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Omega Investment株式会社

イトーキ (Company note – basic)

株価(3/20)685 円予想配当利回り(23/3予)3.65 %
52週高値/安値812/333 円ROE(TTM)10.91 %
1日出来高(3か月)317.0 千株営業利益率(TTM)3.71 %
時価総額312 億円ベータ(5年間)0.98
企業価値228 億円発行済株式数 45.664 百万株
PER(23/3予)8.38 倍上場市場 東証プライム
PBR(22/3実)0.62 倍
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明日の「働く」をデザインするオフィスDXカンパニー

サマリー

◇イトーキ(以下、同社)は、 1890年、大阪市で創業。オフィス家具大手の一角で、製販一環体制をとっている。同社の製品は、デザイン性の高さで定評がある。“明日の「働く」をデザインする”をミッション・ステートメントに、オフィス家具の提供から一歩進んで、顧客の働き方に合わせた「働く環境」づくりを提案。オフィスのDXであるOffice3.0を提唱し、オフィスの生産性向上の実現を図る。設備機器・パブリック事業では、物流関連システム、研究施設機器等を提供している。2023年を最終年度とする中期経営改革「RISE ITOKI 2023」では、強靭な体質の高収益企業を目指し、営業利益 65億円を目指すとしている。

◇株価の考察:同社株価は直近一年間で 95%上昇。同期間中にTOPIXは0.2%下落しており、また競合他社と比較しても、そのパフォーマンスの高さが際立つ。株価上昇には様々な要因が考えられるが、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大後、リニューアル案件等が堅調に推移していること、提案営業に加え利益率を重視した営業政策が結果を出し始めていること、加えて、直近、IR活動にも力を入れており、より株主を重視した経営判断がなされていること、等が挙げられよう。同社株価は長期間に亘って同業他社と比較して割安に評価されており、現状の株価水準でもPBR=0.62倍に止まっている。2022年3月に就任した新社長の下、新たな成長ストーリーの進展と、一層の収益性の向上が進めば、更なる株価修正の期待も見えてこよう。

◇ワークプレイス事業:オフィス家具の製造・販売から、近年は「働く場」としてのオフィスの生産性向上のための、様々な提案営業・コンサルティングを提供している。新築オフィスビル供給の影響を受けるが、直近ではオフィスのリニューアル案件が半数以上を占める。同社では、ITやDXによる働き方改革をOffice3.0と標榜し、同社でしか提供できないオフィス家具のDXの提案を目標としている。同社オフィス家具は、デザイン面で優れているとの評価が高かったが、近年は提供価値に見合った販売価格の適正化を進めており、収益性も大きく改善している。2022/12期の売上高は 859億円、営業利益 25億円。

◇設備機器・パブリック事業:倉庫や自動物流システム機器等の物流ソリューション、研究施設向け機器、公共施設の環境・空間構築等を提供。業界初の商品を多く開発している他、シャトル式自動倉庫等で納入実績 No.1を誇る。物流関連システムは、eコマースの成長等もあり拡大が期待される。2022/12期の売上高 356億円、営業利益は 14億円を計上。

IT・シェアリング事業:システム開発、システム検証等のIT事業及びシェアリング事業を展開。オフィス空間のシェア事業が堅調に推移。2022/12期の売上高は 16億円、営業利益は 4億円。

◇直近の収益動向:2022/12期は、売上高 1,233億円(前期比 6.4%増)、営業利益 45.8億円(79.0%増)と売上高、営業利益とも過去最高を更新した。土地等売却による特別利益を計上し、親会社株主に帰属する当期利益は52.9億円、前期比 353.9%増と大幅な増益に。2022/12期の配当は、特別配当20円を加え、37円を計画している。同社では、2023/12期の業績予想を、売上高 1,300億円(5.4%増)、営業利益 65億円(41.8%増)と予想しており、中期経営計画の当初目標である営業利益 60億円を上回る見込みである。

目次

サマリー1
主要財務データ2
会社概要3
 沿革4
 グループ概要/生産体制/事業系統図6
事業概要9
 ワークプレイス事業9
 設備機器・パブリック事業15
 IT・シェアリング事業17
決算動向18
 2022/12期決算実績18
 2023/12期見通し20
成長戦略21
 中期経営ビジョン21
株式情報、等21
 株価動向21
 ヴァリュエーションの考察23
 大株主の状況/所有者別株式保有の状況/株主還元の方針25
 コーポレートガバナンス及びトップマネージメント26
 サステナビリティ29
財務データ31

主要財務データ

決算期 2016/12 2017/12 2018/12 2019/12 2020/12 2021/12 2022/12
売上高 101,684 108,684 118,700 122,174 116,210 115,839 123,324
売上原価 65,021 69,966 77,436 80,495 74,322 74,145 77,575
売上総利益 36,663 38,718 41,264 41,679 41,888 41,694 45,749
販売費及び一般管理費 33,862 35,761 39,339 40,776 40,089 39,158 41,167
営業利益 2,800 2,956 1,925 903 1,798 2,536 4,582
経常利益 3,087 3,295 2,365 945 1,881 2,437 4,177
親会社株主に帰属する当期純利益 1,850 2,442 1,742 -579 -355 933 5,181
               
流動資産 52,410 58,147 62,143 58,109 57,183 57,753 71,027
 現金及び預金 19,839 19,977 16,529 17,030 18,246 17,451 26,976
固定資産 43,271 44,073 46,559 49,955 47,912 46,144 44,260
 投資その他の資産 16,806 15,995 15,760 17,229 16,116 17,612 17,462
資産合計 95,681 102,221 108,703 108,778 105,096 103,898 115,288
負債合計 50,278 54,894 61,210 62,944 60,906 58,822 65,377
純資産合計 45,402 47,326 47,492 45,834 44,189 45,076 49,910
自己資本比率(%) 46.98 45.84 43.10 41.71 41.69 43.25 43.26
               
営業活動によるキャッシュ・フロー 5,072 3,565 1,384 3,586 4,561 2,774 5,804
投資活動によるキャッシュ・フロー -4,044 -2,971 -3,094 -3,221 -1,152 -1,170 4,923
財務活動によるキャッシュ・フロー -2,571 -706 -2,463 0 -2,267 -2,658 -1,426
現金および現金同等物の期末残高 18,483 18,571 14,540 15,494 16,697 15,797 25,420

会社概要

 イトーキ(以下、同社)は、国内オフィス家具のメーカーで大手4社の一角を占める。1890年の創業以来、130年以上の歴史を有する老舗企業でもある。2005年の製販統合により、製販一貫体制をとっている。

 “明日の「働く」をデザインする” をミッション・ステートメントに、単にオフィス家具を製造・販売するのに留まらず、働き方のコンサルティングや空間デザインも手掛けており、顧客の働く「空間」「環境」「場」づくりという価値を提供している。古くからデザインに力を入れており、同社の商品はデザイン面でも優れていることに定評がある。

 事業セグメントは、以下の三つ。

ワークプレイス事業:主にオフィス家具関連の製造・販売であるが、ミッションステートメントにあるように、顧客の働き方に合わせた「働く環境」づくりを提案することを標榜している。直近では、オフィスで“集合して働く”のみならず、在宅ワーク等の“分散して働く”等、様々な働き方が広がる中、それらのニーズにも積極対応。加えて、コンサルティングサービス等をトータルで提供している。

 主な商品・サービス;オフィス家具(デスク・ワークステーション、テーブル、事務・会議チェア、システム収納家具、 ロッカー)/オフィス空間を構築する建材商品の製造販売/内装工事/オフィス空間デザイン/オフィス移転等のプロジェクトマネジメント/オフィス営繕・保守サービス、テレワーク用家具、学習家具

設備機器・パブリック事業:近年急成長している物流関連施設、及び製薬企業や大学・研究機関での研究施設機器、公共施設向け設備などを提供。

 主な商品・サービス;物流設備(シャトル台車式自動倉庫システム(SAS))、収納棚/特殊扉/オフィスセキュリティシステム/研究施設機器/粉体機械設備/公共施設の環境・空間構築など

IT・シェアリング事業: 企業におけるDXの推進や、組織における人材育成支援等のシステム開発、システム検証事業やオフィス空間のシェア事業も手がける。

 主な商品・サービス;オフィスシェアリング/オフィス機器のレンタル・リユース/ITシステム開発・システム検証・パッケージソフトウエア

 地域別の売上高の構成は、日本 112,671百万円(91.4%)、アジア 10,210百万円(8.3%)、その他 356百万円(0.3%)となっており、国内市場の占める割合が 9割を超えている。

売上高セグメント別内訳

出所:同社資料より Omega Investment 作成

沿革(詳細な時系列は、次頁の沿革表を参照)

1890〜1949年:発明特許品の普及から事務機器の販売・製造へ

 同社は189012月、創業者の伊藤喜十郎が大阪高麗橋に、発明特許品の普及並びに輸入品の取扱いを行う「伊藤喜商店」を創業したのを出発点とする。1903、ゼムクリップ、ホチキスの輸入販売を開始。どちらも、今のオフィスでも普通に使われているが、元を辿ると100年以上前に同社が取扱いを始めたのに由来する。その後、1908には伊藤喜商店工作部を開設。手提げ金庫及び簡単な文具などの事務機器の生産を開始した。明治の開国後、海外製品の輸入販売・修理から事業を興し、その後、国産化にチャレンジし事業を拡大させたという意味では、セイコーホールディングス(服部時計店)、ブラザー工業(安井ミシン商店)等といった、今では世界をリードする日本のモノづくり企業に合い通ずるものがある。

 1910、英文タイプライター、魔法瓶などの輸入販売を開始。1913には、独自開発のゼニアイキ(金銭記録出納機)を発売。1925、ロッカー等、自社製鋼製家具の製造を開始した。1937には東京に進出、中央区呉服橋に東京支店を開設した。

