証券コード |
マザーズ:2178 |
時価総額 |
12,421 百万円 |
業種 |
サービス |
本項では簡単に投資の観点と事業の要点だけをまとめました。事業について詳しくは、会社HPにあるShared Researchのレポートとビジネスの現場を紹介した漫画を参照されることをお勧めします。
Investment view
PRB5倍のマーケティングサービスセクターの銘柄を見る投資家の目は、目先の業績や売上高のモメンタムに向きがちです。しかし、同社のこれからの面白みは株主資本利益率の構造的な向上ではないかと考えます。これは2019年2月にスタートした経営計画によるもので、その主題は構造改革です。実際に同社の経営陣は、2020年2月期には事業の選択と集中を行い、テレビ事業、WEB事業、 DM事業の付加価値向上で成果を出しつつあります。最近では海外事業を縮小しました。経営陣は2024年2月期に当期利益1300百万円という目標を掲げていますが、この数字には現実味があります。この目標が達成されるなら、ROEは20%近くとなる可能性もあるでしょう。株式に目を転じますと、2008年のIPO以来、長期間で不人気です。しかし、ROEが有機的に成長していると確認されれば株価のプレミアムは拡大するでしょう。当社のROEとPBRには高い相関関係がみられます。
Business landscape
日本でのテレビ通販市場は成熟し、競争は苛烈です。ですから競合他社に対する優位を獲得しようとする通販企業のコンサル、ソリューションビジネスへの需要は根強く、同社が付加価値を得る機会は豊富であると考えられます。この環境下で同社が、AI活用をはじめとしてダイレクトマーケティングにDXや各種のイノベーションを取り入れる戦略に転じたのはタイムリーです。AIやDXはどんどん安価で手に入りやすくなっていきますから、長い将来では他社のキャッチアップが懸念されます。しかしながら、これから5年くらいを展望するなら、同社は豊富な通販媒体取扱量と蓄積データをもち、通販の川上から川下まで 支援サービスを行う唯一の企業ですから、そう慎重に構えることはないでしょう。むしろ新戦略はコアビジネスのモメンタムに、比較的短期間で寄与するのではないかと考えます。
Thoughts on valuations
一方で、PBRをみますと、昨年以来12%強と良好な当社のROEは株価にさほど評価されていないのでないかと思えます。5年間平均のROEが3.5%でしかないという実績不足もさることながら、大きな理由の一つは同社のガバナンス構造にあるのではないかと思われます。同社は18.9%を保有する第二位株主の双日の持分法適用会社です。また、株式は双日と創業者を主としたインサイダーにより67.8%が保有されています。さらに、同社はポイズンピルを導入しており、少数株主の反対意見は反映されようもない構造です。外部取締役比率は28%です。ガバナンスを重視する投資家のリストには同社は載りにくいと推察されます。実際、株主には、機関投資家や外国人がほぼ見当たりません。同社はビジネスモデルのイノベーションや環境変化から生まれるチャンスをうまく取り込み。ビジネスをバリューアップする能力がある、とみていますし、双日との協業でその能力にさらに磨きがかけられることもあるでしょう。それだけに、数十年先を考える長期投資家のメニューに載らなかったり、適正株価が割り引かれているとすれば残念です。
Business
【売上構成%、営業利益率%】ダイレクトマーケティング支援58 (4)、DM38 (2)、海外2 (3)、小売2 (-13) (2021年2月期)
同社は博報堂DYホールディングス(TYO 2433)傘下の広告代理店である大広(DaikoAdvertising Inc.)出身の創業者により、2006年に設立された。通販(ダイレクトマーケティング)をトータルで支援するビジネスである。通販は新規顧客獲得とリピート促進を両輪で回してビジネスとして成立する。同社の主要事業はテレビ事業(ダイレクトマーケティング支援)、WEB事業(ダイレクトマーケティング支援)、DM事業である。
創業者の妹尾氏は同社の強みを以下のように説明している。1)データに基づく最適な媒体提供、2)ロジックに基づく売れる映像制作、3)テレビ通販に特化した受注体制
テレビ通販企業ではメディア選択、 販促企画、 受注コールセンターの提供などコンサル、ソリューション業務を行う。同社の顧客数は約150社で、商品別構成比は、健康食品・医薬品50%、化粧品25%、 生活雑貨15%、食品10%となっている。主要顧客2社が健康食品、医薬品、美容化粧品を販売しているため、こうした構成比となっている。また上位顧客5社が売り上げの半分を占めている。WEB事業は子会社の株式会社アドフレックス・コミュニケーションズのビジネスであり、ダイレクトマーケティング企業の広告改善効果を狙ったAIツールを提供している。DM事業は2012年11月に買収したメールカスタマーセンター株式会社である。消費者の継続購買を促すダイレクトメールの発送代行を行う。取り扱いは年間3億通と業界トップである。
Bulls
Bear
