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Omega Investment株式会社

サンセイランディック (Company Note 4Q update)

株価(3/28)806予想配当利回り(22/12予)3.30 %
52週高値/安値908/778 円ROE(TTM)5.98 %
1日出来高(3か月)10.94 千株営業利益率(TTM)6.64 %
時価総額67.4 億円ベータ(5年間)0.89
企業価値94.2 億円発行済株式数 8.474 百万株
PER(22/12予)8.81 倍上場市場 東証一部
PBR(21/12実)0.66 倍
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新中期経営計画を発表
成長軌道回帰で、再評価に期待

新中期経営計画(2022-2024)を公表

 サンセイランディックは、2021/12期の決算発表に併せて延期となっていた中期経営計画を公表した。同社の業績は新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)が拡大する中、踊り場状態が続いていたが 2022〜24年を「質的な強化期」として、2024年に営業利益 18億円を目標。更なる成長により、2025年以降、プライム市場上場を目指すとしている。

◇成長ストーリー復帰で、株価再評価にも注目

 感染症拡大による業績の低迷から、同社株価は市場平均に対してアンダーパフォームする状態が続いてきた。直近のPBRもヒストリカルトレンドを下回っている。新中期経営計画の策定に伴い、感染症以前の成長軌道への回帰が示されれば、株価面での再評価が進む可能性も。

2021/123Q決算実績:前期比 5%減収、営業利益は 3割増加

 同社の2021/12期3Q決算実績は、売上高 16,836百万円、5%の減収となった。感染症の影響で一部の契約交渉が遅延したことに加え、当期に予定していた居抜きの大型案件の計上が次期にずれこんだことが主要因。一方、利益面では期初堅めの計画を立てていたこともあり、計画比、前年比とも上回った。同社の決算は、2Q、4Qに収益が突出する季節性があったが、感染症拡大後は薄れてきている。

 セグメント別では、不動産販売事業が 3.6%の減収(15,529百万円)、同セグメント利益は20.6%増加(2,333百万円)。一方、建築事業は21.4%減収(1,306百万円)、145百万円のセグメント損失 (前期は 4百万円のセグメント損失)となった(詳細は次頁参照)。

 仕入・受注実績は、不動産販売事業 10,118百万円(23.9%減)、建築事業(受注高)1,379百万円(26.0%増)。不動産販売事業の仕入れは前期比減となったが、現在の在庫水準と足元の受注状況の進捗からは、2022/12期の業績達成には問題ないもよう。

 増益決算を踏まえ、同社では2021/12期末の一株当たり配当金を1円増配し 26.00円とする。これにより8期連続の増配で、DOEは2.1%となる。

2022/12期業績予想:8%増収、営業利益 16%増を計画

 同社では、2022/12期業績見通しを売上高 182億円(8%増)、営業利益 13億円(16%増)と公表している。セグメント別の内訳では、不動産販売事業 168億円(9%増)、建築事業 13.7億円(5%増)。売上高は感染症前の水準を回復するが、利益面では7割の水準に止まる見込みである。

 決算期 売上高
(百万円)
前期比
(%)
営業利益
(百万円)
前期比
(%)
経常利益
(百万円)
前期比
(%)
当期利益
(百万円)
前期比
(%)
EPS
()
DPS
()
2018/12 16,833 28.5 1,765 0.2 1,642 -1.5 1,006 -9.4 119.62 21.00
2019/12 18,020 7.1 1,860 5.4 1,758 7.0 1,158 15.1 137.08 23.00
2020/12 17,774 -1.4 847 -54.5 709 -59.7 357 -69.1 42.34 25.00
2021/12 16,836 -5.3 1,117 31.9 999 40.9 609 70.5 73.56 26.00
2022/12(会予) 18,235 8.3 1.301 16.4 1,142 14.3 754 23.8 91.52 27.00
2021/12 2Q 9,109 9.0 689 74.3 631 116.4 402 120.8 48.37
2022/12 2Q(会予) 7,052 -22.6 395 -47.2 317 -49.7 201 -49.4 24.49

 

四半期別売上高及び営業利益の推移

出所:同社資料より Omega Investment 作成

セグメント別動向:

a)不動産販売事業〜売上高 15,529百万円(3.6%減、計画比 -6.9%)、セグメント利益 2,333百万円(20.6%増)