1950〜1969年:スチール家具が近代的なオフィスを創造。デザイン面でも高評価

 戦後、日本経済の高度成長が始まるとオフィス家具への需要も急増。1955年、スチールデスクの製造・販売を開始。同社のスチール家具が、その後各種デスクへの道を開くこととなった。1960には、ファイリング・伝票会計・オフィスレイアウトの3大システムを確立。高度経済成長下、オフィスの合理化が求められる中、ファイリング、伝票会計システム、そしてデスクを中心とした家具・事務機器・備品などの機能的な配置を提案した「オフィスレイアウト」を提唱し、オフィスのシステム化において、イトーキのブランドを確立した。

 さらに、1962には、ホームデスク、スチューデントデスクの分野にも進出。1967年、「グッドデザイン・グッドシステム」のキャッチフレーズを採用し、デザイン・カンパニーとしてのイメージを確立してゆく。

 一方で、業容の拡大に伴い、同社は196110大阪証券取引所2に、19629には東京証券取引所2に株式を上場した。

1970〜1989年:オフィスプランニング、ニューオフィスを推進

 1970年に入ってからは、海外の各社と技術提携を実施。様々な最新式のオフィスシステムを日本に導入。単なるオフィス家具の提供を超えて、“オフィスプランニング”を提案するようになる。1976年には、Gマーク選定商品に14点が入選するなど、引続きデザイン面で高い評価は続く。その後、Gマークに毎年、数多くの商品が選ばれている。1977年、スイス・ビボ社と提携し、研究設備家具システムを発売。現在の設備機器・パブリック事業分野に進出した。

 1984年、シンガポール及び米国に現地法人を設立。海外市場を見据えた展開も進める。1985には、現在にも通ずるCIを制定した。1987年、東京証券取引所、大阪証券取引所の市場1銘柄に指定替えとなった。

1990現在:創業100年を越えて、21世紀のオフィスづくりを目指す

 創業100年を迎えても、同社は引続き時代の要請に応えた商品・サービスを提供し続けている。1994年には、オフィスのIT化に対応したフリーアクセスフロアを販売開始。また、品質管理にも注力し、1998年にはISO9001に審査登録。また、世界的な環境意識の高まりに合わせて、同じくISO14001にも審査登録。2001年には、全事業所の審査登録が完了した。

 2005、製造部門のイトーキクレビオと販売部門のイトーキが統合し、新会社イトーキに社名変更した。世の中の流れが加速化する中、製販の一体化で迅速な経営判断を可能とし、またグループの合理化が図られることとなった。

 その後も、時代の要請に応じた様々な新商品を開発・販売。エルゴノミクスを追求したオフィスチェアやオフィス家具を提供している。2017には、フリップフラップチェアが、国際的なデザインアワードであるレッドドット・デザイン賞を受賞した。

 2018、首都圏のオフィスを日本橋に集約。ITOKI TOKYO XORKを開設。ワーカーの能力を最大限に引き出す総合的なワークスタイル戦略を提唱し、次世代のワークスタイルを実践する場として、種々実証実験を行い、そこから生み出される様々な知見やノウハウを社会に向けて発信していく考えである。

年     月   事項
1890年12月大阪市東区に置いて伊藤喜商店を創業
1903年ゼムクリップ、ホチキスの輸入販売を開始
1908年伊藤喜商店 工作部を創設、事務機器の生産を開始
1910年英文タイプライター、魔法瓶などの輸入販売開始
1950年4月伊藤喜商店より分離独立し、大阪市大正区泉尾に株式会社伊藤喜工作所を設立
1952年7月大阪市城東区に今福工場を新設
1954年12月大阪市城東区に本社を移転
1961年1月伊藤喜オールスチール株式会社を設立(現・連結子会社)
10月大阪証券取引所市場第二部に株式上場
1962年9月東京証券取引所市場第二部に株式上場
12月東京・大阪に家庭用家具の販売部門を開設
1963年5月大阪市寝屋川区に寝屋川工場を新設
1968年11月京都府八幡市に京都工場を新設
1972年9月滋賀県近江八幡市に滋賀工場を新設
1974年6月石川県白山市所在の富士リビング工業株式会社を子会社として傘下に入れ、パイプチェアを生産(現・連結子会社)
1984年8月京都府八幡市に京都第二工場を新設し、今福工場より移転
1986年11月滋賀県近江八幡市に電子機器滋賀工場を新設
1987年6月東京証券取引所、大阪証券取引所の市場第一部銘柄に指定
1991年10月滋賀県近江八幡市にチェア滋賀工場を新設
1992年8月京都第二工場を滋賀県近江八幡市に移転
1999年8月大阪市寝屋川区に寝屋川工場を増設
2000年10月株式会社イトーキテクニカルサービスを設立
2002年11月中国に伊藤喜(蘇州)家具有限公司を設立(現・連結子会社 Novo Workstyle (China) Limited)
2003年3月株式会社イトーキマーケットスペースを設立(現・連結子会社)
2005年6月旧株式会社イトーキと合併し、株式会社イトーキ クレビオから、新「株式会社イトーキ」に社名変更
11月滋賀県近江八幡市に滋賀ロジスティックスセンターを新設
2007年12月ビジネスジムキ株式会社の株式を取得し、株式会社イトーキ北海道に社名変更(現・連結子会社)
2008年12月千葉市緑区に関東工場を新設し、京都工場より一部移転
2011年4月株式会社ダルトン及び同社の子会社5社を子会社として傘下に入れ、研究設備機器及び粉体機械を生産・販売(現・連結子会社)
2012年11月東京都中央区に「イトーキ東京イノベーションセンター “SYNQA”(シンカ)」を開設
2015年3月新日本システック株式会社を子会社として傘下に入れ、各種システムを開発(現・連結子会社)
7月株式会社イトーキ工務センター、株式会社イトーキ大阪工務センター、株式会社イトーキテクニカルサービスが合併し、株式会社イトーキエンジニアリングサービスへ社名変更(現・連結子会社)
2016年12月シンガポール所在の内装工事会社である Tarkus Interiors Pte Ltd を子会社とする(現・連結子会社)
2017年7月香港に Novo Workstyle Asia Limited を設立(現・連結子会社)
2018年11月東京都中央区に「新東京本社オフィス “ITOKI TOKYO XORK”(ゾーク)」を開設
2020年6月中国に ITOKI CHINA HOLDING Co., Ltd. を設立(現・連結子会社)

出所:同社資料等より Omega Investment 作成

 直近の動きとして、マネージメントにも注目したい。現在の代表取締役社長、湊 宏司氏は2021年9月に同社入社、2022年3月から社長に就任している。今まで生え抜きの社長が続いていた同社において、外部から外資系企業での経験がある人物がトップに就くことは、サプライズな面もあったであろう。しかしながら、湊氏の経験は同社が今後目指そうとしている Office3.0(詳細は後述)を進めるにあたって最適な人材といえるだろう。湊氏は1994年にNTTに入社後、USCでMBAを取得。その後、サンマイクロシステムズの本部長、(オラクルのサンマイクロシステムズ買収により)日本オラクルの副社長を勤め、同社に転身した。

 老舗企業というと保守的なイメージを持つことが多いが、130年前に創業した会社で今でも残っていられるというのは、その時々の時代の変化に合わせて、あるいは変化を先取りしてきたからこそ、今日まで続いているともいえる。しかしながら、インターネットが普及して以降の変化のスピードは従来の変化とは桁違いとなっている。組織が変わるのにはある程度の時間が掛かるが、シリコンバレーのハイテク企業での豊富な経験を有する湊氏のリーダシップの下、様々な新たな動きが見え始めている。社員の意識改革も進んでいるようだ。詳しくは後述するが、ここ1年間での株価パフォーマンスも、そのような同社の新たな変化を評価したものといえるだろう。

グループ概要

 沿革でみたように創業の地は大阪であるが、現在の本社所在地は東京都中央区である(2018年移転)。同社グループは、同社及び子会社35社で構成されている(下表参照)。長い歴史を経て多くのグループ会社を有し、また各社の事業内容を見ると、いかに広範囲にビジネスを展開しているかが分かるだろう。また、2000年代以降は、アジアを中心に積極的に海外展開にも乗り出し、現地企業の買収を行うと共に、各地に子会社、関連会社を設立している。

主要連結子会社

会社名 事業内容
伊藤喜オールスチール(株) カウンター、大型天板デスク、壁面収納家具、机上パネル等の製造
富士リビング工業(株) ミーティング・アメニティチェアの製造
(株)イトーキマーケットスペース 店舗用什器の販売/ストアプランニング
(株)イトーキエンジニアリングサービス オフィスリニューアル・移転のプロジェクトマネージメント、オフィス家具のレイアウト納入管理、その他各種機器類の保守・点検サービス
(株)シマソービ 事務用家具・事務用品・室内装飾品の加工販売及び電気工事の請負
(株)イトーキ東光製作所 鉄扉/貸金庫/各種遮蔽扉/耐火壁/原子力関係放射線遮蔽扉の製造等
イトーキマルイ工業(株) 鋼鉄製事務用機械器具の製造
三幸ファシリティーズ(株) 事務用機器、家具、什器及び付随する商品の販売、建設工事、設計管理
(株)エフエム・スタッフ ファシリティ・マネージメントに関するコンサルティング業務、等
(株)イトーキシェアードバリュー オフィス空間のシェア事業、オフィス家具のレンタル、リユース事業等
新日本システック(株) ITソリューションサービスの提供
(株)ダルトン 研究・教育関連設備の設計・製造・販売、粉体処理機械の設計・販売、ハイテクプラントシステムの設計・販売
Tarkus Interiors Pte Ltd シンガポールの内装工事会社、2016年子会社化
Novo Workstyle Asia Limited アジア地域の事業統括会社、在香港、2017年設立
ITOKI SYSTEMS (SINGAPORE) PTE., LTD シンガポール子会社、オフィス家具の販売、提案、物流システムの販売
ITOKI CHINA HOLDINGS Co., Ltd. 中国事業の持株会社。傘下に Novo Workstyle Co., Ltd.。 北京、上海、蘇州、深圳等に事業所
 他17社  

