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Omega Investment株式会社

FRONTEO

証券コード
マザーズ:2158
時価総額
52,186 百万円
業種
サービス
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2158OIV210709_JN
Company Website
IR窓口

本稿では投資家の疑問と期待を簡単に整理して、投資戦略の一考としたいと思います。事業の細かい点については他の資料を参照してください。お薦めは会社HPの守本社長の動画決算説明です。図表やデータも豊富です。

まず、Fronteoには主要な収益源が三つあることを念頭においておくと理解しやすいはずです。ライフサイエンス AI、 ビジネスインテリジェンス、 リーガルテックです。会社は前者2つをまとめてAIソリューションと呼んでいます。さらにライフサイエンス AIを AI 診断と創薬(drug Discovery) に、リーガルテックをKIBIT活用によるリーガルテックAIと従来型のビジネスとに分割し、売上高を開示しています。

Conclusion

Fronteoの株価は2020年の3ヶ月間に6倍近く上昇し、バイオサイエンス銘柄並みの高いマルチプルを得て、株式市場で高く評価されています。経営陣の目標は、 AI ソリューションを推進することで、ステージ4で売上300億円、営業利益60億円を達成することです。しかし、それがいつなのかは明らかにされていません。2021年3月期の売上高は105億円、営業利益は5億円でした。ROEは9.5%と好調、BPSは114円でした。現在の時価総額は約400億円です。会社が長期目標を達成し、その時点で株価が20倍のPERで評価されれば、時価総額は700億円強です。ステージ3は6年かかりました。ステージ4も6年先だと仮定すると、目標達成は2027年3月期です。大雑把な試算ですが、今のPBRが変わらず、株価はBPSの成長だけを反映すると仮定するなら、時価総額はROEが11%に維持されるなら6年後に倍になります。PBRが5倍にディレートされるなら、ROEは20%を超えている必要があります。機関投資家が中長期に明るい見通しを立て、当社株式の購入保有にある程度の自信を持てるようになるには情報はまだ不足していると感じます。しかしながら、Fronteo株式は長い年月を経るうちに大きいリターンを得る可能性もある銘柄だとはいえるでしょう。

年度売上高
(百万円)
EBITDA
(百万円)
EPS
(円)
PER
(CE)(倍)
PBR
(倍)
ROE
(%)
3/1812,2181,369-220.08.90.0
3/1911,2621,21611,489.54.71.2
3/2010,4710-240.02.50.0
3/2110,3701,46993,191.57.19.5

Thoughts on the long term

ここ最近、守本社長はFronteoを全社的なAI事業に転換し、ソリューション事業を拡大することで事業拡大が進むと投資家に熱心に語っています。一言で言えば、コアビジネスはこれから労働集約的な従来のリーガルテックからAIビジネスに移行する、ということです。その成果はすでに業績に表れています。

守本社長の説明では、ステージ4で3事業はそれぞれ100億円の売上げとなります。ライフサイエンスは営業利益率30%で営業利益30億円の貢献、ビジネスインテリジェンスは営業利益20%で営業利益は20億円、リーガルテックは営業利益率10%で10億円の営業利益をあげます。全社合計では営業利益率20%、営業利益率60億円を達成します。ライフサイエンスのドライバーは、国の医療保険収載を狙う医療機器であり、そうなれば爆発的な売上成長につながります。ビジネスインテリジェンスでは、顧客数が現在の200社から400社に倍増し、1社あたりの売上高は3倍に増加すると見込まれます。そのために、製品数を増やしながら単価を引き上げていきます。リーガルテックはAI製品の割合を現在の19%から100%に引き上げることで売上だけではなく営業利益率も引き上げます。

会社資料に基づいて、ステージ4を6年後と想定して、会社の売上と市場規模を数字にしてみました。数値はステージ4の目標から計算された成長率を掛けただけの単純な計算です。実際には非線形の展開となるでしょう。一見すると、AIソリューションの市場拡大は魅力的で、年率24%で成長していきますが、Fronteoは2026年度の目標を達成するために自社のAIソリューションを40%以上成長させる必要があります。ライフサイエンスでは50%の成長率が必要ですから、かなり高いハードルです。一方、リーガルテックの100億円の目標はかなり保守的に見えます。