 感染症の影響を大きく受けた2020/12期 2Q、3Qからの回復傾向が続き、3Qまでは累計ベースで前年同期比倍増ペースで伸長してきた。しかしながら、感染症の第5波の拡大に加え、居抜きの大型案件が次期に持ち越すこととなり、4Q単独では前年同期比半減となった。

底地:8,208百万円(29.8%増)。1Qに前年4Qに販売予定であった居抜きとの混在物件を計上したこともあり通期で約3割の増収。また、売上計画に対しても 1.8%上回った。

居抜き:6,083百万円(13.7%減)。3Qまでの累計では 24.9%増と順調に推移したが、4Qに計上予定であった大型案件が次期に繰越となったため、通期では13.7%の減少となった。対売上計画比では、17.3%の未達。

所有権:864百万円(61.9%減)。前期の販売高が通常より大きかったため、その比較では大きく減少。慎重に見積もった計画値に対しては 1.8%上回った。

 

四半期セグメント別売上高及び営業利益の推移

出所:同社資料より Omega Investment 作成
出所:同社資料

 不動産販売事業の仕入実績は 10,118百万円、23.9%減少した。2019年、2020年の水準が高かったことにより低く見えるが、区画数的には 9.8%増となっており、今期以降の業績への影響は懸念していないとのこと。

b)建築事業〜売上高 1,306百万円(21.4%減、計画比 -23.5%)、セグメント損失 145百万円(前年同期は 4百万円のセグメント損失)

 感染症の影響で商談及び着工の遅延が発生し、前年同期及び計画を下回った。販売件数は 135件と 17.2%減少。利益面では、工事損失引当金(約 88百万円)を計上したことが大きく影響した。同社は付加価値の高い木造建築が主力だが、新たな取り組みとして着手していたRC物件において大きな原価割れが発生したことによる。

 建築事業の受注高は、感染症やウッドショック等の影響はあったものの、回復傾向にある。受注高は 1,379百万円(26%増)、受注残高は 529百万円(16.0%増)となった。

 貸借対照表においては、一部保有物件の積極的な資金化により、現金及び預金が1,030百万円増加(2020年12月末比、以下同)し、5,360百万円に。販売用不動産は 1,123百万円減少し、13,301百万円となった。併せて、有利子負債も 234百万円減少し、8,107百万円となっている。一方、純資産は 235百万円増加し、10,301百万円に。利益剰余金が 398百万円増加した。

2022/12期業績予想: 8%増収(182億円)、営業利益 16%増(13億円)を計画

 同社では2022/12期の業績予想を 8%増収(182億円)、営業利益 16%増(13億円)と置いている。セグメント別の内訳では、不動産販売事業 168億円(9%増)、建築事業 13.7億円(5%増)。不動産販売事業中の内訳は以下の通り。

 また、建築事業は 2022/12期での黒字化を目指している。

不動産販売事業 事業別販売計画

出所:同社資料

2022/12期の売上高は感染症前の水準を回復するが、利益面では依然7割の水準に止まる見込みである。

新中期経営計画(2022-2024Transformation to 2024

 同社は通期決算に併せて、延期となっていた中期経営計画を公表した。前中期経営計画(2018-2020)では、2020/12期に営業利益 20億円、ROA 12.0%を目標としていたが、感染症の拡大で未達となっていた。2021年中も第5波の流行で不透明感が増す中、計画発表が延期され、今回の発表となった。

 新中期経営計画では、同社のミッション〔『人と人の未来を繋ぐ先駆者となる』〕、ビジョン〔「自立自走」、「プロフェッショナル思考」、「変化を楽しもう」〕、ポリシー〔「中庸」、「質実」、「不断」〕を価値観として掲げ、会社の方向性を明確化。その下で、感染症の収束後も安定的に事業成長を実現できる盤石の事業基盤を構築するとしている。具体的には、1)既存事業の拡大、2)事業領域の拡張、3)経営基盤の強化、を図ることにより、継続的な事業成長を実現する。2)の事業領域の拡張にあたっては、M&Aやアライアンスの実行も視野に、2024年までに新規事業領域に10億円を投資する計画である。

 同計画の位置付けは、下図を参照。2019年までは CAGR=10.6%で成長してきた同社であるが、感染症の拡大で停滞を余儀なくされた。今回の計画により、2022〜2024年を「質的な強化期」と位置付け、2024/12期に営業利益ベースで 18億円の達成を目標とする。その後も、東証プライム市場への上場に向け、更なる成長・拡大を目指す方針である。