Total Shareholder Return
1M | 3M | 6M | YTD | 1Y | 3Y | 10Y | 20Y | IPO (Aug 2008) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2178 | 0.0 | -8.7 | -13.9 | 3.4 | -0.7 | -4.2 | 3.0 | 3.0 | 2.7 |
TOPIX | -2.0 | -2.0 | 4.1 | 7.2 | 27.2 | 5.9 | 10.2 | 10.7 | 10.0 |
Price, Ratios
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
2021 |
5Yr Avg (%) |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Price Change |
55.3 |
4.1 |
-19.8 |
-45.7 |
15.6 |
48.4 |
-14.0 |
0.5 |
vs TOPIX (%) |
45.3 |
5.9 |
-39.5 |
-27.9 |
0.3 |
43.6 |
-21.9 |
-3.5 |
Div Yield (%) |
3.0 |
3.0 |
4.5 |
3.7 |
2.2 |
1.5 |
1.8 |
3.0 |
2/2016 |
2/2017 |
2/2018 |
2/2019 |
2/2020 |
2/2021 |
5Yr CAGR (%) |
||
Sales (Y-mn) |
3,712 |
47,268 |
55,721 |
53,764 |
50,427 |
47,783 |
5.2 |
|
EBIT |
895 |
1,395 |
1,032 |
810 |
596 |
1,320 |
8.0 |
|
Net Inc |
475 |
761 |
386 |
-992 |
183 |
849 |
12.3 |
|
EPS (Dil) (Y) |
17.2 |
27.2 |
13.2 |
-34.1 |
6.7 |
33.4 |
14.2 |
|
Divs PS (Y) |
18.75 |
22.52 |
10.00 |
7.00 |
7.00 |
7.00 |
-17.9 |
|
Shs Out (Dil) |
28 |
28 |
29 |
29 |
27 |
25 |
-1.7 |
|
BPS |
233 |
307 |
293 |
248 |
247 |
266 |
2.6 |
|
Cash&ST Inv (Y-mn) |
3,469 |
6,189 |
6,230 |
6,318 |
6,349 |
7,451 |
16.5 |
|
Assets |
9,880 |
16,695 |
18,020 |
16,296 |
15,524 |
15,226 |
9.0 |
|
LT Debt |
107 |
2,063 |
8,404 |
7,475 |
8,145 |
8,082 |
81.5 |
|
Net OP CF |
719 |
837 |
740 |
855 |
819 |
1,949 |
22.1 |
|
Capex |
-113 |
-222 |
-144 |
-173 |
-141 |
-94 |
na |
|
FCF |
678 |
782 |
709 |
769 |
762 |
1,931 |
23.3 |
|
2/2016 |
2/2017 |
2/2018 |
2/2019 |
2/2020 |
2/2021 |
5Yr Avg (%) |
||
Gross Margin % |
9.6 |
10.9 |
10.1 |
11.1 |
12.1 |
11.2 |
11.1 |
|
EBIT Margin % |
2.4 |
3.0 |
1.9 |
1.5 |
1.2 |
2.6 |
2.1 |
|
Net Margin % |
1.3 |
1.6 |
0.7 |
-1.8 |
0.4 |
1.8 |
0.5 |
|
ROA % |
4.1 |
5.7 |
2.2 |
-5.8 |
1.1 |
5.5 |
1.8 |
|
ROE % |
6.6 |
10.6 |
4.4 |
-12.7 |
2.7 |
12.7 |
3.5 |
|
Asset Turnover |
3.2 |
3.6 |
3.2 |
3.1 |
3.2 |
3.1 |
3.2 |
|
Assets/Equity |
1.8 |
1.9 |
2.1 |
2.4 |
2.3 |
2.3 |
2.2 |
Made by Omega Investment by various materials
Sub-sector
30社からなるマーケティングサービスセクターの時価総額は5180億円である。このセクターの時価総額の61%を上位5社が占めている。 これらはAppier Group (4180)、インテージ(4326)、アイドマ(7373)、マクロミル(3978)、レッグス(4286)である。このサブセクターはメディア事業のサブセクターであり、その中でトライステージの時価総額は10位である。