出所:同社資料等より Omega Investment 作成

生産体制

出所:同社資料

生産体制

 同社の主要市場は国内である(売上高に占める海外市場の比率は10%以下、2022/12期)。また、オフィス家具は、収納という性格上容積が嵩み、海外で生産をして輸送費を掛けて輸入するというのはコスト的に見合わない。従って、一部部品を海外から輸入するというのはあるが、基本的に国内の工場で生産する体制をとっている。

 現在の主力工場は滋賀工場で、ワークプレイス事業のチェア、デスク、キャビネット等を製造。約300名の従業員が働いている。2022年9月には、同地にアセンブル・プロセスセンター(APセンター)を開設。2023年1月より本格稼働した。APセンターでは、自社製品の保管・組立・出荷を一元的に管理することにより、原価率の低減を図っている。同センターでは、物流市場での需要が急増しているシステムストリーマー SAR-Rの生産ラインも移設し、需要増に対応する。なお、長年、同社の主力工場の一つであった寝屋川工場は、2022年に閉鎖し、生産を滋賀工場に集約した。同工場の跡地は65億円で売却。資産効率化を進めている。売却益の一部を、2022/12期の特別配当で株主に還元する。

事業系統図

 事業系統図は次頁を参照。同社及びグループ会社にて、製造・販売・工事・内装・施工・保守サービスを手掛けている。

 海外のオフィス家具メーカーは、製造・販売のみに特化している場合が多く、内装・施工あるいはワークプレイスデザインまで提供することは殆どない。日本においても、大型案件に関しては、オフィス家具提供企業と施主の間に、コンサルティング会社、オフィス設計事務所が入って、ワークスタイルデザイン、ワークプレイスデザインを提供することが一般的である。しかし、近年ではオフィス家具メーカーも、中小型案件を手始めに、上流から施工、オフィス家具の納入までをトータルで提供し、提案価値に見合ったフィーの獲得を図っている。

事業系統図

事業概要

ワークプレイス事業

全社売上の70%を占める基幹事業:提案営業に注力し、収益率向上を図る

 同社のワークプレイス事業の2022/12期売上高は 85,945百万円(前期比 6.7%増)、営業利益は 2,579百万円(34.7%増)、営業利益率は 3.0%となった。地域別売上高では、日本 75,592百万円(構成比 88.0%)、アジア 10,093百万円(11.7%)、その他 259百万円(0.3%)となっており、今後は日本国外の市場拡大も視野に入れている。2021年よりセグメントの変更を行っており、2020年までのオフィス関連事業に加えて、海外におけるオフィス機器関連事業等がワークプレイス事業に組込まれたこと等により、同事業の売上高が増加することとなった。

 同社のオフィス家具事業は、1955年のスチールデスクの発売開始以来、日本の経済成長、企業の事業拡大に合わせて、オフィスでのニーズに対応した商品を相次いで開発・提供。日本経済の発展に大きく寄与してきたといえる。

 ワークプレイス事業では、オフィス家具の単なる販売だけではなく、ワークプレイスのデザインを提案することにより、より高い付加価値を提供、それに見合った対価を獲得することを目標としている。従来、オフィス家具単体での差別化は難しく、価格競争に陥り、オフィス以外の什器も合わせて大きく値引きする等で、収益の悪化を招くこともあった。同社のオフィス家具は元々デザイン性が高く、Gマーク獲得実績も多いが(次頁、上図参照)、提供価値に見合った対価を十分得られていなかったといえよう。直近では、営業体制・カルチャーの見直し(売上重視から、利益重視に)、提供価値に見合った収益の獲得、より高付加価値商品・サービスの販売、等に力を入れている。

ワークプレイス事業収益推移

決算期 2015/12 2016/12 2017/12 2018/12 2019/12 2020/12 2021/12 2022/12
売上高(全社) 106,516 101,684 108,684 118,700 122,174 116,210 115,839 123,324
 前年比 3.4% -4.5% 6.9% 9.2% 2.9% -4.9% -0.3% 6.5%
新基準                
 ワークプレイス事業 83,032 80,561 85,945
  前年比 -3.0% 6.7%
  売上構成比 71.4% 69.5% 69.7%
旧基準                
 オフィス関連事業 55,002 55,175 55,324 61,759 64,659 64,633
  前年比 5.7% 0.3% 0.3% 11.6% 4.7% 0.0%
  売上構成比 51.6% 54.3% 50.9% 52.0% 52.9% 55.6%
                 
営業利益(全社) 4,306 2,800 2,956 1,925 903 1,798 2,536 4,582
 前年比 74.2% -35.0% 5.6% -34.9% -53.1% 99.1% 41.0% 80.7%
 営業利益率 4.0% 2.8% 2.7% 1.6% 0.7% 1.5% 2.2% 3.7%
新基準                
 ワークプレイス事業 1,273 1,914 2,579
  前年比 50.4% 34.7%
  セグメント利益率 1.5% 2.4% 3.0%
旧基準                
 オフィス関連事業 3,176 3,041 2,655 2,125 703 1,035
  前年比 58.6% -4.3% -12.7% -20.0% -66.9% 47.2%
  セグメント利益率 5.8% 5.5% 4.8% 3.4% 1.1% 1.6%
                 
従業員数(全社、人) 3,333 3,349 3,910 4,102 4,151 4,062 3,973
 ワークプレイス事業 2,535
 オフィス関連事業 1,623 1,636 2,028 2,320 2,261 2,162
資産(全社) 98,175 95,681 102,221 108,703 108,778 105,096 103,898 115,288
 ワークプレイス事業 57,711 56,992
 オフィス関連事業 32,088 32,238 36,386 46,353 45,575 47,930
減価償却費(全社) 2,389 2,534 2,316 2,329 3,168 3,431 3,181 2,828
 ワークプレイス事業 2,263 1,905
 オフィス関連事業 1,020 1,257 1,071 1,270 2,006 2,222

出所:同社資料よりOmega Investment 作成

同社のグッドデザイン賞受賞履歴

注)  グッドデザイン・ベスト100受賞作品を中心に例示。同社は 2005年以来、累計 86点のグッドデザイン賞を受賞している
出所:各種資料より、Omega Investment 作成

オフィス家具市場はたな働き方の進展で、付加価値が高まる可能性

日本のオフィス家具市場:全体の市場規模は 6,000〜7,000億円で、安定成長

 オフィス家具関連の109社が加盟する(社)日本オフィス家具協会(JOIFA)が、業界団体として、様々な活動を行っており、統計・調査等を適宜発行している。日本のオフィス家具の市場規模についても、同協会が把握していると推測されるが、現状、一般にはデータを公表していない。そこで、大まかな市場規模のイメージとして、同社を含むオフィス家具大手4社のセグメント情報から4社合計の数値を抽出したのが下図(但し、セグメントの定義は各社毎に異なり、また、公共関連、あるいはコンサルティング等がどこまで含まれるかについても明確な定義は無いので、参考値)。この4社合計中の各社のシェアを見てみると、2022年、同社 20%、コクヨ 32%、オカムラ 36%、内田洋行 12%となっている。コクヨ、オカムラが、それぞれほぼ1/3のシェアを有し、同社が第3位で内田洋行が第4位というポジショニングが長いこと定着している。また、市場はほぼ安定的に(3〜4%)成長しているもようである。実際には、4社以外の企業の売上を合わせると、年間 6,000〜7,000億円程度(うち、オフィス家具単体で 4,000億円程度、残りはコンサルテイング・施工を含む)の市場規模と推察される(JOIFAの加盟企業の売上規模等から、Omega Investment 推計)。

オフィス家具主要4社のオフィス家具事業売上高推移

イトーキ 2021/2022年 ワークプレイス事業:「働く環境づく
り」オフィス家具の製造・販売、オフィス空間デザ
イン等。2012〜2010年はオフィス関連。セグメント
の変更があったため、2020/2021年での連続性はない

コクヨ

2022/12期:ワークスタイル領域(ファニチャー事業)
:空間デザイン・コンサルテーション、オフィス家具の
製造・仕入れ・販売、施工。2019/12〜2021/12期は空間
価値ドメイン、2012/12〜2018/12期はファニチャー関連
の売上高

オカムラ オフィス環境事業:オフィス家具、公共施設用家具、
セキュリティ製品等の製造販売

内田洋行

オフィス関連事業:オフィス関連家具の開発・製造

・販売及び空間デザイン・設計・施工、等

出所:各社有価証券報告書より Omega Investment 作成

主要7都市オフィス供給量と需要面積の推移

出所:三鬼商事「オフィスマーケットデータ」より Omega Investment 作成

オフィスビル市場の展望:新規供給量は減少傾向も、需要面積は堅調に増加傾向

 オフィス家具の需要は、新築オフィスビルの供給や景気動向、企業業績等に左右される傾向が強い。国内主要7都市のオフィス供給量は、次頁上図を参照。大規模開発の竣工により年毎に上下が大きいが、2000〜2010年の平均と2011〜2022年の平均供給面積を比較してみると、後者が約5%低下している。一方で、需要面積(=貸室面積ー空室面積)については、比較的堅調に増加してきた。ただし、直近では2020年に東京で大量供給が行われたところに、景気後退と感染症の拡大によるリモートワークの導入で需要が減退することとなった(特にテレワーク実施率の高い大都市では、その傾向が顕著)。今後の見通しについて、森ビルの予測によると 2023年、2025年には、東京23区で大規模オフィスビルの供給が見込まれており、オフィス家具需要にとってはプラスと働こう。

オフィス家具市場の直近の動向:オフィスへのニーズの高度化で新たなビジネスチャンス

 近年ではオフィスに対するニーズが大きく変容してきている。感染症の拡大によるリモートワークの導入もあり、オフィスの役割が従来と変わってきており、そのことはオフィス家具各社にとって、新たなビジネスチャンスの到来も意味すると考えられる。背景は以下の通り

