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Omega Investment株式会社

カイオム・バイオサイエンス (Company Note 4Q update)

株価(3/14)176予想配当利回り(22/12予)ー %
52週高値/安値386/156 円ROE(TTM)-59.16 %
1日出来高(3か月)458.3 千株営業利益率(TTM)-187.16 %
時価総額75 億円ベータ(5年間)1.11
企業価値47 億円発行済株式数 42.409 百万株
PER(22/12予)- 倍上場市場 東証マザーズ
PBR(21/12実)2.72 倍
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CBA-1205の治験が第1相試験後半パートに進捗
ファイナンスにより開発・投資資金に目途

2021/12期決算サマリー

 創薬事業は、各パイプラインが順調に進捗中。CBA-1205は第1相試験後半パートに、CBA-1535は国内での治験を申請へ。2021/12期は、創薬支援事業の売上が拡大し、 48.3%の増収(7.1億円)、営業損失は 13.3億円と前期の 12.8億円から拡大した。2021年12月に新株予約権の発行によるファイナンスを実施し、約 17億円の資金確保に目途。

 株価的には、世界的なグロース株調整の余波を受け、国内の創薬ベンチャーの株価も低下傾向が続いている。同社株価も 2021年7月8日に同年の高値(386円)をつけた後、下落傾向が続いている。マーケットのトレンドには抗い難いが、同社の創薬プロジェクトは着実に進捗している。今後、提携先とのライセンス契約やマイルストーン収入等、具体的な収益に結びつくイベントが公表されることによる株価の反応に期待したい。

2021/12期決算実績:48%増収、営業損失は 13億円

 カイオム・バイオサイエンスの2021/12期決算実績は、創薬支援事業の売上高が27.6%増となったことを主因に、売上高は48.3%増(712百万円)、営業損失は1,334百万円(2020年12月期は1,283百万円)となった。

 創薬事業の売上高は、 LIV-2008/2008bのライセンス契約一時金を計上し 103百万円(前期は 3百万円) 。創薬支援事業の売上高は 609百万円。国内製薬企業を中心に既存顧客との安定的な取引が継続し、132百万円の増収となった。費用面では、研究開発費に 1,312百万円を支出。CBA-1535治験薬製造費用等のCMC開発費用を計上し、前期比 155百万円増加した。

 BSにおいては、2021年12月末の現預金は 1,790百万円。2020年12月末比 895百万円減少した。また、出資先の投資有価証券評価損により、固定資産が 124百万円の減少となった。純資産合計は、当期純損失の計上により利益剰余金が 1,479百万円減少し 1,893百万円(前期末は 3,109百万円)。資産合計は 2,339百万円となった(同 3,494百万円) 。新株予約権の行使により資本金及び資本準備金が、それぞれ 128百万円増加した。自己資本比率は2020年12月末の 88.2%から8.8pt 低下し、79.4%となっている。

 決算期 売上高
(百万円)
前期比
(%)
営業利益
(百万円)
前期比
(%)
経常利益
(百万円)
前期比
(%)
当期利益
(百万円)
前期比
(%)
EPS
()
2017/12 259 3.0 -887 -883 -882 -33.48
2018/12 212 -18.1 -1,539 -1,533 -1,533 -57.26
2019/12 447 110.3 -1,401 -1,410 -1,403 -44.61
2020/12 480 7.4 -1,283 -1,291 -1,293 -36.06
2021/12 712 48.3 -1,334 -1,329 -1,479 -36.74
2022/12(会予)

創薬事業パイプライン

2022年2月14日時点
出所:同社資料

パイプラインの進捗状況:(次頁の図を参照)

<導出品>

LIV-1205;スイスのADC Theraputics 社に ADC用途に限定して導出し、ADCT-701として2022年のIND申請及び臨床試験に向けた準備が進行中。米国国立がん研究所(NCI)と神経内分泌がんの共同研究も計画。

*LIV-2008;2021年1月に、中国の Shanghai Henlius Biotech, Inc. とライセンス契約締結。中国、台湾、香港、マカオにおける開発・製造・販売権を許諾。上記の通り、本契約締結により受領した契約一時金を(1百万ドル)を売上計上している。Henlius 社以外にも導出活動を継続中。

<自社開発品>

CBA-1205;国立がん研究センターで実施していた固形がんの患者を対象として第1相試験前半パートが終了。治験経過から標的および本抗体の安全性が高いことが判明し、当初よりも高容量の安全性データを取得。開発スケジュールは順調に進捗している。 2021年末、肝細胞癌患者を対象とした第1相試験後半パートへの移行を決定。導出契約の締結時期について、同社は2つのシナリオを想定。早ければ前半パートのデータに基づく導出を2023年、遅くとも 2025年までの導出を想定している。

