ニューオフィスを推進

 1970年に入ってからは、海外の各社と技術提携を実施。様々な最新式のオフィスシステムを日本に導入。単なるオフィス家具の提供を超えて、“オフィスプランニング”を提案するようになる。1976年には、Gマーク選定商品に14点が入選するなど、引続きデザイン面で高い評価は続く。その後、Gマークに毎年、数多くの商品が選ばれている。1977年、スイス・ビボ社と提携し、研究設備家具システムを発売。現在の設備機器・パブリック事業分野に進出した。

 1984年、シンガポール及び米国に現地法人を設立。海外市場を見据えた展開も進める。1985には、現在にも通ずるCIを制定した。1987年、東京証券取引所、大阪証券取引所の市場1銘柄に指定替えとなった。

1990現在:創業100年を越えて、21世紀のオフィスづくりを目指す

 創業100年を迎えても、同社は引続き時代の要請に応えた商品・サービスを提供し続けている。1994年には、オフィスのIT化に対応したフリーアクセスフロアを販売開始。また、品質管理にも注力し、1998年にはISO9001に審査登録。また、世界的な環境意識の高まりに合わせて、同じくISO14001にも審査登録。2001年には、全事業所の審査登録が完了した。

 2005、製造部門のイトーキクレビオと販売部門のイトーキが統合し、新会社イトーキに社名変更した。世の中の流れが加速化する中、製販の一体化で迅速な経営判断を可能とし、またグループの合理化が図られることとなった。

 その後も、時代の要請に応じた様々な新商品を開発・販売。エルゴノミクスを追求したオフィスチェアやオフィス家具を提供している。2017には、フリップフラップチェアが、国際的なデザインアワードであるレッドドット・デザイン賞を受賞した。

 2018年、首都圏のオフィスを日本橋に集約。「ITOKI TOKYO XORK」を開設。ワーカーの能力を最大限に引き出す総合的なワークスタイル戦略を提唱し、次世代のワークスタイルを実践する場として、種々実証実験を行い、そこから生み出される様々な知見やノウハウを社会に向けて発信していく考えである。

出所:同社有価証券報告書

出所:同社資料

注目される経営陣の指揮

 直近の動きで注目されるのが現在の経営陣である。

 現在の代表取締役社長である湊 宏司氏は、2021年9月に同社入社、2022年3月から現職に就任している。同氏は1994年にNTTに入社後、USCでMBAを取得。その後、サンマイクロシステムズの本部長、(オラクルのサンマイクロシステムズ買収により)日本オラクルの副社長を勤めた、同社トップとしては異色の経歴の持ち主である。

 同氏への期待は、オフィスのIoT化などの技術トレンドを踏まえて適切に同社を導くこと、および、外資系企業のマネジメント経験を活かし、社内人材の活性化と財務的パフォーマンスの改善を進めることにある。

 同氏の社長就任後のパフォーマンスは、財務面、定性面、株価の面で、これらの期待に十分に応えるものだったといえる。従来の中期経営計画RISE ITOKI 2023は、目標値を大きく達成し、売上高・営業利益ともに最高値を更新したこと、従業員エンゲージメントが向上したこと、株価は2022年3月末から2024年3月末までに347円から1782円に上昇したこがその証左である。

 2024年度から始まった新中期経営計画においても、その手腕がさらに発揮されることが期待されていることはいうまでもない。

湊社長の考え方

出所:同社資料等より Omega Investment 作成

生産体制

出所:同社資料

グループ概要

 沿革でみたように創業の地は大阪であるが、現在の本社所在地は東京都中央区である(2018年移転)。同社グループは、同社及び連結子会社32社、非連結子会社7社及び2社で構成されている(次項参照)。2000年代以降は、ASEAN・中国を中心に積極的に海外展開にも乗り出し、現地企業の買収を行うと共に、各地に子会社、関連会社を設立している。

生産体制

 同社は基本的に国内の工場で生産する体制をとっている。これは、同社の主要市場が国内であること、およびオフィス家具が収納という性格上容積が嵩むため海外で生産をして輸送費を掛けて輸入することがコスト的に見合わないためである。

 現在の主力工場は滋賀工場で、ワークプレイス事業のチェア、デスク、キャビネット等を製造。約300名の従業員が働いている。2022年9月には、同地にアセンブル・プロセスセンター(APセンター)を開設。2023年1月より本格稼働した。APセンターでは、自社製品の保管・組立・出荷を一元的に管理することにより、原価率の低減を図っている。同センターでは、物流市場での需要が急増しているシステムストリーマー SAR-Rの生産ラインも移設し、需要増に対応する。なお、長年、同社の主力工場の一つであった寝屋川工場は、2022年に閉鎖し、生産を滋賀工場に集約した。同工場の跡地は65億円で売却。資産効率化を進めている。

事業系統図

 事業系統図は次頁を参照。同社及びグループ会社にて、製造・販売・工事・内装・施工・保守サービスを手掛けている。

 海外のオフィス家具メーカーは、製造・販売のみに特化している場合が多く、内装・施工あるいはワークプレイスデザインまで提供することは殆どない。日本においても、大型案件に関しては、オフィス家具提供企業と施主の間に、コンサルティング会社、オフィス設計事務所が入って、ワークスタイルデザイン、ワークプレイスデザインを提供することが一般的である。しかし、近年ではオフィス家具メーカーも、上流から施工、オフィス家具の納入までをトータルで提供し、提案価値に見合ったフィーの獲得を図っている。

主要連結子会社

会社名 事業内容
伊藤喜オールスチール(株) カウンター、大型天板デスク、壁面収納家具、机上パネル等の製造
富士リビング工業(株) ミーティング・アメニティチェアの製造
(株)イトーキマーケットスペース 店舗用什器の販売/ストアプランニング
(株)イトーキエンジニアリングサービス オフィスリニューアル・移転のプロジェクトマネージメント、オフィス家具のレイアウト納入管理、その他各種機器類の保守・点検サービス
(株)シマソービ 事務用家具・事務用品・室内装飾品の加工販売及び電気工事の請負
(株)イトーキ東光製作所 鉄扉/貸金庫/各種遮蔽扉/耐火壁/原子力関係放射線遮蔽扉の製造等
イトーキマルイ工業(株) 鋼鉄製事務用機械器具の製造
三幸ファシリティーズ(株) 事務用機器、家具、什器及び付随する商品の販売、建設工事、設計管理
(株)エフエム・スタッフ ファシリティ・マネージメントに関するコンサルティング業務、等
(株)イトーキシェアードバリュー オフィス空間のシェア事業、オフィス家具のレンタル、リユース事業等
新日本システック(株) ITソリューションサービスの提供
(株)ダルトン 研究・教育関連設備の設計・製造・販売、粉体処理機械の設計・販売、ハイテクプラントシステムの設計・販売
(株)ムトーセーフ 当社代理店
Tarkus Interiors Pte Ltd シンガポールの内装工事会社、2016年子会社化
Novo Workstyle Asia Limited アジア地域の事業統括会社、在香港、2017年設立
Novo Workstyle CO., Limited 中国江蘇省に設けられた当社の製造部材の供給
ITOKI SYSTEMS (SINGAPORE) PTE., LTD シンガポール子会社、オフィス家具の販売、提案、物流システムの販売
ITOKI CHINA HOLDINGS Co., Ltd. 中国事業の持株会社。傘下に Novo Workstyle Co., Ltd.。 北京、上海、蘇州、深圳等に事業所
 他15社  