  • 働き方改革:日本経済の低迷が長期間続いているが、製造業を中心とした生産性の向上が図れた高度成長の時代が終わり、第3次産業の比率が高まると、特にホワイトカラーを中心とした生産性の向上が困難になってきた。そのような状況の中、働き方改革により生産性を上げようという方向性が示されている。そのためには、日本企業の社内の組織のあり方を変える必要があり、企業のオフィスの構成も、旧来的な固定席をベースとしたオフィス環境から大きく変容しようとしている(次頁、図参照)
  • IT・ネットワーク化の進展:いわゆるIT化が進展することにより、社内の仕事の進め方もここ10〜20年で大きく変わった。ハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク等の進化に、オフィス自体の対応も必要となっている。今までの進化は、同社が提唱するOffice2.0の範囲の進化であり、今後はOffice3.0、オフィスのDX化への対応が競争の優劣を決することとなろう。
  • 新たな価値創造の場としてのオフィス:a)にも示されたように、これからは働き方が大きく変わっていく。感染症拡大を契機にリモートワークの導入が進んだが、一方で、やはり人と人が顔を突き合わせて、コミュニケーションを取る場も重要である。今後は、体験を共有する場としてのセンターオフィスと、フレキシブルな働き方であるリモートワークとを高い次元で組み合わせることにより、ワーカーの能力を最大限に引き出すことが重要となってくる。
  • 高付加価値人材の獲得:各企業とも今後の成長のための最大の資産は人材であるが、ITをはじめとしたクリエイティブな人材は逼迫している。そのような優秀な人材を引き留める意味でも、卓越したオフィス環境・空間の整備は必須といえる。

オフィスに求められる役割の変化

出所:同社資料等より Omega Investment 作成

同社の取組:Office1.02.03.0の掛け算で企業価値を高める

 上記に記したオフィス家具及びオフィス空間の市場の変化に対する同社の回答が下図。Office2.0において、オフィス家具の製造・販売に加え、オフィスの設計・施工で付加価値をつけてきたが、Office3.0では、更にオフィスのDXを推進する。オフィス家具やオフィスの様々な箇所にセンサーを取り付けることにより、データを収集。そのビッグデータを解析することで、より付加価値の高いサービスを顧客に提供することが可能となる。同社では、その実現のために先端研究所を設置。什器の売り切りでなく、ランニングフィーの収益実現等、データビジネスも志向する。実際には、Office3.0は緒に着いたばかりであり、具体的な進展はこれからといえそうだが、競合と比較してもここまでオフィス空間のDXに関して具体的な方針を示しているという点で、同社が一歩先んじているといえるだろう。

同社の提唱するOffice3.0の概念

出所:同社資料

 Office3.0を自ら実践する場として、同社は2018年、東京本社オフィスを日本橋に集約し、ショールームを兼ねて「ITOKI TOKYO XORK」を開設した。詳しくは、次頁を参照。

競合比較:

 オフィス家具市場で見たように、同市場は、同社、コクヨ(TSEP: 7984)、オカムラ(TSEP: 7994)、内田洋行(TSEP: 8057)の大手4社で市場の6割を占有する。各社の直近の数字等を比較したのが下表。オカムラ以外は100年以上の歴史を有するが、オカムラも既に70年以上の長い実績がある。各社の事業内容については、同社とオカムラはオフィス家具及び商業施設用の什器等が売上の大部分を占める。一方、コクヨは周知の通り、文房具関係の売上が占める割合も大きい。内田洋行は、公共関連(教育関連のICT等)、情報関連(ソフトウエアライセンシング等)の占める割合が8割となっている。

 各社のオフィス家具事業の収益性を比較したの次頁のグラフ。P10にも記したように各社のセグメントの定義は必ずしも同一ではないが、おおよその目安にはなると思われる。これから判るのは、シェアの高いコクヨ、オカムラの利益率が高いこと、特に、コクヨは近年、提案営業や設計料をチャージ出来る案件に力を入れることにより、10%以上の高い利益率をあげてきている。内田洋行はオフィス関連以外の事業で高い利益率を上げているが、オフィス関連では、低い利益率に甘んじている。一方、同社は2012年は5%近い利益率を稼

オフィス家具主要4社比較

出所:各社資料等より Omega Investment 作成

オフィス家具4社、オフィス家具関連事業の営業利益率推移

出所:各社有価証券報告書より Omega Investment 作成

いでいたが、その後は利益率が低下。上位2社との競争に際し、利益率よりも売上を確保するための値引き販売等により、利益率が低下したようだ。同社では問題を認識し、現状では提供価値に見合った販売価格の適正化、コンサルティングサービスの強化・拡大、更に配送料・デザイン費等のサービスの収益化に取り組むことにより、利益率の改善を図っており、直近期はその効果が出始めている。

設備機器・パブリック事業

物流関連施設、研究施設機器等、ユニークな商品を提供

 同社の設備機器・パブリック事業の2022/12期売上高は 35,667百万円(前期比 6.5%増)、営業利益 1,482百万円(52.2%増)、営業利益率は 4.2%となった。地域別売上高では、日本 35,454百万円(構成比 99.4%)、アジア 117百万円(0.3%)、その他 96百万円(0.3%)で、国内市場が中心となっている。2021年より中期経営計画の事業セグメントに合わせて報告セグメントを修正、2020年までの設備機器関連事業と比較するために、2020年の設備機器関連事業を新セグメントに組み直すと、17,350百万円減少している。同事業の収益性は、2020年までのセグメント利益率を見てみると、-0.1%〜2.5%と必ずしも高いとはいえない。新セグメント以降は、2.9〜4.2%と改善傾向が見られる。

設備機器商品群

出所:同社資料

設備機器・パブリック事業収益推移

決算期 2015/12 2016/12 2017/12 2018/12 2019/12 2020/12 2021/12 2022/12
売上高(全社) 106,516 101,684 108,684 118,700 122,174 116,210 115,839 123,324
 前年比 3.4% -4.5% 6.9% 9.2% 2.9% -4.9% -0.3% 6.5%
新基準                
 設備機器・パブリック事業 31,602 33,488 35,667
  前年比 6.0% 6.5%
  売上構成比 27.2% 28.9% 28.9%
旧基準                
 設備機器関連事業 48,540 43,427 50,531 54,158 55,024 48,952
  前年比 3.2% -10.5% 16.4% 7.2% 1.6% -11.0%
  売上構成比 45.6% 42.7% 46.5% 45.6% 45.0% 42.1%
                 
営業利益(全社) 4,306 2,800 2,956 1,925 903 1,798 2,536 4,582
 前年比 74.2% -35.0% 5.6% -34.9% -53.1% 99.1% 41.0% 80.7%
 営業利益率 4.0% 2.8% 2.7% 1.6% 0.7% 1.5% 2.2% 3.7%
新基準                
 設備機器・パブリック事業 1,225 974 1,482
  前年比 -20.5% 52.2%
  セグメント利益率 3.9% 2.9% 4.2%
旧基準                
 設備機器関連事業 1,222 -58 569 115 435 686
  前年比 207.0% -104.7% -1081.0% -79.8% 278.3% 57.7%
  セグメント利益率 2.5% -0.1% 1.1% 0.2% 0.8% 1.4%
                 
従業員数(全社、人) 3,333 3,349 3,910 4,102 4,151 4,062 3,973
 設備機器・パブリック事業 1,106
 設備機器関連事業 1,392 1,377 1,544 1,421 1,452 1,485
資産(全社) 98,175 95,681 102,221 108,703 108,778 105,096 103,898 115,288
 設備機器・パブリック事業 24,691 26,816
 設備機器関連事業 33,148 30,925 37,415 37,748 37,203 33,636
減価償却費(全社) 2,389 2,534 2,316 2,329 3,168 3,431 3,181 2,828
 設備機器・パブリック事業 460 456
 設備機器関連事業 903 860 849 801 833 853

出所:同社資料よりOmega Investment 作成

 設備機器・パブリック事業は、同社が1914年にベント式金庫の販売を開始したことにまで遡る。その後、倉庫関連の様々な什器を製造・販売。1980年代以降は、業界に先駆けて各種の自動倉庫機器を開発・提供してきた。また、金庫扉の生産の経験から、原子力特殊大型扉を生産・発売。セキュアロックシステムも開発する等、数多くの業界初の商品を開発し続けてきている。近年では、特に倉庫・物流システムの自動化機器に対するニーズが強い。

 物流設備機器の主要顧客は、自動車業界、機器製造メーカー等。公共施設の商品は、博物館、美術館、図書館等が主な納入先となっている。物流設備機器の販売は、景気動向、企業収益の動向に左右されるが、製造業において物流コストの削減は継続的な経営課題であり、今後も成長が期待される。一方、公共施設に関しては、官公庁、地方自治体等の予算執行の影響を受ける。

 同セグメントの、研究設備機器も注目商品といっていいだろう。同社が2011年に出資、2016年に完全子会社化したダルトンが製造・販売する。ダルトンは1939年、科学機器及び分析用硝子器具等の製作・販売会社として創業(創業時の社名は三英製作所)。科学研究施設部門を設立し、様々な研究施設で使用される商品を開発・販売してきた。1996年、粉粒体機器製造メーカーを買収し、粉体機械に進出。2014年、ドラフトチャンバー・実験台「ユニエックス ラボシリーズ」を発表した。