Revenue Simulation for Fronteo

FY
(million yen)
201520162017201820192020A2021Co2022202320242025202620276YR CAGR %
AI Solution1203119101,4271,3532,1242,5603,5785,0177,0569,95414,08720,00041
Life Science     4618601,2941,9482,9334,4146,64410,00051
Business Intelligence1,6621,7002,2843,0694,1235,5407,44310,00034
Legal Tech10,43310,89611,3079,8659,1178,2457,9408,2518,5758,9119,2609,62310,0004
Legal Tech AI1,1701,5472,500
Non-AI    7,9476,6985,440      
Total Sales10,55311,20712,21711,29210,47010,37010,50011,83013,59215,96619,21423,71030,00019

Market Size Forecast

(100mn US $)Sub-segmentRegion2019202020212022202320242025202620276YR CAGR %
AI Solution  2232623103724515566948811,13524
Life Science  14717621326232841653770393428
AI Diagnosis (AI診断) Global36527510815622432346466844
Drug Discovery Global11112413815417219221423926612
Business IntelligenceDigital TransformationJapan76869710912313915817820113
Legal TecheDiscoveryGlobal11212714316118220623326329713

Fronteo Market Share

20202021202220232024202520262027
Life Science0.02%0.04%0.04%0.05%0.06%0.07%0.09%0.10%
Business Intelligence0.18%0.16%0.19%0.23%0.27%0.32%0.38%0.45%

OP by Segment

(million yen)201620172018201920202021 Co
AI Solution-715-28297-178286360
Legal Tech-491460119-665220240
Total OP-1,206177216-844507600
Source: Omega Investment by company materials
All estimates by Omega Investment, except FY2021 company guidance. Based on JPY110/USD.

AIソリューションの売上高は、2018年度から大幅に増加し、2020年度の連結売上高の13%を占めています。この事業の営業利益は前年の赤字から黒字に転じ、13%の営業利益率を記録し、見違えるような改善です。投資家にとってより重要なのは、AIソリューションとリーガルテックセグメント内のAIビジネスであるKBIT活用案件の合計売上高が前年比で40%以上増加し、連結売上高の36%を占めたというという事実です。株式投資を考える上での大きな要因ですので、社長がこの指標をあまり強調しないのは、少し不思議に思えます。

投資家は以前には、Fronteoのコアビジネスであるリーガルテックは、厳しい経営環境により近年低迷しているとみており、AIによる成長はあるのかもしれないが会社全体は脆弱で、先行きを楽観的に考えるべきではない、と感じていました。リーガルテックは利益を生み出すが、成長の機会は見当たらないという見方です。現在は、KIBIT Automatorと呼ばれる独自のAIソリューションを拡大しており、リーガルビジネスもAI比率を高め、売上と利益の両方を成長させる戦略です。この成果も顕著になってきています。ちなみに、東芝(6502)のコーポレートガバナンスを巡って、2021年6月10日に提出された第三社委員会の報告書は、Fronteoの AI解析手法を採用して、三人の弁護士が52万通のメールと25万件の添付文書のフォレンジック調査を行って作成したものでした。

KBITはリーガルテック事業でFronteoが開発したAIで、2015年11月に発表されました。大まかに言えば、このAIを他の分野に適用した事業がAIソリューションであり、KBITは当社のAI技術の基盤といえます。技術。医療および創薬のためのライフサイエンスAI、金融および製造業向けのビジネスインテリジェンスは、AIテクノロジーを使用して運用されています。当社のAIの特徴は言語に特化していることです。さらに、少量の教師データと少量のコンピュータパワーのみを必要とし、非常に正確です。リーガルテックには大量のドキュメントを処理するステップがあり、弁護士のコストは法外に高くなっています。 KIBITを使えば、そのままドキュメントを教えることができ、KIBITは単語の順序や特徴を捉え、少量の教師データで分析します。