出所:同社資料等より Omega Investment 作成

事業概要

ワークプレイス事業

全社売上の71%を占める基幹事業:提案営業に注力し、収益率向上を図る

 同社のワークプレイス事業の2023/12期売上高は942億円、営業利益は61億円、営業利益率は6.5%となった。売上高は前年度比+9.7%、営業利益は同+137.6%、営業利益率は同+3.5ポイントとなり、売上高の拡大と採算改善を両立している。営業利益率は過去3年間着実に改善しており、付加価値と採算を重視する経営方針が浸透していることを示す。

地域別売上高は、日本82,573百万円(構成比 88.0%)、アジア 11,220百万円(11.7%)、その他462百万円(0.3%)となっており、国内事業が現在のところメインであることがわかる。ただし、今後は海外の市場拡大も視野に入れている。

 同社のオフィス家具事業は、1955年のスチールデスクの発売開始以来、日本の経済成長、企業の事業拡大に合わせて、オフィスでのニーズに対応した商品を相次いで開発・提供。日本経済の発展に大きく寄与してきたといえる。

 ワークプレイス事業では、オフィス家具の単なる販売だけではなく、ワークプレイスのデザインを提案することにより、より高い付加価値を提供、それに見合った対価を獲得することを目標としている。従来、オフィス家具単体での差別化は難しく、価格競争に陥り、オフィス以外の什器も合わせて大きく値引きする等で、収益の悪化を招くこともあった。同社のオフィス家具は元々デザイン性が高く、Gマーク獲得実績も多いが(次頁、上図参照)、提供価値に見合った対価を十分得られていなかったといえよう。直近では、営業体制・カルチャーの見直し(売上重視から、利益重視に)、提供価値に見合った収益の獲得、より高付加価値商品・サービスの販売、等に力を入れその成果が顕在化していることは前述の通りである。

ワークプレイス事業収益推移

ワークプレイス事業/決算期 2020/12 2021/12 2022/12 2023/12
売上高 83,032 80,561 85,945 94,257
 前年比   -3.0% 6.7% 9.7%
セグメント利益 1,273 1,914 2,579 6,128
 前年比   50.4% 34.7% 137.6%
利益率 1.5% 2.4% 3.0% 6.5%

出所:同社資料よりOmega Investment 作成

同社のグッドデザイン賞受賞履歴

注)  グッドデザイン・ベスト100受賞作品を中心に例示。同社は 2005年以来、累計 86点のグッドデザイン賞を受賞している。
出所:各種資料より、Omega Investment 作成

オフィス家具市場はたな働き方の進展で、付加価値が高まる可能性

日本のオフィス家具市場:全体の市場規模は8,000億円規模で安定成長

 オフィス家具関連の109社が加盟する(社)日本オフィス家具協会(JOIFA)が、業界団体として、様々な活動を行っており、統計・調査等を適宜発行している。日本のオフィス家具の市場規模についても、同協会が把握していると推測されるが、現状、一般にはデータを公表していない。そこで、大まかな市場規模のイメージとして、同社を含むオフィス家具大手4社のセグメント情報から4社合計の数値を抽出した参考値をグラフ化した(但し、各社のセグメント定義の差異、および決算期の相違は無視している;イトーキ、コクヨは12月期計数、オカムラは2023年度に2024年3月期会社予想を使用、内田洋行は2023年7月期までの計数を使用)。この4社合計中の各社のシェアを見てみると、2023年、同社 20%、コクヨ 33%、オカムラ 35%、内田洋行 11%となっている。コクヨ、オカムラが、それぞれほぼ1/3のシェアを有し、同社が第3位で内田洋行が第4位というポジショニングが長いこと定着している。また、市場はほぼ安定的に(3〜4%)成長しているもようである。実際には、4社以外の企業の売上を合わせると、年間8,000億円程度(うち、オフィス家具単体で 4,000億円〜程度、残りはコンサルテイング・施工を含む)の市場規模と推察される(JOIFAの加盟企業の売上規模等から、Omega Investment 推計)。

オフィス家具主要4社のオフィス家具事業売上高推移

出所:各社有価証券報告書より Omega Investment 作成

東京23区の大規模オフィスビル供給量推移(森ビル調べ)

出所:森ビル「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2023」より Omega Investment 作成

オフィスビル市場の展望:新規供給延床面積は2024年度に減少する供給件数は増加

 オフィス家具の需要は、新築オフィスビルの供給や景気動向、企業業績等に左右される傾向が強い。森ビルの「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2023」によれば、2024年度の大規模オフィス供給量は延床面積べースで減少し、その後一進一退となる見通しである。ただし、件数は2025年度まで底堅い。なお、当資料は1年に一回最新値にて更新される。

 また、同事業の業績を左右するのはオフィスの新築・移転ばかりではなく、リニューアル需要も重要である。次に見るように、商談の過半がリニューアル案件であり年々その割合が増えている。この背景には、オフィスの生産性に対して顧客の関心が高まっていること、同社がこのニーズに対するソリューションを提供するという認知が広がりつつあることがあげられるだろう。以上を踏まえると、同事業は新規供給にとらわれずに業績の伸長を期待できると考えられる。

イトーキ内での商談比率(新築・移転/リニューアル)

出所:同社説明会資料

オフィス家具市場の直近の動向:オフィスへのニーズの高度化で新たなビジネスチャンス

 近年ではオフィスに対するニーズが大きく変容してきている。感染症の拡大によるリモートワークの導入もあり、オフィスの役割が従来と変わってきており、そのことはオフィス家具各社にとって、新たなビジネスチャンスの到来も意味すると考えられる。背景は以下の通り
a) 働き方改革:日本経済の低迷が長期間続いているが、製造業を中心とした生産性の向上が図れた高度成長の時代が終わり、第3次産業の比率が高まると、特にホワイトカラーを中心とした生産性の向上が困難になってきた。そのような状況の中、働き方改革により生産性を上げようという方向性が示されている。そのためには、日本企業の社内の組織のあり方を変える必要があり、企業のオフィスの構成も、旧来的な固定席をベースとしたオフィス環境から大きく変容しようとしている(次頁、図参照)
b) IT・ネットワーク化の進展:いわゆるIT化が進展することにより、社内の仕事の進め方もここ10〜20年で大きく変わった。ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク等の進化に、オフィス自体の対応も必要となっている。今までの進化は、同社が提唱するOffice2.0の範囲の進化であり、今後はOffice3.0、オフィスのDX化への対応が競争の優劣を決することとなろう。
c) 新たな価値創造の場としてのオフィス:a)にも示されたように、これからは働き方が大きく変わっていく。感染症拡大を契機にリモートワークの導入が進んだが、一方で、やはり人と人が顔を突き合わせて、コミュニケーションを取る場も重要である。今後は、体験を共有する場としてのセンターオフィスと、フレキシブルな働き方であるリモートワークとを高い次元で組み合わせることにより、ワーカーの能力を最大限に引き出すことが重要となってくる。