ダルトンの研究施設機器、等

出所:同社資料より、Omega Investment 作成

 研究施設機器の顧客は、製薬企業、大学・研究機関等であり、その売上は製薬企業の研究開発費/設備投資の動向、大学の科研費等の影響を受ける。最大の顧客である、製薬企業は新薬の開発に、研究開発費を積極的に投入している。2022/3期の実績では、武田薬品工業が 5,261億円(前期比 15.4%増)、第一三共 2,602億円(14.5%増)、アステラスは 2,460億円(9.6%増)。研究開発費を公表している34社のうち、20社が2桁の増加となっている。一方で、日本の大学の研究予算は削減傾向が続いているのが懸念事項であるが、主要顧客の医薬品メーカーの旺盛な研究投資予算は今後も続くと予想され、同社の研究施設機器の売上は拡大が見込まれよう。

IT・シェアリング事業

システム開発、システム検証事業及びオフィスシェアを提供

 IT・シェアリング事業は、ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業に属さないシステム関連及びシェアリング事業が含まれる。2022/12期売上高は 1,624百万円(前期比 7.6%減)、営業利益は 449百万円(前期は 385百万円の営業損失)、営業利益率は 23.1%。全ての売上が国内市場となっている。同事業の全売上高に占める割合は 1.3%であり、今後も安定的な成長が予想される。

 

決算動向

通期連結売上高 / 営業利益トレンド

出所:同社資料より Omega Investment 作成

2022/12期決算実績

サマリー:過去最高の売上高、利益を達成。特別配当を実施、期末配当額は37円に

 オフィス移転やリニューアル案件等を中心に売上は好調に推移。販売価格の改定に加え、コスト削減努力が奏功し、営業利益も過去最高を記録。資産効率化にも取り組み、寝屋川工場の跡地等を売却し、特別利益(69億円)を計上。同売却益を原資に、特別配当 20円を決定。株主還元に配慮している。

2022/12期通期決算実績:6%増収、営業利益は79%増加

 同社の2022/12期通期決算は、ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業とも好調に推移。それぞれ、6.7%、6.5%の増収。セグメント利益は、それぞれ 34.7%、52.2%の大幅増益を達成した。また、IT・シェアリング事業は、7.6%の減収となったが、営業黒字化を実現した。その結果、全社売上は 123,324百万円、6.4%増加、営業利益は 4,582百万円、79.0%増加した。上記の通り、非事業用資産の売却に伴う特別利益を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は 5,294百万円、前期比 353.9%の大幅増益となった。特別配当 20円を加え、通期配当は 37円を実施予定、配当性向は 31.6%となる。

 決算期 売上高
(百万円)
前期比
(%)
営業利益
(百万円)
前期比
(%)
経常利益
(百万円)
前期比
(%)
当期利益
(百万円)
前期比
(%)
EPS
()
DPS
()
2018/12 118,700 9.2 1,927 -34.8 2,367 -28.1 1,725 -28.2 37.84 13.00
2019/12 122,174 2.9 903 -53.1 945 -60.1 -550 -12.08 13.00
2020/12 116,210 -4.9 1,798 99.1 1,881 99.0 -235 -5.18 13.00
2021/12 115,839 -0.3 2,536 41.0 2,437 29.5 1,166 25.82 15.00
2022/12 123,324 6.4 4,582 79.0 4,177 71.4 5,294 353.9 116.99 37.00
2023/12(会予) 130,000 5.4 6,500 41.8 6,500 55.6 3,700 -30.1 81.70 25.00

営業利益の増減要因

出所:同社資料より Omega Investment 作成

 営業利益の増減要因は上図を参照。売上高増による利益の増加に加えて、構造改革プロジェクトの進捗による売上高総利益率改善、物流費の減少により、戦略的支出の増加分を吸収して、大幅な増益を達成した。

セグメント別動向

ワークプレイス事業:6.7%増収、セグメント利益は +34.7%と大幅増

 感染症拡大後、いわゆるニューノーマル(新常態)への対応が進む中、新しい働き方に合わせた大型のオフィス移転やリニューアル案件等の売上が好調に推移し、売上高 85,945百万円、セグメント利益は 2,579百万円を達成。セグメント利益率は、前期比 0.6ポイント改善した。イトーキ単体の売上で見た場合、2020年では全体に占める割合が 46.3%であったリニューアル案件が、2022年には 53.8%と半分以上を占めるようになっている。オフィス家具の国際展示会であるオルガテック東京への出展や、本社オフィス兼ショールームである“ITOKI TOKYO XORK”のリニューアル等の先行投資を実施。また、直近の原材料価格高騰の影響はあるものの、増収効果及び構造改革プロジェクトによる物流費削減努力、また提供価値の向上等により、増収増益を達成した。

設備機器・パブリック事業:6.5%増収、セグメント利益は +52.2%の大幅増を達成

 売上高 35,667百万円、セグメント利益は 1,482百万円と、増収、大幅増益を達成。セグメント利益率は、前期比 1.2ポイント改善している。前期に受注した研究施設の大型商談(サイエンスパーク)が今期に売上計上し業績に寄与。また、物流設備の需要も旺盛で、堅調に推移した。原材料価格高騰の影響はあるものの、増収効果及び提供価値の向上等により、増収増益を達成した。

IT・シェアリング事業:不採算事業撤退で営業黒字化を実現

 売上高 1,624百万円(7.6%減)、セグメント利益は 449百万円(前期は 385百万円の営業損失)システム開発に加え、近年推進してきたシステム検証事業が好調に推移。また、オフィス空間のシェア事業も堅調に推移した。感染症拡大もあり不振が続いていた GlobalTreehouse事業から撤退。その効果もあり、同事業は黒字に転換した。

トピックス:構造改革プロジェクトの取り組み

 同社では、中期経営計画 “RISE ITOKI 2023 (FY2021〜2023)における一つの目標として強靭な体質の「高収益企業」になる、を挙げている。P15の4社比較でも見たように、上位2社に対して収益性の面で下回っており、先ずは収益面の改善が重要な改善事項である。同社では、構造改革プロジェクトの具体的方策として、以下の3点を挙げ取り組んできた。

ー営業改革に関する取組

 具体的には

・提供価値に見合った販売価格の適正化
・コンサルティングサービス等、提案付加価値能力の強化・拡大、さらに、
・配送料・デザイン費等、従来、売上として回収できていなかったサービス関連の収益化

  等である。これらの効果もあり、ワークプレイス事業の営業利益率は上記のように 0.6ポイントの改善を実現した。

ー生産供給に関する取組

・新たなアセンブル生産拠点であるAPセンターを、滋賀工場に竣工・稼働。従来、完成品を仕入れていたのを、パーツで仕入れ、APセンターで組立て製品化することで、コスト削減が可能となった

ー資産効率化に関する取組

・非事業固定資産の売却等(既報のとおり、旧寝屋川工場跡地 65億円の売却。キャッシュフローの改善にも大きく役立った)
・加えて、更なるファシリティの売却・効率化も順調に進捗中である

2023/12期見通し:売上高 1,300億円、営業利益は中計目標を上回る 65億円を見込む

 同社の2023/12期通期業績予想は、売上高 1,300億円(5.4%増)、営業利益 65億円(41.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 37億円(30.1%減)を見込んでいる。売上高は中計の目標である 1,330億円を若干ショートするものの、営業利益は同目標である 60億円を上回って着地すると見ている。親会社株主に帰属する当期純利益については、既述のとおり、2022/12期において土地売却に伴う特別利益約68億円を計上したことによる反動。同売却益を除けば、増益となっている。

 セグメント別では、ワークプレイス事業が 7.9%の増収、営業利益は 75.6%の大幅な増益を見込む。2023年は東京都心部での新築オフィスの供給が大幅増の見込みで、大阪、福岡等でも堅調が見込まれている。また、オフィスの移転、リニューアル案件も引続き好調が予想される。そのような中、前期に続いて価値提案に重点を置いた営業活動を展開し、利益率の確保を図っていく計画である。

 設備機器・パブリック事業は、2022/12期に大型案件を計上した反動で減収減益を予想。しかしながら、物流関係のニーズは強く、eコマース、自動車(EV)、冷凍倉庫等への販売が堅調の見込み。現状の商談の進展度合いから、下期に大型案件が集中する予想であり、下期偏重の決算となることが見込まれている。全体では、微減収、微減益で着地すると予想している。

注)2020/12期は参考値
出所:同社資料より Omega Investment 作成

 

成長戦略

中期経営計画“RISE ITOKI 2023”

 同社は2021年2月、2023年を最終年度とする中期経営計画を策定した。感染症が拡大する不透明感の中で見えてきた様々な課題に対処するとともに、いわゆる「ニューノーマル」を前提とした、経営の方向性を示した。

 先ず、目指す姿として、ポストコロナの「働く環境」づくりをリードする、及び、強靭な体質な「高収益企業」となる、を掲げた。感染症の拡大によりリモートワークの導入が急速に進み、通常3〜4年掛かる変化が 1〜2年で進んだともいわれた。同社は、そのような感染症の拡大を契機に多様化したワークプレイスをビジネスチャンスと捉え、全ての「働く環境」に対して、新たな商品・サービス・ソリューションを提供していく。

 強靭な体質の「高収益企業」になる、という目標に関しては、同社の長年の課題であった収益性の改善に真剣に取り組むという姿勢が感じられる。前述したように、従来はオフィス家具は単体での差別化が難しく、価格競争に陥りがちの傾向があった。多くのインハウスデザイナーを抱え、デザイン性の高いオフィス家具、什器を開発しても、その価値に見合った収益率を上げられていない、という状況を脱するための取組テーマを策定した。構造改革プロジェクトの具体策としては、DXを取り入れた新たな営業体制の構築、グループ工場の再編による原価率の低減、アッセンブル生産方式の導入、グループ全体の資産の効率化をはじめとした6テーマに取り組んでいる。2022/12期の決算実績は、その効果が着実に実を結びつつあることを示しているといえよう。

 また、同社は製造業であるため、製品の生産過程で生じるCO2の削減という大きな課題がある。サステナビリティの項目でも述べるが、この中計でもESG経営の実践を重点方針の一つとして掲げている。