Bulls

  • Fronteoはテクノロジーイノベーションと言え、ビジネスは息の長い成長が期待されます。今後のDX市場の成長を考えれば、不況抵抗力に富み、景気循環にも左右されにくいでしょう。言語系人工知能AIエンジンは社内で開発されたテクノロジーであり、発展、転用の余地も大きいと考えられ、これにより、トップラインの売上拡大が促進されます。ライフサイエンス事業での言語系 AI 医療機器が保険収載されれば、売上が急増する可能性があり、とりわけ面白い展開となります。
  • 現在、AIソリューション事業は好調です。ライフサイエンスは大手製薬会社からの受注を獲得して、パイプラインの開発は順調に進んでいるようです。ビジネスインテリジェンスサービスは、特に金融機関に支持を得ており、製造業でも好評を博しているようです。 規制遵守、効率改善のための企業のデジタル投資が長期の牽引役です。
  • リーガルテックにおいて、AIレビューツールであるKIBIT automatorを活用した案件の受注が着実に増加しており、この事業セグメントのAI転換が進んでいます。これまでのところ、KIBIT automatorを活用した案件の利益率は従来のレビューよりも優れています。経営陣のリーガルテック事業の売上高成長見通しは控えめであり、成長が困難な市場でAIを推進し続けることで、100億円の売上高を達成するのは現実的だと思われます。
  • 経済安全保障分野での情報分析ソリュー ション事業の開始は興味深いです。民間技術だけでなくワクチンも軍事用途に転用される時代であり、政界や経済界における経済安全保障への関心の高まりが原動力となっています。このソリューションシステムは、公開されている情報を収集・分析することで、企業、株主、研究者のつながりを可視化し、複雑な世界情勢を把握し、経済・安全戦略の立案・実行に貢献します。経営陣は今年を事業の初年度とし、問い合わせも活況であると報告しています。

Bears

  • ステージ4がいつなのかは不明であり、株式の適正価格を計算することは困難です。ステージ4が6年先であっても、年間平均売上高が20%近く伸びるかどうかはわかりません。ビジネスインテリジェンスは順調ですが、成長の要のひとつであるライフサイエンスが年率50%で成長するかどうかは疑問です。経営陣の目標は少し高すぎるハードルではないかと感じます。さらに、ステージ4の経営陣の予想利益率がどれほど現実的であるかを測定することも困難です。
  • 社長の情熱は、当社がライフサイクルの中でもとりわけ面白い局面にきていることを示しているかもしれず、看過すべきではありません。しかし、さまざまな前提条件や経営陣のガインダンスなしに適正株価を算出することは困難です。社長にしか見えていない水平線があるとすればどのようなものか、パブリックな情報源から得られる情報だけでは投資家には見当をつけにくい点です。
  • 市場のポテンシャルは大きいが、Fronteoは非常に小さいプレイヤーであり続けるでしょう。会社の数字に基づく簡単な計算によれば、Fronteoが2027年に300億円の売上を達成したとしても、マーケットシェアは世界のライフサイエンス市場で0.10%、国内のデジタルトランスフォーメーション市場で0.45%に過ぎません。言い換えれば、市場には多くの競争相手がいて、その環境はお互いに激しく競いあう峻烈なものでしょう。当社のAIは自社開発技術であり、当面は市場で受け入れられるはずですが、競争や将来の技術代替のリスクはどのようなものでしょうか。投資家はこの段階ではまだ、Fronteoを注意深く予測する必要があります。
  • AIソリューションの潜在利益率を予想することは難しいです。ステージ4の目標以外に、会社による中長期的なガイダンスはありません。製品開発のための投資が必要であるはずですが、それは議論されていません。また、1株当たりの価値を希薄化する可能性のある資金調達の可能性についても見解を持ちにくいです。ステージ4の目標を達成する前に、ビジネスがある程度良好になった段階で、どの程度のROEを目指すのか、というマイルストーンにも経営陣はふれていません。投資家は自分たちに最も関心の高い数値を忘れてしまっていないかと懸念しています。
  • ステージ4にむかう初年度の2022年3月期の業績ガイダンスはさしたる規模の成長ではありません。会社予想は保守的なのかもしれませんが、当社の今後の大きな飛躍を予想するには時期尚早だと感じます。