 また、経営指標としてROEを採用し 9.0%以上を目標とするとした。既存事業の強化、効率化・業務改善や投資効率の高い事業開発により収益性を改善し、高い売上高当期利益率を確保。また、事業期間の短縮化により、高い総資産回転率を実現する。一方で、2倍強の財務レバレッジを維持する。

 株主還元方針としては、DOE 2.0%台の水準を目指すとともに、自己株式の取得も活用するとしている。

 さらに定性的な施策として、ESGへのさまざまな取組みも今まで以上に力を入れる方針である。

出所:同社資料

株価動向:調整続くが、感染症対応後の成長シナリオに期待

 対面営業が基本の不動産販売業界は、感染症拡大により業績面で大きな影響を受けた。その結果、同社株も市場をアンダーパフォームする状態が続いている。2Q決算発表後は一時的な上昇も見られたが、調整が続いている。今回発表の中期経営計画では 2020〜2021年をコロナ禍による踊り場として、2022〜24年の「質的な強化期」に盤石な事業基盤の構築を図る。同計画が進捗すれば、感染症拡大前の収益水準以上に業績の回復が進むことが期待されよう。同社株のPBRは0.65倍で、ここ5年のヒストリカルトレンドである0.89倍も下回っている。ヴァリュー株に対する投資家の注目が高まる中、同社株の動向を注視したい。

 

株価推移(直近5年間)

対TOPIX相対チャート

 

