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Omega Investment株式会社

キッズウェル・バイオ (Company Note 3Q update)

株価(3/4)365予想配当利回り(22/3予)ー %
52週高値/安値864/327 円ROE(TTM)-23.29 %
1日出来高(3か月)164.8 千株営業利益率(TTM)-45.51 %
時価総額114 億円ベータ(5年間)1.27
企業価値119 億円発行済株式数 31.435 百万株
PER(22/3予)- 倍上場市場 東証マザーズ
PBR(21/3実)5.84 倍
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BS3製品目が販売開始
再生医療事業(SHED)で提携を推進

2022/3期3Q決算サマリー

 2021年12月に同社3製品目となるバイオシミラー(BS)GBS-007が販売開始し、3Qの売上げに寄与。BS第4製品目の原薬販売も売上計上したことにより、2022/3期3Qの売上高は前年同期比 9割増 13.8億円に。投資有価証券売却により約4億円の特別利益を実現した。各パイプライン、再生医療のプロジェクトは順調に進捗しているが、株価的にはバイオ市場全体の下落影響を受け調整が続いている。引続き、会社側が示している来期黒字化の行方に注目したい。

2022/3期3Q決算実績

  既に販売済みのBS フィルグラスチム(GBS-001)、ダルべポエチンアルファ(GBS-011)が計画を上回る収益を上げたのに加え、BS第3製品目となるラニビズマブ(GBS-007)が2021年12月より販売開始。今3Qより収益に貢献。前年同期を大きく上回る売上げ(1,383百万円、91.9%増)を計上した。販管費中の研究開発費はGBS-007の開発が峠を越したこと等により売上高比で低下傾向にあり、3Qの営業損失は前年同期と比較して約2億円改善。同社ではキャッシュポジションを考慮し手持ちの投資有価証券を売却。約 4億円を特別利益に計上し、四半期純損失は94百万円と前年同期の 6.7億円の損失から大きく改善した。

 貸借対照表においては、上記、投資有価証券の売却による約5億円の現金収入があり、3Q末の現金及び預金残高は 1,253百万円に(2Q末は 974百万円)。3Q末の資産合計は 3,900百万円となった(2Q末は 3,859百万円)

バイオシミラー事業:GBS-007が製造販売開始

*ラニビズマブ(GBS-007)BS事業3製品目である加齢黄斑変性症の治療薬、抗VEGF抗体薬ラニビズマブBSが開発パートナーである千寿製薬から12月9日より販売が開始された。抗VEGF抗体薬市場は国内だけで2020年度約1,000億円弱。うち、直接の競合と考えられるルセンティス(ノバルティスファーマ)だけでも約270億円。薬価は先行品の53%となった。眼科領域では初のBSであるため注目度も高いとのこと。販売に先立ち原薬を千寿製薬に販売しており、今3Qより収益に寄与している。

*フィルグラスチム(GBS-001)、ダルベポエチンアルファ(GBS-011): 既に提携先より上市されているBS、GBS-001及びGBS-011については、それぞれ原薬販売、ロイヤリティによる収益が計画を上回るペースで推移。継続的な原価低減策も講じており、収益性の向上が図られている。

決算期 売上高
(百万円)
前期比
(%)
営業利益
(百万円)
前期比
(%)
経常利益
(百万円)
前期比
(%)
当期利益
(百万円)
前期比
(%)
EPS
(円)
2018/3 1,059 -2.7 -913 -903 -904 -47.27
2019/3 1,021 -3.6 -805 -816 -856 -43.84
2020/3 1,077 -1,161 -1,187 -7,316 -264.65
2021/3 996 -7.5 -969 -991 -1,001 -34.79
2022/3(会予) 1,900 90.7 -1,720 -1,740 -1,323 -58.18
2021/3 3Q 720 -1.7 -647 -600 -670 -23.43
2022/3 3Q 1,383 91.9 -432 -460 -94 -3.08

 

バイオシミラー事業パイプラインの進捗

注)が3Q中の新たな進捗。
出所:同社資料

 