オフィスに求められる役割の変化

出所:同社資料等より Omega Investment 作成

d) 高付加価値人材の獲得:各企業とも今後の成長のための最大の資産は人材であるが、ITをはじめとしたクリエイティブな人材は逼迫している。そのような優秀な人材を引き留める意味でも、卓越したオフィス環境・空間の整備は必須といえる。

同社の取組:Office1.02.03.0の掛け算で企業価値を高める

 上記に記したオフィス家具及びオフィス空間の市場の変化に対する同社の回答が下図。Office2.0において、オフィス家具の製造・販売に加え、オフィスの設計・施工で付加価値をつけてきたが、Office3.0では、更にオフィスのDXを推進する。オフィス家具やオフィスの様々な箇所にセンサーを取り付けることにより、データを収集。そのビッグデータを解析することで、より付加価値の高いサービスを顧客に提供することが可能となる。

同社の提唱するOffice3.0の概念

出所:同社資料

 Office3.0を自ら実践する場として、同社は2018年、東京本社オフィスを日本橋に集約し、ショールームを兼ねて「ITOKI TOKYO XORK」を開設した(次項参照)。

 2024年に入りこの構想が「ITOKI OFFICE A/BI PLATFORM(イトーキ・オフィス・エービーアイ・プラットフォーム)」を基盤とする「Data Trekking(データ・トレッキング)」サービスとして具体化している。

 同サービスは2月14日にローンチされており。オフィスの移転・リニューアルを予定する顧客向けに、オフィス内のセンシングデータなどを道標にしながら、アジャイルなオフィス構築とその運用を伴走型で支援するコンサルティングサービスである。

 これは、当社独自のプラットフォーム「ITOKI OFFICE A/BI PLATFORM(イトーキ・オフィス・エービーアイ・プラットフォーム)」を基盤に、スペースの稼働データ、組織サーベイデータ、レイアウトデータ、顧客独自の指標データなどを集積・分析する仕組みであり、データの取得は、ビーコンによる位置情報を活用した“働く”の見える化ができるアプリケーション「Workers Trail(ワーカーズ・トレイル)」と、イトーキが独自開発したクラウド型組織サーベイで個人と組織のパフォーマンスとコンディションを可視化できる「Performance Trail(パフォーマンス・トレイル)」の2種を主に利用する。また、データの分析は、独自開発したダッシュボード型の「Office Data Map」を用いて、当社のコンサルティングチームで行い、オフィスデザイナーと連携する予定である。

 さらに3月13日には、同社はAI スタートアップ企業の燈株式会社と生成 AI 共同開発契約を締結し、「ITOKI OFFICE A/BI SERVICE」の取り組みの一環として、オフィスデザイン自動生成 AI と関連したアプリケーションの開発を開始している。

 こうした展開は顧客の個別ニーズを捉え顧客のオフィス生産性改革を具体的に手助けすることになり、顧客満足度の向上、顧客の定着、リカーリング収入の獲得などにつながる可能性を持っているため、今後の展開が大いに注目される。

出所:同社資料

「ITOKI OFFICE A/BI PLATFORM」を基盤とする「Data Trekking」サービス

出所:同社資料

競合比較:

 オフィス家具市場で見たように、同市場は、同社、コクヨ(TSEP: 7984)、オカムラ(TSEP: 7994)、内田洋行(TSEP: 8057)の大手4社で市場の5割程度を占有する。各社の直近の数字等を比較したのが下表。オカムラ以外は100年以上の歴史を有するが、オカムラも既に70年以上の長い実績がある。各社の事業内容については、同社とオカムラはオフィス家具及び商業施設用の什器等が売上の大部分を占める。一方、コクヨは周知の通り、文房具関係の売上が占める割合も大きい。内田洋行は、公共関連(教育関連のICT等)、情報関連(ソフトウエアライセンシング等)の占める割合が8割となっている。

 各社のオフィス家具事業の収益性を比較したの次のグラフ。P11にも記したように各社のセグメントの定義は必ずしも同一ではないが、おおよその目安にはなると思われる。これから判るのは、シェアの高いコクヨ、オカムラの利益率が高いこと、特に、コクヨは近年、提案営業や設計料をチャージ出来る案件に力を入れることにより、10%以上の高い利益率をあげてきている。内田洋行はオフィス関連以外の事業で高い利益率を上げているが、オフィス関連では、低い利益率に甘んじている。

オフィス家具4社、オフィス家具関連事業の営業利益率推移

出所:各社有価証券報告書より Omega Investment 作成

 一方、同社は2012年は5%近い利益率を稼いでいたが、その後は利益率が低下。上位2社との競争に際し、利益率よりも売上を確保するための値引き販売等により、利益率が低下したようだ。同社では問題を認識し、現状では提供価値に見合った販売価格の適正化、コンサルティングサービスの強化・拡大、更に配送料・デザイン費等のサービスの収益化に取り組むことにより、利益率の改善を図っており、直近期はその効果が顕著に出ている。

設備機器・パブリック事業

物流関連施設、研究施設機器等、ユニークな商品を提供

 同社の設備機器・パブリック事業の2023/12期売上高は 36,466百万円(前年度比3%増)、営業利益 1,906百万円(同28%増)、営業利益率は 5.2%となった。

 地域別売上高では、日本 36,466百万円、アジア 177百万円、その他 195百万円で、こちらも国内市場が中心となっている。

 この事業の利益率も年々着実に改善を続けている。

設備機器商品群

出所:同社資料

設備機器・パブリック事業収益推移

設備機器・パブリック事業/決算期 2020/12 2021/12 2022/12 2023/12
売上高 31,602 33,488 35,667 36,839
前年比   6.0% 6.5% 3.3%
セグメント利益 1,225 974 1,482 1,906
前年比   -20.5% 52.2% 28.6%
利益率 3.9% 2.9% 4.2% 5.2%

出所:同社資料よりOmega Investment 作成

 設備機器・パブリック事業は、同社が1914年にベント式金庫の販売を開始したことにまで遡る。その後、倉庫関連の様々な什器を製造・販売。1980年代以降は、業界に先駆けて各種の自動倉庫機器を開発・提供してきた。また、金庫扉の生産の経験から、原子力特殊大型扉を生産・発売。セキュアロックシステムも開発する等、数多くの業界初の商品を開発し続けてきている。近年では、特に倉庫・物流システムの自動化機器に対するニーズが強い。

 物流設備機器の主要顧客は、自動車業界、機器製造メーカー等。公共施設の商品は、博物館、美術館、図書館等が主な納入先となっている。物流設備機器の販売は、景気動向、企業収益の動向に左右されるが、製造業において物流コストの削減は継続的な経営課題であり、今後も成長が期待される。一方、公共施設に関しては、官公庁、地方自治体等の予算執行の影響を受ける。