 中期経営計画では、2023/12期の売上高 1,330億円、営業利益 60億円の当初計画値をローリングし、特に、営業利益は65億円と積み増した。中計の各施策は着実に実行に移されており、2023/12期の業績予想で見たとおり、この数値目標はほぼクリアすることが可能だろう。

 今後は、新社長の下、次の中期経営計画でどのようなイトーキの姿を提示するか、より収益体質を高めることにより、更なる企業価値の創造を実現するか、注目したい。

 

株式情報、等

株価動向

成長性、収益力の改善期待で、大幅上昇

 同社株価は直近一年間で 95%上昇。同期間中TOPIXは 0.29%下落しており、また競合他社と比較しても、そのパフォーマンスの高さが際立つ。2020年3月13日につけた直近のボトム、250円からすると 2.7倍の株価となっている。株価上昇には様々な要因が考えられるが、感染症拡大後、新たな働き方へのニーズが高まり、リニューアル案件等が堅調に推移していること、提案営業に力を入れることにより、売上高より利益率を重視した営業政策が結果を出し始め利益率の改善が図られていること、等が評価されていると見ていいだろう。加えて、直近、同社はIR活動にも一層力を入れており、その結果、より株主を重視した経営判断がなされていると投資家が判断していることもあげられるだろう。同社株価は長期間に亘って同業他社と比較して割安に評価されており、現状の株価水準でもPBR=0.62倍に止まっている。2022年3月に就任した湊新社長は、外資系のIT企業出身者として、オフィス家具ビジネスとは異なるバックグラウンド、トラックレコードを有している。今までの家具・什器の販売から、Office3.0に象徴されるような、新たな付加価値を創造していく戦略を練るにあたって、まさに適材といえるだろう。湊社長の下、新たな成長ストーリーの進展と一層の収益性の向上が進めば、更なる株価上昇の期待も見えてこよう。

7972:イトーキ株価推移(過去5年間)

対TOPIX相対チャート(過去3年間)

7972:イトーキ及び競合3社ヒストリカルPBRの推移(LTM、過去5年間)

ヴァリュエーションの考察

 同社と同業のコクヨ(TSEP: 7984)、オカムラ(TSEP: 7994)、内田洋行(TSEP: 8057)の財務データについて比較したのが、下図、表。

 ROEの推移を見てみると、コクヨ、オカムラが安定的なリターンをあげているのがわかる。一方で、同社は、2019/12期、2020/12期に純損失を計上し、また、それ以外の期においても、競合他社と比較して低位置で推移している。2022/12期は特別利益を計上し高い値となっているが、同利益を除して試算してみると、やはり競合他社よりも低いリターンに留まっている。ROEを分解してみても、同社の利益率が他社と比較して低いことが原因となっており、ROEの上昇を実現するためにも、引続き利益率の改善が求められるといえよう。内田洋行は売上全体に占めるオフィス関連事業の比率が低く、公共関連事業で教育関連の大型案件の落札結果等により大きく収益がブレることがある。2020年(内田洋行の決算期としては2021/7期)に突出しているのは、公共関連の大型案件も受注したことにより、売上高が前期比4割増加、純利益は7割増加したことによる。

出所:各社財務データより Omega Investment 作成

 次に、PBR vs ROEについてプロットしたのが下図。同社の改善幅は大きいが、更なる改善の余地があるといえるだろう。いい換えれば、その改善を実現することによる株価の修正期待も高いと考えられる。

出所:各社財務データより Omega Investment 作成

オフィス家具4社株価・財務データ比較

コード 7972 7984 7994 8057
会社名 イトーキ コクヨ オカムラ 内田洋行
決算期 2022年12月 2022年12月 2022年3月(LTM) 2022年7月(LTM)
株価(3/20 685 1,817 1,328 4,780
時価総額(百万円) 35,280 233,925 133,625 49,805
PER(倍) 8.38 13.45 8.32 9.79
PBR(倍) 0.62 0.88 0.88 1.02
配当利回り(%) 3.65 3.19 3.31 3.14
年初来株価上昇率 16.7% -2.2% -6.7% 2.1%
年初来高値 812(2/16) 1,948(3/9) 1,446(1/18) 5,230(3/8)
年初来安値 572(1/6) 1,753(1/12) 1,272(2/6) 4,435(1/6)
10年間高値 978(15/11/25) 2,244(18/4/9) 1,771(18/5/15) 8,530(19/12/16)
10年間安値 250(20/3/13) 623(13/6/7) 676(20/8/5) 623(13/6/7)
財務指標        
ROE 11.17% 7.88% 11.47% 10.10%
ROA 4.83% 5.55% 6.83% 3.95%
ROIC 2.04% 5.85% 4.22% 8.04%
自己資本比率 43.2% 70.6% 60.7% 39.1%
一株当たり指標        
期末発行済み株式数(千株) 45,664 128,742 100,621 10,419
EPS(円、予) 81.70 135.05 159.61 488.07
BPS(円、実) 1,100.33 2,059.21 1,482.00 4,460.15
DPS(円、予) 25.00 58.00 44.00 150.00
配当性向 30.6% 42.9% 27.6% 30.7%
決算データ        
売上高 123,324 300,929 275,939 229,606
  5年間成長率 2.6% -0.9% 2.7% 8.7%
売上総利益 45,749 116,671 86,719 42,674
  売上総利益率 37.1% 38.8% 31.4 18.6%
営業利益 4,582 19,321 14,613 7,419
  5年間成長率 9.2% 1.9% 2.1% 20.3%
  営業利益率 3.7% 6.4% 5.3% 2.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 5,294 18,375 16,394 4,655
  5年間成長率 17.1% 4.1% 8.7% 20.5%
  当期純利益率 4.3% 6.1% 5.9% 2.0%
期末従業員数 3,793 6,825 3,946 3,212
従業員一人当売上高(千円) 32,513 44,092 66,212 71,483
EBITDA 7,821 26,229 20,791 9,273
  EBITDAマージン 6.3% 8.7% 7.5% 4.0%
キャッシュ・フロー計算書        
営業活動によるキャッシュ・フロー 5,804 9,577 5,328 -5,414
投資活動によるキャッシュ・フロー 4,923 -3,320 -2,264 -2,198
財務活動によるキャッシュ・フロー -1,426 -8,991 -8,601 -8,632
フリーキャッシュ・フロー 10,727 6,257 3,064 -7,612

出所:各社資料等より Omega Investment 作成

大株主の状況

氏名又は名称 所有株式数
(千株)
発行済株式の総数に対する
所有株式数の割合(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 5,079 11.21
日本生命保険相互会社 2,225 4.91
イトーキ協力会社持株会 1,754 3.87
株式会社アシスト 1,609 3.55
伊藤七郎 1,356 2.99
日本カストディ銀行(信託口) 1,341 2.96
株式会社みずほ銀行 1,121 2.47
イトーキ従業員持株会 1,106 2.44
株式会社三井住友銀行 1,069 2.36
伊藤文子 963 2.12
17,623 38.88
発行済株式数 45,664  

注)  同社は自己株式 381,659株を保有しているが、上記大株主からは除外している。発行済株式の総数に対する所有株式数の割合(%)は、自己株式を除く
出所:同社株主総会招集通知(2023年2月27日)

 創業家である伊藤家の伊藤七郎氏と伊藤文子氏の持株比率は、合計で5.11%となっている。所有者別株式保有の状況は以下の通り。

所有者別株式保有の状況

出所:同社資料より Omega Investment 作成

株主還元の方針

 同社は利益配分を経営の重点政策の一つとして認識し、会社の収益状況、内部留保の充実、今後の事業展開等を総合的かつ長期的に勘案したうえで、株主に継続的かつ安定的に配当することとし、期末配当として年1回を行うことを基本方針としている。2022/12期においては、期初予想の15円から2円の増配、かつ特別配当20円を加え、37円の配当を実施する。今後は、更なる株主重視の経営を目指し、従来の安定配当に加え連結業績を考慮し、配当性向20%以上を目処とした配当政策を実施する方針である。

配当金の推移

出所:同社資料より Omega Investment 作成

コーポレートガバナンス及びトップマネージメント

 同社は、監査役会設置会社で常勤監査役を1名置いている。23年3月の株主総会において取締役8名を選任。うち3名が社外取締役で独立役員に指定されている。5年前の取締役会の構成は取締役 6名で、うち2名が社外取締役であったことを考えると、体制は強化されているといって良いだろう。現在の取締役・監査役合計11名中、男性が10名、女性が1名。国籍は全て日本人である(次頁、参照)。新たなコーポレートガバナンスコードでは、取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件として、ジェンダーや国際性等の多様性が要求されている。現在、同社の売上高は9割以上が国内で、海外の子会社等もアジアが中心で海外の従業員数が従業員全体に占める割合も限られていると想像される。しかしながら、中期経営計画において今後は海外事業の本格的拡大による収益拡大を図るとしている。同社の海外事業の進展度合いに応じて、コーポレートガバナンスの観点からもマネージメントチームの一層の多様性が求められる。

 また、同社は経営の監視と業務執行の分離の観点から、執行役員制度を取り入れている。現在、執行役員は取締役を兼務する2名を合わせて26名。うち、1名が女性である。

 周知の通り、現在では女性の社会進出も以前とは比べ物にならないほど進んでいる。同社の女性社員の全社員に占める比率は 31.0%。管理職に占める女性比率は 8.9%である(それぞれ、2021/12月末)。女性管理職比率は、この5年間に5.8%から上昇してきてはいるが、今後、より上位の管理職層においての活用も期待されよう。

同社のコーポレート・ガバナンス体制

出所:同社資料

 同社のトップマネージメントは次頁を参照。2023年3月23日の株主総会を経て、新たな経営体制が発足する。

トップマネージメント(2023年3月23日以降の新体制)