*第4のBS:上記3品目に加えて、同社では第4のBSの開発が進行中。今期は原薬製造プロセス開発に関わる原薬販売を計上しており、中期経営計画において2025年度までの上市を目標としている。

◇再生医療事業:各プロジェクトが進展

 同社が今後の注力事業としている再生医療事業において、以下の各分野での進展がみられた。

*マスターセルバンク(MCB)構築MCB確立に必要なGMP製造を、2021年10月より開始した。SHED事業を進めるにあたっては、研究開発に必要な原料の安定供給体制の確立が重要な要素となる。同社では、原料の製造のため、ドナー募集のChiVo Net、大学病院との提携、ニコン・セル・イノベーションとのMCB体制の構築等を進めている。GMP製造の開始でMCBの完成に向けて更に前進した。

*デザイナー細胞2021年12月、株式会社バイオミメティクスシンパシーズ(BMS)社と「デザイナー細胞」の開発に向けた委託開発契約を締結した。BMS社は培地開発技術を保有しており、同社のSHEDと組み合わせることで、骨・神経疾患に適性のあるSHEDの細胞特性を強く残したまま、更に疾患部位指向性を強化した細胞を取得することを目指す。同社は、2021年9月にナノキャリア株式会社と共同研究契約を締結したことを発表しており、他社との提携も梃子に、モダリティ多様化への対応の一環としての「デザイナー細胞」開発に注力してゆく。

*メトセラとの再生医療事業に関する業務提携同社は2022年1月、線維症を伴う慢性臓器疾患を主要な創薬ターゲットとした株式会社メトセラと再生医療等製品の研究開発加速を目的とした業務提携契約を締結した。同社の谷社長は、次世代医療技術である再生医療開発において、業務提携などによりバイオベンチャー各社の技術・ノウハウを統合することが重要と認識。バイオベンチャーの限られた経営資源を効率的に活用し開発を加速することにより、成功率と開発速度の向上を図りたいとしている。実際の運用にあたっては、様々なトライ&エラーが予想されるが、再生医療開発加速の取り組みとして注目したい。

2022/3期通期見通し

 通期業績予想については、期初予想より変更なし。2021/3期と比べて約10億円の売上増を見込んでいる。売上増の内訳は、GBS-001、GBS-011及びGBS-007の売上が堅調に推移していること、加えてMCB完成に関わる売上及び第4製品目のBS製造プロセスに関わる原薬販売を計上するため。MCB完成に関わる売上及び第4製品目に関わる原薬販売は売上原価にもヒットするため、営業損失は 1,720百万円と前期より拡大する見込み。同社では、 引続き研究開発費の効率化を始めとしたコスト効率化に努めるとしている。

◇株価動向:

 同社株は、2021年7月28日に厚生労働省の医薬品第一部会でラニビズマブBSの承認の了承を得たことを手掛かりとして上昇。9月13日には2020年6月以来の高値である864円を記録した。しかしながら、その後はバイオ株全体の下落に合わせて、同社株も調整してきている。同社は既にバイオシミラー製品の売上が着実に伸長しており、また業績も計画より前倒しで進行中である。経営陣のガイダンスでは、来期の黒字化も視野に入ってきているとのこと。黒字化の見通しが不透明なバイオベンチャーが多い中、同社の2023年3月期の業績予想に注目したい。