 同セグメントの、研究設備機器も注目商品といっていいだろう。同社が2011年に出資、2016年に完全子会社化したダルトンが製造・販売する。ダルトンは1939年、科学機器及び分析用硝子器具等の製作・販売会社として創業(創業時の社名は三英製作所)。科学研究施設部門を設立し、様々な研究施設で使用される商品を開発・販売してきた。1996年、粉粒体機器製造メーカーを買収し、粉体機械に進出。2014年、ドラフトチャンバー・実験台「ユニエックス ラボシリーズ」を発表した。

ダルトンの研究施設機器、等

出所:同社資料より、Omega Investment 作成

 研究施設機器の顧客は、製薬企業、大学・研究機関等であり、その売上は製薬企業の研究開発費/設備投資の動向、大学の科研費等の影響を受ける。最大の顧客である、製薬企業は新薬の開発に、研究開発費を積極的に投入している。一方で、日本の大学の研究予算は削減傾向が続いているのが懸念事項であるが、主要顧客の医薬品メーカーの旺盛な研究投資予算は今後も続くと予想され、同社の研究施設機器の売上は拡大が見込まれよう。

決算動向

2023/12期決算実績

◇収益体質化定着。最高益更新し増配。

 同社の2023/12期通期決算は売上高1, 329億円(前年度比8%増)、営業利益85億円(同86%増)となり、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益全てにおいて過去最高を更新した。

 リニューアル案件やオフィス移転などを着実に売上高に積み上げつつ、提供価値の向上を通じて利益率を大幅に改善した。この結果、戦略的支出による販管費増をこなして会社計画を上回る利益をあげている。

 セグメント別では、ワークプレイス事業と設備機器・パブリック事業の各々で増収増益となり営業利益率も良化している。隙のない決算である。

 また、好業績を受けて2023年12月期末配当は前年度比5円増配の42円とされた。

 同業他社も好業績であることが示すように業界環境は追い風である。しかし同社の営業利益率は過去10年には見られなかった6%台に一気に上昇しており、湊社長体制で体質強化が進んだと評価すべきであろう。中期計画最終年度に「収益体質の作りこみ」を完了したと言えそうだ。

出所:同社資料

  従来の中期経営計画を達成:

  2023年12月期の着地は、従来の中期計画に対して、売上高はほぼ想定通りに、営業利益額、営業利益率、ROEは目標を超過達成している(下記のグラフを参照)。単体を中心に、人事考課を平等から「公平」にシフトし社員をエンパワーしたこと、採算重視を徹底したこと、オフィスデザインなどの提案力を強化したことなどの、内部要因が重層的に効果を発現したと考えられる。

 この結果、特に注目したい点が二つある。一つは、以前に比べてより社員が会社に誇りを感じるようになっており、従業員のエンゲージメントにポジティブな結果が出ている点、もう一つはROEが11.3%まで改善したことで株価上昇、PBR1倍超えを実現した点である。

 「収益体質の作りこみ」が財務数値の改善にとどまらず、社員に前向きに消化されていること、こうした総合的な体質強化が株式市場の評価向上にもつながっている公算が高いことがうかがわれ、初期の目標を十分に達成できたと言えそうだ。

出所:同社資料

  アドバンテッジアドバイザーズ(株)との事業提携終了:

 2024年2月13日、20日、21日の同社による適時開示によれば、同日アドバンテッジアドバイザーズ社(以下、AA)に発行されていた新株予約権が全量行使され、この結果普通株式11.7百万株が交付されたこと、この対価として40.7億円が同社に払い込まれたこと、2月21日に同社が7.965百万株を159億円で自己株式取得を行ったことなどが明らかになっている。2月28日の大量保有報告によれば、AA社はこの取引で取得した全ての同社株の売却を完了している。

 ポイントを整理すると次のようになる。中長期的な観点で言えば大きな懸念材料にあたらないと考える。

  • 発行済株式数の増加:2023年12月末の発行済株式数は自己株式数を控除すると45.3百万株であり、今回の一連の取引後の自己株式控除後の発行済株式数は49.1百万株になる。これは約8%の株数増加にあたり、希薄化としては合理的な規模である。今後の業績拡大、配当性向の引き上げなどを勘案すると、多くの株主に許容されうると考えられる。
  • 財務負担:約120億円の資金を要したが、同社は2023年12月時点で約80億円のネットキャッシュ・ポジションである。収益力の改善も顕著であることから、借入等の負債調達に関して金額・金利等の条件面で支障はないと見られる。
  • 自己株式の処理:今回取得した約半分にあたる4百万株については消却が実施された(2024年3月8日)。残りについては役員報酬やM&Aに充当される可能性があるが、市場に再放出する予定は今の所ないとのことで、株式需給面での影響は当座ないとみられる。
  • 事業提携終了による影響:新株予約権の行使に伴い、事業提携は終了した。決算の成果および経営陣からのメッセージを見る限り、同社は収益体質の作り込みを内部化できていると見られることから、事業提携終了による直接的なマイナス要因は少ないと見られる。 

出所:同社資料

202412月期会社予想:増収増益継続、営業利益率は更に上昇へ。

 売上高1, 375億円(前年度比3%増)、営業利益100億円(同17%増)、経常利益100億円(同17%増)、当期純利益70億円(同19%増)であり、増収に加えて営業利益率がさらに良化する想定である。

 売上高の想定は足元の保有商談の増加率と同程度である。一方、利益に関しては、2023年12月期に戦略的な販売管理費の投下を除く営業利益は110億円であったことから、営業利益予想100億円到達は既に射程圏にあるとみなせる。

出所:同社資料

成長戦略

  新中期経営計画 RISE TO GROWTH 2026高収益化フェーズへ移行。

 同社は、2024年2月13日、2024〜2026年を対象期間とする新中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」を発表した。持続的な成長力を高める《高収益化フェーズ》との位置付けである。

 先にも触れたように、オフィスをはじめとするワークプレイスのあり方とその生産性向上が注目を高めており、オフィスをコストとして一面的に捉える見方から、投資効果を追求する人的資本投資の対象であるとの見方に顧客企業の経営層の思考様式が変わりつつある。さらにオフィスのDXおよびオフィス機器のIoTが進むことも想定される。同社は、“明日の「働く」を、デザインする”というミッションを掲げており、このようなワークプレイスに対するニーズの変容を同社の長期的飛躍に結びつけたいと考えているようだ。

 今回の中期経営計画では「Tech x Design based on PEOPLE」というコンセプトに基づき重点戦略「7 Flags」およびESG戦略で構成されている。

 財務目標は、2026年における売上高1,500億円(2023年12月期比13%増)、営業利益140億円(同64%増)、営業利益率9%(同3%ポイント増)、ROE15%(同4%ポイント増)。増収にとどまらず利益率向上にも力点を置いた内容であり、2026年には収益性の点で業界トップクラスを目指すという意欲が垣間見える。