財務データ

  2019/12       2020/12       2021/12      
  1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
[セグメント別売上高]                        
売上高 1,925 5,775 2,811 7,507 4,807 3,546 2,481 6,938 5,365 3,744 4,089 3,637
 前年同期比 -33.0% 45.8% -23.9% 15.0% 149.7% -38.6% -11.7% -7.6% 11.6% 5.6% 64.8% -47.6%
 不動産販売事業 1,576 5,396 2,353 6,941 4,339 3,092 2,137 6,543 5,171 3,434 3,679 3,244
  前年同期比 -42.8% 41.3% -33.9% 17.5% 175.3% -42.7% -9.2% -5.7% 19.2% 11.1% 72.1% -50.4%
  売上高構成比 81.9% 93.4% 83.7% 92.5% 90.3% 87.2% 86.2% 94.3% 96.4% 91.7% 90.0% 89.2%
   底地 1,086 1,546 889 3,176 719 1,613 1,044 2,950 3,464 1,267 2,003 1,474
    前年同期比 77.7% -34.2% -21.5% 6.1% -33.8% 4.3% 17.4% -7.1% 381.4% -21.5% 91.9% -50.0%
    売上高構成比 56.4% 26.8% 31.6% 42.3% 15.0% 45.5% 42.1% 42.5% 64.6% 33.8% 49.0% 40.5%
   居抜き 351 3,657 1,283 2,108 2,180 897 872 3,101 1,419 2,025 1,488 1,151
    前年同期比 -51.6% 225.4% 62.0% -12.9% 520.6% -75.5% -32.0% -47.1% -34.9% 125.8% 70.6% -62.9%
    売上高構成比 18.2% 63.3% 45.6% 28.1% 45.4% 25.3% 35.1% 44.7% 26.4% 54.1% 36.4% 31.6%
   所有権 28 88 55 1,532 1,305 465 106 395 191 46 101 526
    前年同期比 -97.9% -60.4% -96.4% 290.8% 4560.7% 428.4% 92.7% -74.2% -85.3% -90.1% -4.7% 33.2%
    売上高構成比 1.5% 1.5% 2.0% 20.4% 27.1% 13.1% 4.3% 5.7% 3.6% 1.2% 2.5% 14.5%
   その他不動産販売事業 110 104 126 126 133 117 116 97 96 95 88 94
    前年同期比 11.1% -14.8% 5.0% 21.2% 21.5% 12.5% -7.9% -23.0% -28.3% -18.8% -24.1% -3.1%
    売上高構成比 5.7% 1.8% 4.5% 1.7% 2.8% 3.3% 4.7% 1.4% 1.8% 2.5% 2.2% 2.6%
 建築事業 349 379 457 566 468 455 343 395 194 309 409 392
  前年同期比 202.6% 166.5% 246.1% 44.0% 34.1% 19.8% -24.9% -30.1% -58.4% -32.1% 19.3% -0.8%
  売上高構成比 18.1% 6.6% 16.3% 7.5% 9.7% 12.8% 13.8% 5.7% 3.6% 8.3% 10.0% 10.8%
[損益計算書]                        
売上高 1,925 5,775 2,811 7,507 4,807 3,546 2,481 6,938 5,365 3,744 4,089 3,637
売上原価 1,346 4,014 2,076 5,466 3,865 2,557 1,934 5,431 4,020 2,756 2,945 2,745
売上総利益 579 1,762 736 2,042 942 989 548 1,507 1,344 986 1,143 892
販売費及び一般管理費 696 855 783 924 792 744 678 925 816 826 805 802
営業利益 -117 907 -47 1,117 150 245 -131 382 528 160 338 90
営業外収益 4 28 5 5 9 5 51 5 12 8 8 6
営業外費用 34 38 32 40 55 63 60 10 37 40 34 39
経常利益 -147 898 -75 1,083 103 188 -140 298 502 128 311 56
特別利益 0 0 0 0 0 0 0   3 0 0 0
特別損失 0 0 0 0 0 0 0     0 0  
税引前当期純利益 -147 898 -75 1,083 103 188 -140 298 506 128 311 56
法人税等合計 -35 312 -26 349 36 72 -49 295 183 48 166 -4
親会社株主に帰属する当期純利益 -112 585 -48 734 67 114 -90 176 323 79 145 61
[貸借対照表]                        
流動資産 16,007 15,596 17,458 18,095 18,816 20,798 20,577 19,040 17,554 17,371 18,769 18,968
 販売用不動産 13,129 12,290 14,890 13,493 14,655 16,923 17,312 14,424 13,493 12,586 13,134 13,301
固定資産 1,230 1,206 1,229 1,199 1,188 1,164 1,197 1,030 951 1,054 1,081 1,082
 有形固定資産 469 471 462 456 451 449 443 306 291 290 293 301
 投資その他の資産 694 666 689 669 668 653 691 655 595 703 732 731
資産合計 17,236 16,802 18,686 19,294 20,004 21,962 21,774 20,071 18,505 18,425 19,849 20,051
流動負債 6,904 6,996 9,135 9,047 9,883 7,767 7,699 5,772 5,517 7,540 8,633 8,732
 短期借入金 5,645 5,360 7,702 7,203 7,729 6,352 6,676 4,463 4,272 6,105 7,171 7,368
固定負債 1,714 602 389 351 345 4,303 4,274 4,232 2,919 792 976 1,017
 長期借入金 1,347 222       3,958 3,929 3,879 2,570 483 683 740
負債合計 8,618 7,598 9,524 9,399 10,228 12,071 11,973 10,004 8,436 8,332 9,609 9,749
純資産合計 8,618 9,204 9,162 9,895 9,776 9,891 9,801 10,067 10,070 10,093 10,240 10.302
株主資本合計 8,618 9,204 9,162 9,895 9,776 9,891 9,801 10,067 10,070 10,093 10,240 10,302
 資本金 811 811 814 814 818 818 818 818 818 820 821 821
 資本剰余金 772 772 775 775 779 779 779 779 779 781 782 782
 利益剰余金 7,031 7,616 7,568 8,302 8,174 8,289 8,200 8,465 8,577 8,656 8,802 8,863
 新株予約権 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4
負債純資産合計 17,236 16,802 18,686 19,294 20,004 21,962 21,774 20,071 18,505 18,425 19,849 20,051
[キャッシュ・フロー計算書]                        
営業活動によるキャッシュ・フロー   -286   -419   -3,683   -916   2,110   1,704
 税引前当期純損失   750   1,758   291   712   635   1,003
投資活動によるキャッシュ・フロー   -27   -70   -9   -287   -26   -51
財務活動によるキャッシュ・フロー   -446   984   3,021   952   -2,129   -608
現金及び現金同等物の増減額   -760   493   -671   -251   -46   1,045
現金及び現金同等物の期首残高   3,465   3,465   3,958   3,958   3,707   3,707
現金及び現金同等物の期末残高   2,704   3,958   3,287   3,707   3,661   4,752

単位:百万円
出所:同社資料より Omega Investment 作成