代表取締役会長:山田匡通

1940年生まれ
1964年 4⽉ 旧(株)三菱銀⾏⼊⾏
1991年 6⽉ 同⾏取締役
2000年 6⽉ 同⾏専務取締役
2002年 9⽉ 旧 三菱証券(株)代表取締役会⻑
2004年 6⽉ 旧 東京急⾏電鉄(株)常勤監査役
2005年 6⽉ 当社取締役就任
2007年 6⽉ 当社代表取締役会⻑就任(現職)

代表取締役社長:湊 宏司

1970年生まれ
1994年 4⽉ 日本電信電話株式会社(NTT)入社
2008年 7⽉ サン・マイクロシステムズ株式会社 入社
2010年 6⽉ 日本オラクル株式会社 カスタマーサポート統括(サン・マイクロシステムズ株式会社との経営統合)
2015年 6⽉ 同社 執行役員 社長室長
2018年 8⽉ 同社 執行役 副社長 最高執行責任者(COO)
2019年 8⽉ 同社 取締役 執行役 副社長 最高執行責任者(COO)
2021年 9⽉ 当社入社 顧問
2022年 3⽉ 当社代表取締役社長就任(現職)

取締役常務執行役員:森谷 仁昭

1965年生まれ
1982年 4⽉ 旧(株)第⼀勧業銀⾏⼊⾏
1988年 7⽉ 旧 ⽇本輸出⼊銀⾏出向
2007年 4⽉ (株)みずほ銀⾏個⼈企画部⻑
2011年 1⽉ 当社⼊社執⾏役員管理本部副本部⻑
2012年 1⽉ 当社執⾏役員管理本部⻑
2015年 1⽉ 当社常務執⾏役員管理本部⻑
2021年 3⽉ 当社取締役常務執⾏役員管理本部⻑(現職)

取締役:風 直樹

1962年生まれ
1986年 4⽉ 旧(株)イトーキ入社
2007年 1⽉ 当社東京西支店⻑2010年 1⽉ 当社東京西支社⻑
2013年 1⽉ 当社執⾏役員東京西支社⻑
2016年 1⽉ 当社執⾏役員東京支社⻑
2018年 1⽉ 当社執⾏役員Knoll事業統括部長、Knoll Japan株式会社代表取締役社長
2021年 1⽉ 当社常務執行役員営業本部長(現職)

取締役:品田 潤生

1961年生まれ
1985年 4⽉旧(株)イトーキ入社
2006年 7⽉ 当社東京東販売部港支店長
2014年 1⽉ 当社東日本支社⻑
2016年 1⽉ 当社執行役員法人営業統括部⻑
2018年 1⽉ 当社執行役員法人営業統括部⻑ 兼 カスタマーバリュー統括部長
2021年 7⽉当社執行役員エンジニアリング統括部長
2023年 1⽉当社常務執行役員企画本部長(現職)

取締役(社外取締役):永田 宏

1941年生まれ
1970年 4⽉ 三井物産フランス(株)⼊社
1996年 6⽉ 三井物産(株)取締役
1999年 6⽉ 同社常務取締役欧州三井物産(株)社⻑
2002年 4⽉ 三井物産(株)代表取締役副社⻑兼執⾏役員化学品グループプレジデント
2005年 4⽉ 早稲⽥⼤学⼤学院商学研究科客員教授
2008年 3⽉ 当社取締役就任(現職)
2018年10⽉ (株)クレアホールディングス代表取締役社⻑(現職)

取締役(社外取締役):似内 志朗

1958年生まれ
1984年 4⽉ 郵政省⼊省
2005年 4⽉ 旧 ⽇本郵政公社経営企画部⾨事業開発部⻑2009年10⽉ 同社不動産部⾨不動産企画部⻑
2019年 5⽉ ファシリティデザインラボ代表(現職)
・ 筑波⼤学客員教授(現職)
・ 東洋⼤学兼任講師(現職)
2020年 3⽉ 当社取締役就任(現職)

取締役(社外取締役):坂東 眞理子

1946年生まれ
1969年 7⽉ 総理府入府
1989年 7⽉ 総務庁統計局消費統計課長
1995年 4⽉ 埼玉県副知事
1998年 6⽉ 在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事
2001年 1⽉ 内閣府男女共同参画局長
2003年10⽉ 学校法人昭和女子大学理事
2016年 7⽉ 昭和女子大学総長(現職)
2017年 6⽉ MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 社外取締役(現職)
2019年12⽉ 株式会社三菱総合研究所社外取締役(現職)

監査役(常勤監査役):福原 敦志

1948年生まれ
1984年 4⽉ 旧(株)伊藤喜⼯作所⼊社
2009年 3⽉ 当社中央研究所⻑
2012年 1⽉ 当社執⾏役員企画本部⼈事統括部⻑
2016年 1⽉ 当社執⾏役員管理本部リスク管理統括部⻑
2016年 3⽉ 当社常勤監査役就任(現職)

監査役(社外監査役):石原 修

1960年生まれ
1987年 4⽉ 東京弁護士会登録 西村眞田法律事務所入所
1990年10⽉ TMI総合法律事務所入所
1997年 4⽉ 同事務所パートナー (現職)
2010年 3⽉ 株式会社小田原エンジニアリング社外監査役(現職)
2012年 4⽉ 日本弁護士連合会常務理事
2015年 4⽉ 関東弁護士会連合会副理事長

監査役(社外監査役):白畑 尚志

1962年生まれ
1984年 4⽉ 青山監査法人入所
1988年 7⽉ 公認会計士登録
1999年 7⽉ 青山監査法人入所
2000年 7⽉ 中央青山監査法人  社員就任
2002年 7⽉ 同法人  代表社員
2006年 9⽉ あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)パートナー(代表社員)
2022年 7⽉ 株式会社インフォメーション・ディベロプメント社外取締役(現職)

注)  上記、各役員の経歴上の同社・同法人は、関連する各社・各法人を示す。当社は、株式会社イトーキを示す。
出所:同社資料

取締役会メンバーのスキル・マトリックス

執行役員体制

役職 氏名 役職 氏名
取締役常務執行役員 森谷 仁昭 執行役員 筧田 昭文
取締役常務執行役員 風 直樹 執行役員 田頭 章弘
取締役常務執行役員 品田 潤正 執行役員 藤澤 昌彦
常務執行役員 市川 真 執行役員 松田 勝也
常務執行役員 大月 剛 執行役員 河本 雅義
常務執行役員 長尾 和芳 執行役員 岡田 直之
常務執行役員 澤田 正 執行役員 紀仲 雅史
常務執行役員 山村 善仁 執行役員 中筋 英樹
常務執行役員 平尾 信幸 執行役員 宮本 康裕
執行役員 清水 俊也 執行役員 鷲尾 一郎
執行役員 織田 俊彦 執行役員 管 智士
執行役員 國領 隆 執行役員 平野 啓一郎
執行役員 上田 武 執行役員 八木 佳子

出所:同社資料

サステナビリティ

 同社は製造業であるため、オフィス家具、物流機器等の製造過程でCO2の排出は避けられない。そのため、SDGs、ESGに対する意識も高く、2021年からは統合報告書を作成している。また、2022年にはESGDATA BOOKを公開。同社のマテリアリティのKPIの実績に対しての評価等も詳らかにしている。

 特に注目すべきは、環境に関しての中期環境計画を策定し、各年毎の具体的、定量的な進捗状況を伝えていることである。温室効果ガスの排出量については、Scope1, 2だけでなく、Scope3も含めた削減目標を示している。CO2の排出以外にも、再生可能性エネルギーの導入やカーボンオフセット、生物多様性、環境会計等についても、定量的な分析を行なっている。

 SDGsについては、以下のマテリアリティを定めている。前にも記したように、ダイバーシティの面で改善余地はあるものの、コーポレートガバナンスにおいて、リスクマネージメント、コンプライアンスの体制は整っているといえるだろう。

同社のマテリアリティに対する考え方

出所:同社資料

財務データ(四半期ベース)

 
2020/12
     
2021/12
     
2022/12
     
 
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
損益計算書
                       
売上高
37,707
26,997
21,489
30,017
32,121
29,451
22,396
31,871
35,345
28,411
26,205
33,363
 前年同期比(%)
11.2
-9.3
-24.5
-0.1
-14.8
9.1
4.2
6.2
10.0
-3.5
17.0
11.2
売上原価
23,710
17,765
13,811
19,036
20,101
18,729
14,443
20,872
21,483
18,030
16,678
21,384
売上総利益
13,997
9,232
7,678
10,981
12,020
10,722
7,953
10,999
13,862
10,381
9,527
11,979
販売費及び一般管理費
10,996
9,602
9,590
9,901
10,352
9,453
9,203
10,150
9,898
9,973
9,812
11,484
営業利益
3,001
-370
-1,912
1,079
1,667
1,269
-1,249
849
3,964
407
-285
496
 営業利益率(%)
8.0
-1.4
-8.9
3.6
5.2
4.3
-5.6
2.7
11.2
1.4
-1.1
1.5
営業外収益
154
162
251
237
240
161
171
122
125
164
171
96
営業外費用
273
168
107
172
250
257
101
185
115
130
177
539
経常利益
2,882
-376
-1,768
1,143
1,657
1,173
-1,179
786
3,974
442
-291
52
特別利益
0
6
125
980
1,255
78
133
88
786
139
118
6,762
特別損失
116
42
55
1,503
20
456
518
1,474
44
64
38
3,465
税金等調整前四半期純利益
2,766
-412
-1,697
620
2,893
795
-1,565
-600
4,716
516
-211
3,351
法人税等合計
1,039
134
-195
654
1,028
490
-132
-796
1,381
246
-21
1,585
親会社株主に帰属する四半期純利益
1,760
-557
-1,491
53
1,942
348
-1,440
316
3,388
288
-159
1,777
 同利益率(%)
4.7
-2.1
-6.9
0.2
6.0
1.2
-6.4
1.0
9.6
1.0
-0.6
5.3
                         