 営業利益は足元から累計で+55億円の増益となる想定であるが、そのうち+48億円をワークプレイス事業の増益で賄う計画である。より具体的には付加価値提供による改善効果、生産・物流のコストカット効果、海外での採算改善、グループシナジー、および増収効果から生み出す模様であり、利益計画は挑戦目標というよりも必達目標として掲げられているように見受けられる。 

 株式市場に対するメッセージは、株式資本コストを9〜10%と想定したうえでこれを超過するROEの実現を目指すと同時に、資本コストの削減にも取り組むことを通じて、株主価値の最大化、PBR向上につなげるというものである。株主還元についても配当性向を従来比10%ポイント引き上げて40%にする。現在の株式市場の期待に十二分に応えた内容である。

 詳細は後述するが、本業基盤の強化、オフィス関連の新規事業の種まき、専門施設領域の育成、連結ベースでの収益体質強化、人的資本、財務戦略など、広範囲にわたってよく練り上げられた計画と言え、初年度から財務目標に対する進捗率に注目が集まると推察される。

出所:同社資料

この7つの重点施策について、その概要とKPIについて以下の通りまとめておく。

出所:同社資料より Omega Investment 作成

補足情報 収益力の改善の成果を中長期戦略に沿って再投資に振り向け、加えて株主還元も強化する

補足情報 株主資本コストを上回るROEを実現し、エクイティスプレッド拡大を通じてPBR上昇を促す

出所:同社資料

◇ 株価動向と注目点:改革の成果が株価にも反映。

 同社株価は湊社長就任の2022年3月末から2024年3月末までに347円から1782円に上昇、PBRも1倍割れから約1.5倍になった。コロナ禍で台頭したオフィスニーズの後退と同社の過去の低収益性を懸念する投資マインドが、湊社長体制の経営方針と実績によって大きく好転したと考えられる。

 次に、今後の展望を考える上で「国内オフィスへのモノ売り」という観念にとらわれすぎると、同社の将来ポテンシャルを限定的に見てしまう危険性も考えられる。ここはこうした見方を一旦解放し、フラットな眼で同社の将来像を見極めていくべきだと考える。

 すなわち、中期経営計画に示された財務KPIの進捗に加えて、定性的な布石の進捗にも注目すべきだろう。オフィス生産性改善ニーズの根強さ、連結ベースにおける収益重視の徹底、従業員の創意工夫に対するモチベーションの向上、コト売り収益比率の増加、物流や研究所等向けないしアジア市場への展開など国内オフィス以外の新たな収益機会の具体化などの材料が整うにつれて、同社の2027-2029年の業容のイメージがしだいに鮮明になり、株価も次のステージに移る可能性を秘めていると考える。

イトーキ株価および対TOPIX指数の長期推移

出所:Omega Investment 作成

出所:同社資料

バリュエーションの考察

 以下に同社と同業3社の過去5年間のROEの推移(オカムラ、内田洋行は進行期の予想ROEを含む)およびPBRの推移をプロットした。

 同社の収益性改善によりROEが競合他社に遜色ない水準に改善し、それにつれてPBRも他社比同等の水準に上昇したことが一目瞭然である。

 一方、今後の株価のドライバーには利益成長とROEの更なる改善の双方が不可欠だと思われる。ちなみに同社の新中期経営計画のROE目標は15%であり、これは直近比+4ポイントの改善である。このROE目標の実現性が高まるにつれて、PBRには上昇余地が生まれると期待できそうだ。 

出所:各社財務データより Omega Investment 作成

オフィス家具4社株価・財務データ比較

コード 7972 7984 7994 8057
会社名 イトーキ コクヨ オカムラ 内田洋行
決算期 2023年12月 2023年12月 2023年3月 2023年7月
株価(4/19 1,819 2,517 2,269 6,730
時価総額(百万円) 88,772 286,913 214,752 66,250
PER(倍) 11.78 13.41 10.68 11.04
PBR(倍) 1.50 1.14 1.34 1.24
配当利回り(%) 2.86 3.02 3.79 2.82
財務指標        
ROE 11.3% 7.8% 10.8% 13.0%
ROA 5.0% 5.3% 6.3% 4.8%
自己資本比率 46.8% 70.3% 59.6% 39.0%
一株当たり指標        
発行済み株式数(千株) 49,100 113,990 94,646 9,844
EPS(円、予) 144.12 187.74 212.37 609.62
BPS(円、実) 1,210.96 2,209.32 1,592.79 5275.58
DPS(円、予) 52.00 76.00 86.00 190.00
配当性向 36.1% 40.5% 40.4% 31.2%
決算データ        
売上高 132,985 328,753 277,015 246,549
  5年間成長率 2.3% 0.8% 2.8% 10.2%
売上総利益 52,240 127,392 89,005 42,674
  売上総利益率 39.3% 38.8% 32.1% 18.6%
営業利益 8,523 23,830 17,372 8,436
  5年間成長率 34.7% 5.4% 5.7% 23.5%
  営業利益率 6.4% 7.2% 6.3% 3.4%
親会社株主に帰属する当期純利益 5,905 19,069 15,906 6,366
  5年間成長率 27.9% 6.0% 8.0% 28.3%
  当期純利益率 4.4% 5.8% 5.7% 2.6%
期末従業員数 3,892 6,931 5,492 3,241
従業員一人当売上高(千円) 34,169 47,432 50,440 76,072
EBITDA 7,821 31,920 23,585 10,333
  EBITDAマージン 8.6% 9.7% 8.5% 4.2%
キャッシュ・フロー計算書        
営業活動によるキャッシュ・フロー 6,321 34,739 13,491 7,269
投資活動によるキャッシュ・フロー -4,012 -3,798 -6,660 -4,857
財務活動によるキャッシュ・フロー -4,148 -14,442 -9,485 -3,521
フリーキャッシュ・フロー 2,309 30,941 6,831 2,412

出所:各社資料等より Omega Investment 作成

大株主の状況

出所:同社有価証券報告書

所有者別株式保有の状況

出所:同社有価証券報告書

コーポレートガバナンス及びトップマネージメント

 同社は監査役会設置会社で取締役8名、うち3名が社外取締役で独立役員に指定されており、常勤監査役1名、非常勤監査役2名を置いている(次ページに詳細)。また、同社は経営の監視と業務執行の分離の観点から、執行役員制度を取り入れている。

 現在、指名、報酬委員会など任意の諮問委員会を設置していない。しかし経営陣幹部・取締役の指名・報酬等を議論する際に、議長より積極的に独立社外取締役の意見を求めるなど適切な助言、関与を得ているとのことであり、実質的には現状の枠組みで統治が機能していると考えられる。

 ただし、現在の取締役・監査役合計11名中、男性10名、女性1名(社外)で、国籍は全て日本人であることから、一層のダイバーシティが求められる。

 なお、従業員のダイバーシティについては一定の進捗が見受けられる(後述)。

同社のコーポレート・ガバナンス体制

出所:同社資料より Omega Investment 作成

トップマネージメント(2023年3月23日以降の新体制)