CBA-1535;Tribody の製造法を確立し、GMP原薬及び治験薬の製造が完了。既報の通り、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、当初計画していた英国での治験に代えて、開発への影響が少ない日本国内での治験申請に変更し、国内での開発を決定。 2022年 2月16日、PMDAに治験届けを提出した。同試験は Tribodyの作用機作を検証するための世界で初めての臨床試験であり、このコンセプトが確認されれば、多くのがん抗原に対する Tribodyの適用の可能性が広がることとなる。

<導出候補品>

BMAA;2021年5月にSemaThera社とのオプション契約が終了したのに伴い、自社での事業機会を確保。セマフォリン3Aが関与する疾患に狙いを定めた海外研究機関との共同研究を実施完了。これまでに取得したセマフォリン3Aのデータおよびセマフォリンファミリーに関する探索研究のデータとともに今後の事業開発活動に繋げる。

PCDC;ADC用途を中心とした導出活動の推進及び追加動物試験を実施。2021年7月に、世界知的所有権機関で出願特許情報が公開。標的分子はCDCP1で、固形がん(肺がん、頭頸部がん、食道がん、大腸がん、子宮頸がん等)を対象疾患とするファーストインクラスの抗体である。

創薬研究プロジェクト;上記以外の創薬研究プロジェクトにおいては、パイプラインの充実に向けた重点プロジェクトの導出・開発計画を検討し、既存プロジェクトの改廃を実施。5件の創薬プロジェクトのうちの2件の重点プロジェクトについて、引続き研究活動を継続する。また、他の創薬プロジェクトを含めて常時10テーマ程度の創薬研究を行い、今後の新たな創薬パイプラインの創出に向けた取り組みを継続する。

◇創薬支援事業の進捗:中外製薬グループとの委託契約研究延長

 創薬ベンチャーである同社にとって、創薬支援事業は安定的な収益源となっている。現在同社では国内大手製薬企業と創薬支援事業に関する契約を締結しているが、2021年10月、初期からの顧客である中外製薬およびChugai Pharmabody Research との委託研究契約を延長した。中外製薬と2024年12月31日まで3年間、Chugai Pharmabody Researchとは2026年12月31日まで5年間延長した。

ADLib®︎システムの活用と改良:

 同社のコア技術である、ADLib®︎システムの活用と改良を継続。2021年 5月、英国 Mologic 社とADLib ®︎システムを用いた感染症の診断薬用抗体を作成する共同研究契約を締結。また、日本においてADLib ®︎システムの抗体取得方法について特許査定を受領した。更に、東京医科歯科大学よりヒトADLib ®︎システムで取得した抗HMGB1を用いたアルツハイマー症の治療薬開発の研究成果を発表。創薬支援事業に関連する技術の向上を図るとともに、自社開発の創薬パイプラインの強化にも資することが期待されている。

◇ 新株予約権の発行により資金調達を実施

 同社は2021年12月15日、第三者割当による第 18 回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行。SMBC日興証券を割当先とし、約 17億円の資金調達を実施した。資金使途として、1)自社パイプラインの価値最大化を狙った開発投資(CAB-1205の原薬及び治験薬製造費用等、CBA-1205の価値向上のための開発研究及びバイオマーカー探索費用、CBA-1535の臨床第1相試験後半パート臨床試験費用及び併用する治験薬費用)、2)創薬支援事業の持続的な成長を目指した設備投資(設備投資/研究機器の増設及びリプレイス)をあげている。創薬ベンチャーにおいては、研究開発資金の確保が最重要課題の一つだが、この先2年程度のキャッシュの確保に目処をつけた。

2022/12期見通し:創薬支援事業で 6.2億円の売上を計画

 周知の通り、創薬ベンチャー企業の短期のP/Lの予想はあまり意味のないことであり、同社も2022/12期の業績予想は公表していない。継続的な収益が見込まれる創薬支援事業の売上については 620百万円を見込んでいる。創薬プロジェクトの進捗によっては、契約一時金やマイルストーン収入が入る可能性もあろう。一方、各パイプラインの進捗に伴い、臨床試験費用や治験薬製費用が嵩むことにより、研究開発投資は10数億円程度の支出が続くだろう。

◇株価動向:バイオ株調整の影響を受ける(次頁図参照)

 世界的なグロース株調整の余波を受け、国内の創薬ベンチャーの株価も低下傾向が続いている。直近では、マクロ経済面での影響に加え地政学的リスクも加わり、2022年は厳しい市場環境が続くことが予想される。