貸借対照表
                       
流動資産
69,811
60,382
52,463
57,183
65,543
62,170
55,249
57,753
69,458
64,096
59,873
71,027
 現金及び預金
18,186
21,312
18,956
18,246
19,503
22,112
18,213
17,351
19,196
20,073
17,138
26,876
 受取手形及び売掛金
37,611
27,230
20,298
26,599
32,061
26,596
21,385
26,783
35,205
28,234
24,111
29,316
 受取手形、売掛金及び契約資産
               
4,161
3,872
4,372
4,411
固定資産
49,872
49,933
50,410
47,912
46,925
46,369
46,046
46,144
46,647
47,395
48,126
44,260
 有形固定資産
27,612
27,350
27,329
26,206
25,184
24,779
24,887
24,417
25,105
26,042
26,932
24,978
 無形固定資産
5,113
5,623
5,853
5,590
5,504
5,419
4,885
4,114
4,128
4,168
4,145
1,819
  のれん
2,391
2,207
2,189
2,093
2,018
2,016
1,407
1,317
1,214
1,222
1,200
517
 投資その他の資産
17,146
16,959
17,227
16,116
16,236
16,170
16,273
17,612
17,413
17,184
17,048
17,462
資産合計
120,352
110,940
103,453
105,096
112,469
108,540
101,295
103,898
116,105
111,492
108,000
115,288
流動負債
55,449
46,097
40,198
43,646
49,245
45,266
40,307
42,544
51,837
47,138
43,655
49,099
 短期借入債務
15,616
13,289
14,239
13,234
13,458
12,061
12,409
12,500
15,014
11,976
11,738
11,239
固定負債
18,327
18,220
18,079
17,259
17,506
17,088
16,257
16,277
16,334
16,020
16,178
16,278
 長期借入債務
9,475
9,574
9,453
8,508
8,711
8,193
7,435
7,591
7,427
7,174
7,266
7,530
負債合計
73,777
64,318
58,277
60,906
66,751
62,354
56,565
58,822
68,172
63,158
59,833
65,377
純資産合計
46,575
46,621
45,175
44,189
45,717
46,186
44,730
45,076
47,933
48,333
48,166
49,910
株主資本
46,123
46,197
44,768
43,812
45,419
45,872
44,454
44,931
47,837
48,254
48,117
49,871
 資本金
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
5,294
 資本剰余金
9,201
9,642
9,641
9,628
9,628
9,632
9,632
9,638
9,638
9,638
9,638
9,638
 利益剰余金
31,030
30,461
28,884
28,950
30,306
30,654
29,213
29,530
32,477
32,769
32,610
34,387
 自己株式
-46
-6
-33
-182
-182
-161
-161
-161
-161
-134
-134
-134
 新株予約権
 
 
45
45
45
45
45
45
45
45
45
45
負債純資産合計
120,352
110,940
103,453
105,096
112,469
108,540
101,295
103,898
116,105
111,492
108,000
115,288
                         
[キャッシュ・フロー計算書]
                       
営業活動によるキャッシュ・フロー
 
5,404
 
-843
 
4,577
 
-1,803
 
4,581
 
1,223
投資活動によるキャッシュ・フロー
 
-1,442
 
290
 
503
 
-1,673
 
-1,410
 
6,333
財務活動によるキャッシュ・フロー
 
293
 
-2,560
 
-1,418
 
-1,240
 
-661
 
-765
フリーキャッシュフロー
 
3,962
 
-553
 
5,080
 
-3,476
 
3,171
 
7,556
現金及び現金同等物の増減額
 
4,240
 
-3,037
 
3,787
 
-4,687
 
2,711
 
6,911
現金及び現金同等物の期首残高
 
15,494
 
19,735
 
16,697
 
20,485
 
15,797
 
18,509
現金及び現金同等物の四半期末残高
 
19,735
 
16,697
 
20,485
 
15,797
 
18,509
 
25,420

(単位:百万円)
出所:同社資料より Omega Investment 作成

財務データ(通期ベース)

 
2012/12
2013/12
2014/12
2015/12
2016/12
2017/12
2018/12
2019/12
2020/12
2021/12
2022/12
損益計算書
                     
売上高
105,508
103,461
102,993
106,516
101,684
108,684
118,700
122,174
116,210
115,839
123,324
 前期比(%)
14.6
-1.9
-0.5
3.4
-4.5
6.9
9.2
2.9
-4.9
-0.3
6.4
売上原価
70,027
67,118
66,797
68,374
65,021
69,966
77,436
80,495
74,322
74,145
77,575
売上総利益
35,481
36,343
36,196
38,142
36,663
38,718
41,264
41,679
41,888
41,694
45,749
 売上総利益率(%)
33.6
35.1
35.1
35.8
36.1
35.6
34.8
34.1
36.0
36.0
37.1
販売費及び一般管理費
32,040
32,203
33,723
33,836
33,862
35,761
39,339
40,776
40,089
39,158
41,167
営業利益
3,441
4,140
2,472
4,306
2,800
2,956
1,925
903
1,798
2,536
4,582
 営業利益率(%)
3.3
4.0
2.4
4.0
2.8
2.7
1.6
0.7
1.5
2.2
3.7
営業外収益
813
813
841
898
771
750
889
677
804
694
556
営業外費用
518
528
495
605
483
412
448
634
720
793
961
経常利益
3,735
4,425
2,818
4,599
3,087
3,295
2,365
945
1,881
2,437
4,177
特別利益
269
685
615
171
97
228
919
27
1,111
1,554
7,805
特別損失
352
238
262
524
267
121
204
35
1,716
2,468
3,611
税金等調整前当期純利益
3,653
4,872
3,171
4,246
2,918
3,401
3,081
938
1,277
1,523
8,372
法人税等合計
689
876
813
-385
1,068
959
1,339
1,517
1,632
590
3,191
親会社株主に帰属する当期純利益
2,702
3,910
2,160
4,530
1,907
2,402
1,722
-550
-235
1,166
5,294
 同利益率(%)
2.6
3.8
2.1
4.3
1.9
2.2
1.5
-0.5
-0.2
1.0
4.3
                       
貸借対照表
                     
流動資産
49,294
52,925
55,714
56,342
52,410
58,147
62,143
58,109
57,183
57,753
71,027
 現金及び預金
17,441
19,553
21,211
21,456
19,839
19,977
16,229
17,030
18,246
17,351
26,876
 受取手形及び売掛金
24,935
26,243
25,965
26,138
23,241
26,869
33,160
28,244
26,599
26,783
 
 受取手形、売掛金及び契約資産
                   
29,316
固定資産
39,961
42,335
41,007
41,832
43,271
44,073
46,559
49,955
47,912
46,144
44,260
 有形固定資産
27,928
28,193
27,041
26,395
25,322
24,426
26,362
27,781
26,206
24,417
24,978
 無形固定資産
705
1,230
1,109
1,313
1,142
3,651
4,437
4,945
5,590
4,114
1,819
  のれん
6
34
26
240
208
2,793
3,005
2,413
2,093
1,317
517
 投資その他の資産
11,327
12,911
12,857
14,123
16,806
15,995
15,760
17,229
16,116
17,612
17,462
資産合計
89,256
95,261
96,721
98,175
95,681
102,221
108,703
108,778
105,096
103,898
115,288
流動負債
36,455
35,359
36,677
36,106
35,390
39,683
45,133
47,559
43,646
42,544
49,099
 短期借入債務
11,222
11,473
11,087
10,940
11,760
12,564
11,721
15,533
13,234
12,500
11,239
固定負債
14,560
16,874
16,854
14,756
14,888
15,211
16,076
15,385
17,259
16,277
16,278
 長期借入債務
4,122
5,124
5,089
5,171
5,296
5,328
5,113
6,633
8,508
7,591
7,530
負債合計
51,016
52,234
53,532
50,863
50,278
54,894
61,210
62,944
60,906
58,822
65,377
純資産合計
38,240
43,026
43,189
47,311
45,402
47,326
47,492
45,834
44,189
45,076
49,910
株主資本
35,960
41,079
41,632
45,677
44,949
46,863
46,854
45,370
43,812
44,931
49,871
 資本金
5,277
5,277
5,277
5,277
5,277
5,277
5,277
5,294
5,294
5,294
5,294
 資本剰余金
13,020
13,061
13,061
13,222
13,140
12,404
9,786
9,201
9,628
9,638
9,638
 利益剰余金
18,520
22,073
23,556
29,223
30,504
32,315
31,104
29,862
28,950
29,530
34,387
 自己株式
-1,178
-833
-834
-3,000
-4,700
-4,701
0
-46
-182
-161
-134
 新株予約権
 
 
 
 
 
 
 
 
45
45
45
負債純資産合計
89,256
95,261
96,721
98,175
95,681
102,221
108,703
108,778
105,096
103,898
115,288
                       
[キャッシュ・フロー計算書]
                     
営業活動によるキャッシュ・フロー
8,259
3,162
5,715
4,522
5,072
3,565
1,384
3,586
4,561
2,774
5,804
投資活動によるキャッシュ・フロー
-14
-1,978
-1,742
-803
-4,044
-2,971
-3,094
-3,221
-1,152
-1,170
4,923
財務活動によるキャッシュ・フロー
-1,652
51
-2,179
-3,807
-2,571
-706
-2,463
0
-2,267
-2,658
-1,426
フリーキャッシュフロー
8,245
1,184
3,973
3,719
1,028
594
-1,710
365
3,409
1,604
10,727
現金及び現金同等物の増減額
6,601
1,944
1,814
184
-1,619
88
-4,031
952
1,203
-900
9,622
現金及び現金同等物の期首残高
9,555
16,156
18,102
19,918
20,103
18,483
18,571
14,540
15,494
16,697
15,797
現金及び現金同等物の期末残高
16,156
18,102
19,918
20,103
18,483
18,571
14,540
15,494
16,697
15,797
25,420

(単位:百万円)
出所:同社資料より Omega Investment 作成