代表取締役会長:山田匡通

1940年生まれ
1964年 4⽉ 旧(株)三菱銀⾏⼊⾏
1991年 6⽉ 同⾏取締役
2000年 6⽉ 同⾏専務取締役
2002年 9⽉ 旧 三菱証券(株)代表取締役会⻑
2004年 6⽉ 旧 東京急⾏電鉄(株)常勤監査役
2005年 6⽉ 当社取締役就任
2007年 6⽉ 当社代表取締役会⻑就任(現職)

代表取締役社長:湊 宏司

1970年生まれ
1994年 4⽉ 日本電信電話株式会社(NTT)入社
2008年 7⽉ サン・マイクロシステムズ株式会社 入社
2010年 6⽉ 日本オラクル株式会社 カスタマーサポート統括(サン・マイクロシステムズ株式会社との経営統合)
2015年 6⽉ 同社 執行役員 社長室長
2018年 8⽉ 同社 執行役 副社長 最高執行責任者(COO)
2019年 8⽉ 同社 取締役 執行役 副社長 最高執行責任者(COO)
2021年 9⽉ 当社入社 顧問
2022年 3⽉ 当社代表取締役社長就任(現職)

取締役常務執行役員:森谷 仁昭

1965年生まれ
1982年 4⽉ 旧(株)第⼀勧業銀⾏⼊⾏
1988年 7⽉ 旧 ⽇本輸出⼊銀⾏出向
2007年 4⽉ (株)みずほ銀⾏個⼈企画部⻑
2011年 1⽉ 当社⼊社執⾏役員管理本部副本部⻑
2012年 1⽉ 当社執⾏役員管理本部⻑
2015年 1⽉ 当社常務執⾏役員管理本部⻑
2021年 3⽉ 当社取締役常務執⾏役員管理本部⻑(現職)

取締役:風 直樹

1962年生まれ
1986年 4⽉ 旧(株)イトーキ入社
2007年 1⽉ 当社東京西支店⻑2010年 1⽉ 当社東京西支社⻑
2013年 1⽉ 当社執⾏役員東京西支社⻑
2016年 1⽉ 当社執⾏役員東京支社⻑
2018年 1⽉ 当社執⾏役員Knoll事業統括部長、Knoll Japan株式会社代表取締役社長
2021年 1⽉ 当社常務執行役員営業本部長(現職)

取締役:品田 潤生

1961年生まれ
1985年 4⽉旧(株)イトーキ入社
2006年 7⽉ 当社東京東販売部港支店長
2014年 1⽉ 当社東日本支社⻑
2016年 1⽉ 当社執行役員法人営業統括部⻑
2018年 1⽉ 当社執行役員法人営業統括部⻑ 兼 カスタマーバリュー統括部長
2021年 7⽉当社執行役員エンジニアリング統括部長
2023年 1⽉当社常務執行役員企画本部長(現職)

取締役(社外取締役):永田 宏

1941年生まれ
1970年 4⽉ 三井物産フランス(株)⼊社
1996年 6⽉ 三井物産(株)取締役
1999年 6⽉ 同社常務取締役欧州三井物産(株)社⻑
2002年 4⽉ 三井物産(株)代表取締役副社⻑兼執⾏役員化学品グループプレジデント
2005年 4⽉ 早稲⽥⼤学⼤学院商学研究科客員教授
2008年 3⽉ 当社取締役就任(現職)
2018年10⽉ (株)クレアホールディングス代表取締役社⻑(現職)

取締役(社外取締役):似内 志朗

1958年生まれ
1984年 4⽉ 郵政省⼊省
2005年 4⽉ 旧 ⽇本郵政公社経営企画部⾨事業開発部⻑2009年10⽉ 同社不動産部⾨不動産企画部⻑
2019年 5⽉ ファシリティデザインラボ代表(現職)
・ 筑波⼤学客員教授(現職)
・ 東洋⼤学兼任講師(現職)
2020年 3⽉ 当社取締役就任(現職)

取締役(社外取締役):坂東 眞理子

1946年生まれ
1969年 7⽉ 総理府入府
1989年 7⽉ 総務庁統計局消費統計課長
1995年 4⽉ 埼玉県副知事
1998年 6⽉ 在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事
2001年 1⽉ 内閣府男女共同参画局長
2003年10⽉ 学校法人昭和女子大学理事
2016年 7⽉ 昭和女子大学総長(現職)
2017年 6⽉ MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 社外取締役(現職)
2019年12⽉ 株式会社三菱総合研究所社外取締役(現職)

監査役(常勤監査役):船原 英二

1982年 4⽉ 株式会社伊藤喜工作所(現株式会社イトーキ)入社
2005年 6⽉ 当社設備機器エンジニアリング部長
2015年 1⽉ 当社執行役員生産本部生産統括部長
2020年 1⽉ 当社常務執行役員生産本部長兼品質保証本部長兼生産統括部長
2020年 3⽉ 当社取締役常務執行役員生産本部長兼品質保証本部長兼生産統括部長
2024年 3⽉ 当社常勤監査役(現職)

監査役(社外監査役):石原 修

1960年生まれ
1987年 4⽉ 東京弁護士会登録 西村眞田法律事務所入所
1990年10⽉ TMI総合法律事務所入所
1997年 4⽉ 同事務所パートナー (現職)
2010年 3⽉ 株式会社小田原エンジニアリング社外監査役(現職)
2012年 4⽉ 日本弁護士連合会常務理事
2015年 4⽉ 関東弁護士会連合会副理事長

監査役(社外監査役):白畑 尚志

1962年生まれ
1984年 4⽉ 青山監査法人入所
1988年 7⽉ 公認会計士登録
1999年 7⽉ 青山監査法人入所
2000年 7⽉ 中央青山監査法人  社員就任
2002年 7⽉ 同法人  代表社員
2006年 9⽉ あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)パートナー(代表社員)
2022年 7⽉ 株式会社インフォメーション・ディベロプメント社外取締役(現職)

注)  上記、各役員の経歴上の同社・同法人は、関連する各社・各法人を示す。当社は、株式会社イトーキを示す。
出所:同社資料

取締役会メンバーのスキル・マトリックス

出所:同社資料

サステナビリティ

 同社は製造業であるため、オフィス家具、物流機器等の製造過程でCO2の排出は避けられない。そのため、SDGs、ESGに対する意識も高く、2021年からは統合報告書を作成している。また、2022年にはESGDATA BOOKを公開。同社のマテリアリティのKPIの実績に対しての評価等も詳らかにしている。

 特に注目すべきは、環境に関しての中期環境計画を策定し、各年毎の具体的、定量的な進捗状況を伝えていることである。温室効果ガスの排出量については、Scope1, 2だけでなく、Scope3も含めた削減目標を示している。CO2の排出以外にも、再生可能性エネルギーの導入やカーボンオフセット、生物多様性、環境会計等についても、定量的な分析を行なっている。

 SDGsについては、以下のマテリアリティを定めている。前にも記したように、ダイバーシティの面で改善余地はあるものの、コーポレートガバナンスにおいて、リスクマネージメント、コンプライアンスの体制は整っているといえるだろう。