 同社株価は、2020年 6月に感染症関連の思惑で買い上がられた後、調整が続いた。2021年に入ってからは、7月8日に同年の高値(386円)をつけた後、バイオ株下落のトレンドに引きづられている。一方、同社の創薬プロジェクトは着実に進捗している。今後、提携先とのライセンス契約やマイルストーン収入等、具体的な収益に結びつくイベントが公表されれば、株価もポジティブに反応することが期待されよう。

株価推移(直近3年間)

相対チャート、4583、TOPIX(直近3年間)

財務データ

  2019/12       2020/12       2021/12      
  1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
損益計算書                        
売上高 64 77 142 165 91 82 139 169 246 139 157 171
 創薬事業 0 1 1 28 1 1 0 1 103 0 0 0
 創薬支援事業 63 76 142 137 90 82 138 168 143 138 157 171
売上原価 27 26 58 52 61 46 59 70 64 62 78 86
売上総利益 37 51 84 113 30 36 80 99 182 77 79 84
販売費及び一般管理費 464 374 503 346 456 346 424 303 337 337 515 568
 研究開発費 363 273 407 256 343 266 342 206 216 243 401 451
営業損失 -426 -324 -419 -233 -426 -310 -344 -204 -155 -260 -436 -483
営業外収益 0 1 4 0 2 0 3 0 7 0 2 4
営業外費用 6 4 4 0 0 2 10 1 1 0 1 6
経常損失 -432 -327 -418 -233 -425 -311 -351 -205 -150 -259 -434 -486
特別利益 2 1 6 0     0 0       0
特別損失                        
税引前当期純損失 -430 -326 -412 -233 -425 -310 -351 -205 -150 -247 -433 -636
法人税等合計 1 0 1 0 1 0 1 1 11 1 1 0
当期純損失 -431 -326 -413 -234 -425 -311 -352 -206 -161 -248 -434 -637
貸借対照表                        
流動資産 3,048 3,206 2,807 2,561 2,309 2,805 3,316 3,249 3,294 3,088 2,675 2,216
 現金及び預金 2,776 2,899 2,469 2,106 1,967 2,472 2,881 2,686 2,580 2,302 2,071 1,790
固定資産 219 217 242 247 247 249 249 246 244 241 274 122
 有形固定資産 15 14 12 11 10 9 8 7 6 6 4 4
 投資その他の資産 204 204 230 236 237 240 241 238 237 235 269 118
資産合計 3,267 3,423 3,049 2,808 2,556 3,054 3,566 3,495 3,537 3,329 2,950 2,339
流動負債 177 207 154 145 315 427 378 343 378 428 468 392
 短期借入金         142 199 199 180 180 190 199      183
固定負債 41 41 41 41 42 42 42 42 42 42 53 53
負債合計 219 248 196 187 357 469 420 385 420 470 522 446
純資産合計 3,048 3,175 2,853 2,622 2,199 2,585 3,146 3,110 3,118 2,859 2,428 1,893
株主資本合計 3,048 3,175 2,853 2,622 2,199 2,585 3,146 3,110 3,118 2,859 2,428 1,857
 資本金 5,856 6,084 6,132 6,132 6,133 846 1,303 1,388 1,471 1,471 1,472 1,515
 資本剰余金 5,846 6,074 6,122 6,122 6,123 2,446 2,903 2,987 3,071 3,071 3,072 3,115
 利益剰余金 -8,682 -9,008 -9,421 -9,655 -10,080 -736 -1,088 -1,294 -1,455 -1,703 -2,136 -2,773
 新株予約権 28 26 20 22 24 30 28 29 30 19 19 35
負債純資産合計 3,267 3,423 3,049 2,808 2,556 3,054 3,566 3,495 3,537 3,329 2,950 2,339
[キャッシュ・フロー計算書]                        
営業活動によるキャッシュ・フロー   -677   -1,537   -528   -1,361   -560   -1,139
 税引前当期純損失   -755   -1,401   -734   -1,290   -396   -1,466
投資活動によるキャッシュ・フロー     -26      3     -35
 有価証券の取得    –    –    –     –    –    –
財務活動によるキャッシュ・フロー
 
1,248
 
1,341
 
894
 
1,944
 
176
 
271
 株式の発行   1,249   1,345   697    1,769   166   253
現金及び現金同等物の増減額   570   -222   366   580   -384   -895
現金及び現金同等物の期首残高   2,328   2,328   2,105   2,105   2,686   2,686
現金及び現金同等物の期末残高   2,899   2,105   2,472   2,686   2,301   1,790

単位:百万円
注)  キャッシュ・フロー計算書については、2Qは 1Q〜2Qの累計、4Qについては 1Q〜4Qの累計の数値となっている。従って、期首残高も、それぞれ1Qの期首残高となる。
出所:同社資料より Omega Investment 作成