Shareholding situation

機関投資家は昨年以来の株価高騰を受けてポジションを売却し、二名の大口個人投資家も合計23万株弱の持分を売却しました。その後は少数の機関投資家が若干購入したのみで、一概に機関投資家は、株価急騰後の高いバリュエーションではエントリーしづらいと考えているところでしょう。インサイダーを除いて、ほとんどの株式は個人が所有していると推定されます。そのため、当面、株価は目先のニュースフローに左右されやすいでしょう。株価がタイムリーに値下がりしたり、刺激的な好材料が出てきた時にすぐ株式を買えるよう、会社について理解を深めておきたい投資家は少なくないと察します。外国人株主も少ないようです。四季報によれば2018年3月の外国人保有比率は12.5%でしたが、2021年3月には1.98%でした。昨年の3月には1.2%でしたから若干増加しています。

現在の株主構成は、機関投資家が1.2%、インサイダーが36.4%であり、そのうち25.1%が守本社長をはじめとする個人、上場会社であるフォーカスシステムズ(4662)と学研ホールディングス(9470)の合計持分10.3%、非上場会社と従業員持株会の微少な持分で構成されています。残りの62.4%は主に個人によって所有されていると推定されます。浮動株比率は63.5%で、うち1.9%が機関投資家の持分です。

2021年の年初からの半年で、上位の機関投資家が株式を売却した結果、2019年3月期に10%を超えていた機関投資家の持分は現在1.2%となっています。 ある大口の1社は180万株全てを売却し、またもう1社は大きくポジションを減らしました。経営陣ではない個人株主としてはトップ2であった白石氏、野崎氏はそれぞれ11万株、11万7000株を売却しました。株価急騰後の唯一の機関投資家は、昨年中に205,000株を購入した日本の資産運用会社であり、現在、0.52%の株主として機関投資家の株式の半分未満を占めています。2020年12月には第三者割当てがあり、以前から株主であったフォーカスシステムズ(4662)と学研ホールディングス(9470)が766円の価格で合計104万株を取得しました。その前の新株発行は2014年9月で、ドイツ銀行ロンドン支店が1155円で100万株を取得しています。これまでに、資本市場での資金調達は活発ではなかったという印象です。

Business

  • リーガルテック:主に米国で訴訟に直面した企業へのディスカバリー(証拠開示)支援等のサービス。KIBIT Automatorの販売拡大により、このセグメントに占めるAI製品の比率は高まっている。
  • ライフサイエンスAI:AI診断、AIドラッグディスカバリー 、AI予測システム に分けられる。AI診断では認知症診断支援AIシステムを開発中。薬事承認されれば言語系のAIでは世界初のAI医療機器の上市となる。他の精神系疾患でもAI医療機器を開発できる可能性がある。ドラッグディスカバリーは自然言語AIの技術を活用し、論文探索AIの Amanogawa、創薬支援AIのCascade-Eyeを提供している。新薬開発の膨大なコストと⻑い開発期間の負担を削減するシステムである。AI予測システムでは自社開発の転倒転落予測システム「Coroban®」を提供中。看護記録のAI解析で、高齢入院患者の転倒転落リス クを予測し、病院スタッフの負担を軽減する。
  • ビジネスインテリジェンス:リーガルテックビジネスで培ったAI技術を活かし、人事、知財、法務、労務など、様々なビジネス分野の作業効率化に役立つソリューションを提供している。

Source: Made by Omega Investment from various materials.