株価推移

財務データ

  2020/3       2021/3       2022/3    
  1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q
損益計算書                      
売上高 284 30 419 345 121 53 547 276 303 438 642
売上原価 77 8 359 209 5 35 46 34 122 154 183
売上総利益 207 22 60 136 116 19 500 242 182 283 460
販売費及び一般管理費 417 423 381 365 354 463 465 565 491 425 442
 研究開発費 235 249 201 213 138 265 198 363 297 236 237
営業利益(損失 -210 -401 -321 -229 -238 -445 36 -323 -309 -142 18
営業外収益 0 0 1 0 0 1 1 1 2 0 0
営業外費用 2 1 20 4 7 5 4 8 6 8 15
経常利益(損失) -212 -402 -340 -233 -244 -450 33 -330 -314 -150 4
特別利益 4 0 0 2             418
特別損失 5,939 0 0 194 0 1 8 0      
税引前当期純利益(損失) -6,147 -402 -340 -425 -244 -451 26 -331 -314 -148 421
法人税等合計 1 0 3 -2 1 0 0 1 0 1 52
当期純利益(損失) -6,147 -403 -342 -424 -245 -451 25 -330 -314 -149 369
貸借対照表                      
流動資産 2,761 2,390 3,238 3,322 3,573 3,218 3,329 3,346 2,794 3,203 3,722
 現金同等物及び短期性有価証券 1,654 1,602 2,482 2,033 2,658 2,502 1,830 1,461 874 974 1,253
固定資産 330 427 418 270 379 393 340 588 728 656 178
 有形固定資産 2 2 2 2 2 2 2 3 3 2 2
 投資その他の資産 328 425 416 268 374 389 336 582 722 651 173
資産合計 3,091 2,817 3,656 3,592 3,952 3,611 3,670 3,934 3,522 3,859 3,901
流動負債 421 550 529 881 772 858 925 1,114 823 1,034 1,045
 短期借入金 25 25 25 25 25            
固定負債 25 24 1,224 1,224 1,384 1,287 1,231 1,209 1,051 826 718
 長期借入債務     1,200 1,200 1,340 1,240 1,200 1,100 900 700 700
  長期借入金     600 600 600 600 600 600 600 600 600
  転換社債     600 600 740 640 600 500 300 100 100
負債合計 446 573 1,752 2,105 2,156 2,145 2,156 2,324 1,873 1,860 1,763
純資産合計 2,644 2,244 1,904 1,487 1,796 1,466 1,514 1,610 1,648 1,999 2,138
株主資本合計 2,644 2,244 1,904 1,487 1,796 1,466 1,514 1,610 1,648 1,999 2,138
 資本金 612 612 612 612 842 892 912 1,032 1,150 1,420 1,420
 資本剰余金 9,917 9,917 9,917 9,917 10,147 10,197 10,217 10,338 10,456 10,725 10,726
 利益剰余金 -7,908 -8,311 -8,653 -9,077 -9,322 -9,773 -9,748 -10,079 -10,393 -10,542 -10,173
 新株予約権 38 43 51 57 70 82 101 116 134 145 165
負債純資産合計 3,091 2,817 3,656 3,592 3,952 3,611 3,670 3,934 3,522 3,859 3,901
[キャッシュ・フロー計算書]                      
営業活動によるキャッシュ・フロー   -604   -1,325   -104   -1,267   -857  
 税引前当期純損失   -6,548   -7,314   -695   -999   -462  
投資活動によるキャッシュ・フロー   -106   -137   -5   -22    
 無形固定資産の取得による支出    –    –    -3   -3    –  
 投資有価証券の取得による支出   -100   -100    –    –    –  
財務活動によるキャッシュ・フロー   40   1,221   579   718   370  
 転換社債型新株予約権付社債の発行による収入    –   599   599    599    –  
 新株予約権の行使による株式の発行による収入   40   40    –   138   370  
 新株予約権の発行による収入
 
 –
 
3
 
4
 
4
 
 –
 
現金及び現金同等物の増減額
 
-670
 
-240
 
468
 
-571
 
-486
 
現金及び現金同等物の期首残高
 
2,009
 
2,009
 
2,032
 
2,032
 
1,461
 
現金及び現金同等物の四半期末残高
 
1,602
 
2,032
 
2,501
 
1,461
 
974
 

単位:百万円
注)  キャッシュ・フロー計算書については、2Qは 1Q〜2Qの累計、4Qについては 1Q〜4Qの累計の数値となっている。従って、期首残高も、それぞれ1Qの期首残高となる。
出所:同社資料より Omega Investment 作成