同社のマテリアリティに対する考え方

出所:同社資料

なお、先に述べた従業員のダイバーシティへの取り組みは次のとおりであり、着実な進捗を示している。

出所:同社資料

財務データ(四半期ベース)

 
2020/12
2021/12
2022/12
2023/12
 
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
[損益計算書]
                               
売上高
37,707
26,997
21,489
30,017
32,167
29,468
22,412
31,858
35,345
28,411
26,205
33,363
36,965
31,225
28,667
36,128
前年同期比(%)
11.2
-9.3
-24.5
-0.1
-14.7
9.2
4.3
6.1
9.9
-3.6
16.9
4.7
4.6
9.9
9.4
8.3
売上原価
23,710
17,765
13,811
19,036
20,101
18,729
14,443
20,872
21,483
18,030
16,678
21,384
22,216
18,954
17,483
22,091
売上総利益
13,997
9,232
7,678
10,981
12,020
10,722
7,953
10,999
13,862
10,381
9,527
11,979
14,748
12,271
11,184
14,037
販売費及び一般管理費
10,996
9,602
9,590
9,901
10,352
9,453
9,203
10,150
9,898
9,973
9,812
11,484
9,970
10,047
11,006
12,694
営業利益
3,001
-370
-1,912
1,079
1,698
1,275
-1,242
829
3,964
407
-285
496
4,777
2,225
177
1,344
前年同期比(%)
43.5
-43.4
-23.2
133.4
-68.7
-40.2
20.5
446.7
171.0
営業利益率(%)
8.0
-1.4
-8.9
3.6
5.3
4.3
-5.5
2.6
11.2
1.4
-1.1
1.5
12.9
7.1
0.8
3.7
営業外収益
154
162
251
237
240
161
171
122
125
164
171
96
125
114
141
101
営業外費用
273
168
107
172
250
257
101
185
115
130
177
539
79
68
52
249
経常利益
2,882
-376
-1,768
1,143
1,657
1,173
-1,179
786
3,974
442
-291
52
4,824
2,271
265
1,195
特別利益
0
6
125
980
1,255
78
133
88
786
139
118
6,762
1
15
120
50
特別損失
116
42
55
1,503
20
456
518
1,474
44
64
38
3,465
21
10
24
308
税金等調整前四半期純利益
2,766
-412
-1,697
620
2,893
795
-1,565
-600
4,716
516
-211
3,351
4,804
2,275
363
936
法人税等合計
1,039
134
-195
654
1,028
490
-132
-796
1,381
246
-21
1,585
1,506
864
161
-60
親会社株主に帰属する四半期純利益
1,760
-557
-1,491
53
1,942
348
-1,440
316
3,388
288
-159
1,777
3,296
1,411
202
996
前年同期比(%)
43.6
10
496.2
74.4
-17.2
462.3
-2.7
389.9
-44.0
同利益率(%)
4.7
-2.1
-6.9
0.2
6.0
1.2
-6.4
1.0
9.6
1.0
-0.6
5.3
8.9
4.5
0.7
2.8
                                 
[貸借対照表]
                               
流動資産
69,811
60,382
52,463
57,183
65,543
62,170
55,249
57,753
69,458
64,096
59,873
71,027
72,230
68,755
68,040
73,304
現金及び預金
18,186
21,312
18,956
18,246
19,503
22,112
18,213
17,351
19,196
20,073
17,138
26,876
20,898
24,688
23,192
24,795
受取手形及び売掛金
37,611
27,230
20,298
26,599
32,061
26,596
21,385
26,783
 
受取手形、売掛金及び契約資産
35,205
28,234
24,111
29,316
34,519
28,377
26,948
31,158
固定資産
49,872
49,933
50,410
47,912
46,925
46,369
46,046
46,144
46,647
47,395
48,126
44,260
43,611
42,918
43,533
44,132
有形固定資産
27,612
27,350
27,329
26,206
25,184
24,779
24,887
24,417
25,105
26,042
26,932
24,978
24,689
24,952
24,730
24,792
無形固定資産
5,113
5,623
5,853
5,590
5,504
5,419
4,885
4,114
4,128
4,168
4,145
1,819
1,837
1,884
2,161
2,292
のれん
2,391
2,207
2,189
2,093
2,018
2,016
1,407
1,317
1,214
1,222
1,200
517
446
391
346
341
投資その他の資産
17,146
16,959
17,227
16,116
16,236
16,170
16,273
17,612
17,413
17,184
17,048
17,462
17,084
16,080
16,641
17,048
資産合計
120,352
110,940
103,453
105,096
112,469
108,540
101,295
103,898
116,105
111,492
108,000
115,288
115,841
111,693
111,573
117,437
流動負債
55,449
46,097
40,198
43,646
49,245
45,266
40,307
42,544
51,837
47,138
43,655
49,099
47,854
42,547
42,010
47,340
短期借入債務
15,616
13,289
14,239
13,234
13,458
12,061
12,409
12,500
15,014
11,976
11,738
11,239
10,874
10,299
10,383
10,276
固定負債
18,327
18,220
18,079
17,259
17,506
17,088
16,257
16,277
16,334
16,020
16,178
16,278
16,238
15,727
15,724
15,096
長期借入債務
9,475
9,574
9,453
8,508
8,711
8,193
7,435
7,591
7,427
7,174
7,266
7,530
7,453
7,062
6,959
6,577
負債合計
73,777
64,318
58,277
60,906
66,751
62,354
56,565
58,822
68,172
63,158
59,833
65,377
64,092
58,275
57,734
62,437
純資産合計
46,575
46,621
45,175
44,189
45,717
46,186
44,730
45,076
47,933
48,333
48,166
49,910
51,748
53,418
53,839
54,999
株主資本
45,479
45,390
43,786
43,691
45,047
45,419
43,979
44,301
47,249
47,567
47,408
49,185
50,806
52,267
52,469
54,960
資本金
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
資本剰余金
9,201
9,642
9,641
9,628
9,628
9,632
9,632
9,638
9,638
9,638
9,638
9,638
9,638
9,665
9,665
9,665
利益剰余金
31,030
30,461
28,884
28,950
30,306
30,654
29,213
29,530
32,477
32,769
32,610
34,387
36,008
37,419
37,621
38,617
自己株式
-46
-6
-33
-182
-182
-161
-161
-161
-161
-134
-134
-134
-314
-111
-111
-111
新株予約権
   
45
45
45
45
45
45
45
45
45
45
45
45
45
45
負債純資産合計
120,352
110,940
103,453
105,096
112,469
108,540
101,295
103,898
116,105
111,492
108,000
115,288
115,841
111,693
111,573
117,437
                                 
[キャッシュ・フロー計算書]
                               
営業活動によるキャッシュ・フロー
 
5,404
 
-843
 
4,577
 
-1,803
 
4,581
 
1,223
 
4,078
 
2,243
投資活動によるキャッシュ・フロー
 
-1,442
 
290
 
503
 
-1,673
 
-1,410
 
6,333
 
-3,265
 
-747
財務活動によるキャッシュ・フロー
 
293
 
-2,560
 
-1,418
 
-1,240
 
-661
 
-765
 
-3,266
 
-882
フリーキャッシュフロー
 
3,962
 
-553
 
5,080
 
-3,476
 
3,171
 
7,556
 
813
 
1,496
現金及び現金同等物の増減額
 
4,240
 
-3,037
 
3,787
 
-4,687
 
2,630
 
6,911
 
-2,466
 
711
現金及び現金同等物の期首残高
 
15,494
 
19,735
 
16,697
 
20,485
 
15,797
 
18,509
 
25,420
 
22,953
現金及び現金同等物の四半期末残高
 
19,735
 
16,697
 
20,485
 
15,797
 
18,509
 
25,420
 
22,953
 
23,664

出所:同社資料より Omega Investment 作成

財務データ(通期ベース)

 
2013/12
2014/12
2015/12
2016/12
2017/12
2018/12
2019/12
2020/12
2021/12
2022/12
2023/12
[損益計算書]
                     
売上高
103,461
102,993
106,516
101,684
108,684
118,700
122,174
116,210
115,839
123,324
132,985
前期比(%)
-1.9
-0.5
3.4
-4.5
6.9
9.2
2.9
-4.9
-0.3
6.4
7.8
売上原価
67,118
66,797
68,374
65,021
69,966
77,436
80,495
74,322
74,145
77,575
80,744
売上総利益
36,343
36,196
38,142
36,663
38,718
41,264
41,679
41,888
41,694
45,749
52,240
売上総利益率(%)
35.1
35.1
35.8
36.1
35.6
34.8
34.1
36.0
36.0
37.1
39.3
販売費及び一般管理費
32,203
33,723
33,836
33,862
35,761
39,339
40,776
40,089
39,158
41,167
43,717
営業利益
4,140
2,472
4,306
2,800
2,956
1,925
903
1,798
2,536
4,582
8,523
営業利益率(%)
4.0
2.4
4.0
2.8
2.7
1.6
0.7
1.5
2.2
3.7
6.4
営業外収益
813
841
898
771
750
889
677
804
694
556
481
営業外費用
528
495
605
483
412
448
634
720
793
961
448
経常利益
4,425
2,818
4,599
3,087
3,295
2,365
945
1,881
2,437
4,177
8,555
特別利益
685
615
171
97
228
919
27
1,111
1,554
7,805
186
特別損失
238
262
524
267
121
204
35
1,716
2,468
3,611
363
税金等調整前当期純利益
4,872
3,171
4,246
2,918
3,401
3,081
938
1,277
1,523
8,372
8,378
法人税等合計
876
813
-385
1,068
959
1,339
1,517
1,632
590
3,191
2,471
親会社株主に帰属する当期純利益
3,910
2,160
4,530
1,907
2,402
1,722
-550
-235
1,166
5,294
5,905
同利益率(%)
3.8
2.1
4.3
1.9
2.2
1.5
-0.5
-0.2
1.0
4.3
4.4
ROE(%)
10.2
5.2
10.4
4.2
5.2
3.7
-1.2
-0.5
2.6
11.1
11.3
                       
[貸借対照表]
                     
流動資産
52,925
55,714
56,342
52,410
58,147
62,143
58,109
57,183
57,753
71,027
73,304
現金及び預金
19,553
21,211
21,456
19,839
19,977
16,229
17,030
18,246
17,351
26,876
24,795
受取手形及び売掛金
26,243
25,965
26,138
23,241
26,869
33,160
28,244
26,599
26,783
   
受取手形、売掛金及び契約資産
                 
29,316
31,158
固定資産
42,335
41,007
41,832
43,271
44,073
46,559
49,955
47,912
46,144
44,260
44,132
有形固定資産
28,193
27,041
26,395
25,322
24,426
26,362
27,781
26,206
24,417
24,978
24,792
無形固定資産
1,230
1,109
1,313
1,142
3,651
4,437
4,945
5,590
4,114
1,819
2,292
のれん
34
26
240
208
2,793
3,005
2,413
2,093
1,317
517
341
投資その他の資産
12,911
12,857
14,123
16,806
15,995
15,760
17,229
16,116
17,612
17,462
17,048
資産合計
95,261
96,721
98,175
95,681
102,221
108,703
108,778
105,096
103,898
115,288
117,437
流動負債
35,359
36,677
36,106
35,390
39,683
45,133
47,559
43,646
42,544
49,099
47,340
短期借入債務
11,473
11,087
10,940
11,760
12,564
11,721
15,533
13,234
12,500
11,239
10,276
固定負債
16,874
16,854
14,756
14,888
15,211
16,076
15,385
17,259
16,277
16,278
15,096
長期借入債務
5,124
5,089
5,171
5,296
5,328
5,113
6,633
8,508
7,591
7,530
6,577
負債合計
52,234
53,532
50,863
50,278
54,894
61,210
62,944
60,906
58,822
65,377
62,437
純資産合計
43,026
43,189
47,311
45,402
47,326
47,492
45,834
44,189
45,076
49,910
54,999
株主資本
41,079
41,632
45,677
44,949
46,863
46,854
45,370
43,812
44,931
49,871
54,960
資本金
5,277
5,277
5,277
5,277
5,277
5,277
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
資本剰余金
13,061
13,061
13,222
13,140
12,404
9,786
9,201
9,628
9,638
9,638
9,665
利益剰余金
22,073
23,556
29,223
30,504
32,315
31,104
29,862
28,950
29,530
34,387
38,617
自己株式
-833
-834
-3,000
-4,700
-4,701
0
-46
-182
-161
-134
-111
新株予約権
             
45
45
45
45
負債純資産合計
95,261
96,721
98,175
95,681
102,221
108,703
108,778
105,096
103,898
115,288
117,437
                       
[キャッシュ・フロー計算書]
                     
営業活動によるキャッシュ・フロー
3,162
5,715
4,522
5,072
3,565
1,384
3,586
4,561
2,774
5,804
6,321
投資活動によるキャッシュ・フロー
-1,978
-1,742
-803
-4,044
-2,971
-3,094
-3,221
-1,152
-1,170
4,923
-4,012
財務活動によるキャッシュ・フロー
51
-2,179
-3,807
-2,571
-706
-2,463
0
-2,267
-2,658
-1,426
-4,148
フリーキャッシュフロー
1,184
3,973
3,719
1,028
594
-1,710
365
3,409
1,604
10,727
2,309
現金及び現金同等物の増減額
1,944
1,814
184
-1,619
88
-4,031
952
1,203
-900
9,622
-1,755
現金及び現金同等物の期首残高
16,156
18,102
19,918
20,103
18,483
18,571
14,540
15,494
16,697
15,797
25,420
現金及び現金同等物の期末残高
18,102
19,918
20,103
18,483
18,571
14,540
15,494
16,697
15,797
25,420
23,664

出所:同社資料より Omega Investment 作成